さぽろぐ

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2010年06月16日

環境省の外来種対策の意識

 昨日は、自然保護団体のメンバー4人(十勝自然保護協会・大雪と石狩の自然を守る会・ナキウサギふぁんくらぶ)が札幌の環境省の事務所を訪問し、大雪山国立公園の十勝三股地区のカラマツ駆除について申入れをしました。

 これについての経緯などは、以下の十勝自然保護協会のサイトを参照してください。

生物多様性締約国会議開催と環境省の見識

 北海道中央部、石狩岳の麓にはカルデラ地形の三股盆地が広がっています。ここにはかつてエゾマツを主体とした北方針葉樹林が広がっていました。しかし林野庁による乱伐で、今では蓄積量がかつての三分の一程度になってしました。林業の最盛期には、三股地区には千人を超える人が住んでいたそうで、小中学校もあり、集落にはカラマツも植栽されました(木材生産目的の植林ではありません)。しかし、林業の衰退(というより乱伐による森林の衰退)に伴い、三股集落から人々が去り、今では二世帯が住んでいるだけです。ところが、集落に植えられたカラマツは大きく成長し、今は土場跡地などに種子が飛散して野生化しつつあります。

 カラマツはもともと北海道に自生している木ではありません。本州から持ち込まれたものですから外来種です。それが国立公園内で野生化しつつあるために、2007年に十勝自然保護協会が環境省に駆除を求めていました。三股の集落があったあたりは林野庁ではなく環境省の土地なのです。しかし、環境省はその申入れに対して何ら動きを見せませんでした。そこで、今年の生物多様性条約締約国会議開催を機に、改めて駆除の申入れをしたところ、昨日の面談となったのです。

 三股のカラマツ駆除について環境省の見解を聞いたところ、以下のような説明がありました。

 「三股の植生がどのようになっているか現況を調べる必要があると考えている。また、地元の街や地域の人たちの意見も聞きたい。そのうえで、植生をどのようにしていくのが望ましいのか考えていきたい。三股をそのままにしておいていいのか、人手をかけるべきなのか検討しなければならないし、時間が少し欲しい」

 カラマツという外来種が国立公園に生育して野生化していることは、今更植生などを調べるまでもない明瞭な事実です。しかし、それに対して環境省としてどうすべきかという明確な姿勢が見えてきません。なんとも頼りない説明です。

 そして、「特定外来生物については取り組みをしているが、三股地区には要注意のものはあるのか」との質問が私たちに対してありました。

 まだ三股地区では確認されていないものの、侵入させないように努力しなければならない特定外来生物としてはセイヨウオオマルハナバチがあります。そこで、セイヨウオオマルハナバチの話題になりました。

 層雲峡にはすでに三年ほど前にセイヨウオオマルハナバチが侵入してしまい、今では黒岳の高山帯でも確認されています。懸念していたことが現実となってしまいました。一度侵入してしまうと、駆除によって駆逐することは不可能に近いのです。三股地区には園芸植物のルピナスが繁茂しており、もしここまでセイヨウオオマルハナバチが侵入したならば蜜源となります。セイヨウオオマルハナバチの高山帯への侵入を防ぐという予防原則の観点からも、蜜源となる外来植物を駆除することが肝要です。このことについては、地元の自然保護事務所の前任者も知っていましたが、ルピナスの駆除については何ら動きを見せませんでした。環境省はウチダザリガニやセイヨウオオマルハナバチの駆除には積極的で、市民などに呼び掛けて駆除を行っています。ところが、不思議なことに国立公園内のルピナスの駆除に取り組もうという姿勢が見られません。なんともちぐはぐに思えてなりません。

 10月には名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議が開催されますが、それまでに環境省としてカラマツ駆除の意志を明確にしてほしいと求めました。

 特定外来種以外の外来種問題については、環境省の意識は低いとしか思えません。もう少し毅然とした姿勢を持ってほしいところです。
  


Posted by 松田まゆみ at 09:54Comments(0)外来種

2009年08月12日

山の中のハマナス

 9日は道東の武佐岳に登ったのですが、阿寒横断道路(国道241号)を通った際に国道ぶちに植えられているハマナスが目に留まりました。こんなところにハマナスの花が咲いているというのは、ちょっとドッキリします。




 ハマナスといえば海岸の植物。それが阿寒国立公園の山中の針葉樹林帯に植えてあるのです。管理者である北海道開発局が植えたのでしょうけれど、ここは海辺でもなければ街中の公園でもありません。こういう自然環境や生態系を無視した感覚には呆れてしまいます。国立公園の中ですから、開発局はここにハマナスを植栽することについて環境省に認可を得ていると思うのですが、環境省は何も指導しなかったのでしょうか? 

 大雪山国立公園の層雲峡近くの国道法面に園芸植物のエニシダが生えていますが、これは法面緑化の際に導入したものです。外来種が植えられていることを知った環境省が駆除を求めたと聞いていますが、駆除しきれなかったのか今でもエニシダが残っています。

 以前、ヌプントムラウシ温泉に通じる林道の法面が崩れて復旧工事が行われたのですが、その際に林野庁が外来種のイタチハギを導入しようとしました。そこで、このような外来種を使わないよう申し入れたことがあります。

 このように、今は外来種問題も浸透しつつあり、国立公園などの自然公園では法面緑化に利用する植物も外来種をなるべく使わないという方針になってきています。開発局も環境への配慮をしているそうですから、このような不適切な植栽は見直していただきたいものです。

  


Posted by 松田まゆみ at 16:39Comments(2)外来種

2009年07月09日

高山に侵入する外来植物

 大雪山で手軽に高山帯のお花畑を楽しめるところといえば、「姿見の池」周辺でしょう。旭岳ロープウェイで一気に標高1600メートルまで行くことができます。駅から足を踏み出せば、目の前に広大な高山帯の光景が広がり、足元には可憐な高山植物が咲き誇っています。

 ところが最近はここにもアキタブキやセイヨウタンポポが侵入してきているのです。たしか3年ほど前に行ったときに、ロープウェイの駅の裏にアキタブキが茂っているのを目にしました。高山帯に本来なかった植物が高山帯に定着してしまったのです。アキダブキもセイヨウタンポポもキク科の植物で、風散布によって種子を遠くに飛ばしますから、できるだけ早く除去する必要があります。

 標津岳では標高680メートルのあたりの登山道脇に、外来種のコウリンタンポポの群落がありました(写真)。コウリンタンポポも繁殖力が旺盛ですから、そのままにしていたら登山道沿いにどんどん広がってしまうでしょう。西別岳では、登山者にセイヨウタンポポを除去して持ち帰ってもらうよう、登山口にポリ袋が用意されていました。登山者が多い山ではどうしても外来種が持ち込まれてしまうのです。ただし、タンポポは地上部だけ採っても枯れませんから、根絶させるのは大変なことです。




 一方、大雪山の「姿見の池」は動植物の採取が厳しく規制されている国立公園の特別保護地区であり、天然記念物にも指定されているところなのです。外来種だからといって、一般の人が勝手に除去するわけにはいきません。管理者である環境省は早期に徹底的な駆除を実施すべきです。環境省も外来種駆除に関しては法にがんじがらめになるのではなく、ある程度の融通性を持たせて駆除対策を強化すべきではないでしょうか。

 もっとも入り込んでしまった外来種を駆除するというのは最後の手段。入りこまないよう防止することこそ大切です。姿見の池に関しては、数年前にロープウェイの架け替えをしたときに、ゴンドラを大型化して定員を増やしてしまいました。6月から10月までの間、何と定員101人のゴンドラが15分間隔で運行されていますから、夏の観光シーズンなどは人だらけになります。人の入り込みが多くなればなるほど、外来種の種子が運ばれる確率が高くなるのです。保護の面から考えるなら、高山帯への人の入り込みを安易に増やすようなことは不適切だったとしか思えません。環境省は、国立公園は「保護と利用」の両面あると強調しますが、利用より保護を優先すべきことは言うまでもないでしょう。

 知人から聞いた話なのですが、日本の米軍基地では在来種の保護のためにセイヨウタンポポなど外来種を徹底的に駆除しているそうです。外来種をどこにでもはびこらせている日本人の感覚は、おそらく先進国の中では相当遅れているのではないでしょうか。
  


Posted by 松田まゆみ at 14:03Comments(0)外来種

2008年08月21日

帰化植物と法面





 この写真は大雪山国立公園の中の国道の法面です。一面に咲いている黄色い花はアラゲハンゴンソウ。見事な光景に、旅行者などが車をとめて写真を撮っていることもあります。でも「きれい」だといって感心していてはいけません。別名キヌガサギクといい、北米原産の帰化植物なのです。

 ここでは以前は法面に部分的に生えていただけでしたが、今はこのように法面上部にまで広がり、さらに道路に沿って広がっています。多年草であり種子でも増えるので、一度侵入すると広がる一方なのです。

 アラゲハンゴンソウだけでなく、ルピナスやフランスギク、ビロードモウズイカ、オオアワダチソウなどなど、法面は帰化植物のオンパレード。国立公園の中でありながら、こんなふうに外来種が繁茂しどんどん広がっていくのは生物多様性の保全の面からも問題です。

 また、法面に張られた牧草は、エゾシカの餌となるため道路ぶちにエゾシカが集まってきて、交通事故にもつながります。このあたりの法面、春先にはエゾシカがずいぶん集まってきます。

 では、どうすればいいのでしょうか? 引き抜いたり、刈ったりするのも一つの方法ですが、急斜面での作業は危険で大変です。

 ところで写真を見ると法面に木が生えています。これはケヤマハンノキなのですが、周囲から種が飛んできて自然に生えたものです。ササが生い茂っていないような法面では、こんな風に自然に木が生えてくるものです。そして、このケヤマハンノキの影になるようなところではアラゲハンゴンソウはあまり生えていません。

 法面を牧草ではなく樹木で緑化したなら、外来種の繁茂も防げそうです。ただし、大きくなる木は枝が道路に張り出してくるので刈り込みをしなければなりませんし、強風などで倒れると処理が大変です。法面には大木になるような木は向かないのです。

 自生種の中からあまり大きくならないような樹種を選んで緑化に利用することで、外来種の繁茂を防ぎ、景観的にも優れた緑化ができるのではないでしょうか。このあたりであればケヤマハンノキほど大きくならないミヤマハンノキあたりが適しているのかもしれません。

 種子の散布などで少しだけ人が関り、あとは自然にまかせることで外来種の繁茂を抑えることができたら一石二鳥ではないでしょうか。  


Posted by 松田まゆみ at 17:25Comments(0)外来種

2008年07月20日

山の中の外来種




 先月、タウシュベツの皆伐地に行ったとき、作業道の脇にハルザキヤマガラシという帰化植物の花が咲いているのを見つけました。

 タウシュベツは林道からさらに作業道を入った奥地ですが、こんなところにも簡単に帰化植物の種が運ばれてしまうのです。作業道は昨年整備したときに砂利を敷いているので、砂利の中に種子が混じっていた可能性があります。

 このハルザキヤマガラシという植物は、河原や空き地などにしばしば群生しています。満開のときには一面黄色になって、遠目には菜の花のように見えます。でも、河川敷という自然の場所に帰化植物が群生してしまうのは問題ですね。

 このように河原から砂利を採取して山の中の林道に敷くと、そこに混じっているさまざまな植物の種まで運んでしまうことになります。ムシトリナデシコなども河原に群生していることがありますが、種が砂利に混じってあちこちに運ばれることになるのです。

 しかも、最近では大雪山国立公園の中の渓流にまでハルザキヤマガラシが侵入しているのですね。道路の法面や空き地、林道などには帰化植物は入りこんでいますが、渓流に侵入しているというのはかなり由々しき状況です。

 タウシュベツの隣の沢の皆伐地では、昨年の秋にアメリカオニアザミも見かけました。もちろん帰化植物。アメリカオニアザミは繁殖力が非常に旺盛で、一度侵入するとどんどん増えていきます。

 人が裸地をつくることよって、人里離れた山の中にまで帰化植物が侵入してしまいます。そしてもともとそこにある在来の植物を脅かしてしまうのです。  


Posted by 松田まゆみ at 10:48Comments(0)外来種

2008年04月08日

国土交通省の呆れた看板



 先日、紋別方面に出かけたのですが、諸滑川にかかる橋を渡るときに目を疑うような看板を見つけました。あまりにびっくりしたので、引き返して写真を撮ってきました。

 この看板があったのは橋のたもとの堤防の上です。河川管理者の国土交通省が設置したもののようですが、この看板、いったい何をいいたいのでしょうか?

 看板にはコスモス、ルドベギア、ナデシコ、矢車草など6種の花の写真が並べられ「川を飾る花たち」と書かれています。どれも園芸植物です。ということは、河川の周辺を園芸植物で飾りましょうということなのでしょうか?

 このあたりでこれらの園芸植物の種を蒔いているかどうかは知りませんが、もしそんなことをしているのであれば河川に外来種を積極的に導入することになるのですから穏やかではありません。そうでないなら、どういう意味なのでしょうか?

 十勝の札内川では、河川敷にムシトリナデシコが入り込んで花の季節にはピンク色に染まっているところがあります。また、音更川では河川敷にルピナスの種を蒔いた人がいました。種を蒔いた人は観光名所にしようと思ったのでしょうけれど、人為的に外来種を持ち込むというのは河川の生態系、生物多様性を破壊する行為です。北海道では両種ともあちこちで野性化していて問題視されています。

 園芸植物を楽しむのは結構ですが、それは個人の庭や公園など、きちんと管理できる範囲に限定すべきでしょう。とりわけ繁殖力が旺盛で簡単に野生化してしまうような植物は、自然の中に逃げ出さないようにしなければなりません。ルドベギアなどは北海道の気候によく合って繁殖力も旺盛ですから要注意植物です。

 日本は生物多様性条約を締結し、それに基づいて「生物多様性国家戦略」「新・生物多様性国家戦略」を策定しました。このために河川法が改正されて、国土交通省も環境の保全を図らなければならないことになっています。生物多様性を破壊する外来種などは、駆除の対象といえます。

 このようなことがまったくわかっていないような看板に、驚き呆れてしまいました。  


Posted by 松田まゆみ at 16:18Comments(2)外来種

2007年06月28日

キバナコウリンタンポポの脅威


 コウリンタンポポの花の季節になりました。北海道では路傍や空き地などに群生し、オレンジ色の花を咲かせます。

 このコウリンタンポポに外見がそっくりなのに、黄色の花を咲かせるものがあります。コウリンタンポポと同じ種だと思っている人も多いのですが、こちらはキバナコウリンタンポポという別種。両方ともヨーロッパ原産の帰化植物です。写真のオレンジの花はコウリンタンポポで、黄色の花はキバナコウリンタンポポ。

 この2種は、タンポポと同じように地上部に茎をもたず、地際から葉を出します。ですから、草刈をしても平気です。でも、丈の高い草が侵入してくると、日陰になって負けてしまうようです。そのためか、ときどき草刈をする道路際には、どんどん広がっています。

 北海道では以前はコウリンタンポポの方が普通で、キバナはあまり見られませんでした。ところが、近年ではキバナがどんどん増えているようなのです。黄色いのが目立つようになってきたと思っていたら、みるみるうちにキバナが増加し、私の住んでいるあたりでは今では圧倒的にキバナになってしまいました。庭にも侵入してくるので抜き取るのですが、ちょっと手を抜くと、どんどん広がってしまいます。どうやら根が地下でつながっているようです。

 その拡大のスピードの速いことには驚かされます。コウリンタンポポとキバナコウリンタンポポは似たような形態で、同じようなところに生育するために、競争が生じると思うのですが、どうしてキバナの方がこんなに優占してしまうのか不思議です。キバナの方が優れた繁殖戦略を持っているのでしょうか? コウリンタンポポはキバナと共存することができるのでしょうか?

 両方とも帰化植物ですから、繁茂するのは困ったものなのですが、こんなふうにキバナが侵略してくる様子を目の当たりにすると、帰化植物のたくましさにたじろいでしまいます。
  

Posted by 松田まゆみ at 15:42Comments(2)外来種