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鬼蜘蛛おばさんの疑問箱 › えりもの森裁判

2009年11月27日

背景にある癒着構造

 25日は「えりもの森裁判」の2回目のラウンド法廷での論点整理でした。裁判官が原告と被告に質問をして主張を確認していくのです。裁判長としては主張がほぼ出揃った今の段階で、論点をきちんと整理しておくことが重要と考えているようです。裁判所は2回のラウンド法廷をもとに、原告と被告の主張の食い違いを整理してまとめるそうです。

 林業のことはただでさえ一般の方には分かりにくいのですが、この問題をいっそう分かりにくくしているのは、受光伐として森の木の一部を伐って苗を植えるという一連の契約と履行の中に、重なるようにしていくつもの違法行為があり、その背景に行政と業者の癒着疑惑が絡んでいるからなのです。一般の人が監視しているわけではない山の中で、森林管理者と業者が癒着して、非常にいい加減に道民の財産である木材の売買が行われていたということなのだと思います。これまでそのようなことにメスを入れる人がいなかったので、こうした構図が公の場で明らかにされていなかっただけのことなのです。それを明らかにして、このような伐採をやめさせることが裁判の目的です。

 そもそも「受光伐」の目的は木材生産でもないし皆伐地への植林でもありません。抜き伐りをすることによって日陰になっている下層木に光を当て、若木の生長を促進させて複層林化を図ることが目的なのです。376本の木を抜き伐りする契約でありながら、376本以外に400本以上もの木を伐って皆伐状態にしたのです。被告は、植林の邪魔になる細い木などを伐って「地ごしらえ」をしたところ、結果として皆伐になったと主張しているのですが、若い木を育てて大きくするのが受光伐ですから、若木を伐って一面を植林地にするという行為自体が矛盾しています。これは拡大造林にほかなりません。

 ほかにも森づくりセンターと業者による二重の収穫調査や、支障になっていない樹木を支障木と認定してタダ同然のような価格で売却したり、伐区の範囲を超えて伐採したり・・・とおかしなことが続々とわかってきたのですが、これらのことも癒着構造を考えると合点がいくことなのです。

 伐採するのは業者ですが、発注者である森づくりセンターには監督責任があります。森づくりセンターは跡地検査といって、伐採したあとで伐根の検査をしています。伐採契約の二倍以上もの本数を伐って皆伐になっていても、検査で適正な伐採だったとしているのですから驚くばかりです。癒着構造によって皆伐という不正行為を見逃し、植林をすることで業者の仕事づくりをし、委託する必要のない収穫調査まで業者に委託してお金を払い、支障になっていない木を支障木として認めて安く売却するなど、業者を優遇しているとしか考えられません。この裁判からは、癒着まみれの土木公共事業と変わらないような、すごい世界が垣間見えます。

 提訴したのは2005年の年末ですからかれこれ4年。1年以上を入口論に費やして2007年の2月に中間判決で原告の勝利。本論に入ったのは2007年の春からですので、次回の2月のラウンド法廷で中間判決から3年になります。思っていたより長い裁判になっていますが、提訴してから新たに不可解なことが次々と生じたという事情があります。さて、いよいよ来年は大詰めを迎えそうです。
  


Posted by 松田まゆみ at 17:04Comments(0)えりもの森裁判

2009年10月08日

北海道の矛盾した説明に唖然

 6日は「えりもの森裁判」でした。といっても、今回はラウンド法廷という円卓の法廷で非公開で行われました。この裁判を起こしたことで、問題としている皆伐に関連してつぎつぎと不可解なことがわかってきたのですが、それによって論点が解りにくくなってしまいました。裁判所も論点の整理をしたいということで、裁判官が原告と被告に疑問点を聞くことを目的に円卓での口頭弁論になったのです。論点の整理ですから、裁判官が原告と被告の主張に対して「こういう理解でいいのか」という具合に、具体的に確認の作業をしていくということです。

 えりもの森裁判で私たちが主張しているのは、「天然林受光伐」としながら実際には皆伐して植林をし、さらに集材路の造成でナキウサギの生息地を破壊したということです。受光伐とは、森林の一部を伐採することによって、森林の内部にまで光が当たるようにし、稚樹や若木など下層木の生長を促して森林を複層化する伐採方法のことです。すなわち、後継樹の成長を促すことを目的に、単木または群状の抜き伐りをすることです。天然林を皆伐して植林をするという行為は、とうてい受光伐などといえるものではなく、拡大造林そのものです。そして、売買契約をした376本よりはるかに多い木を伐っていました。この過剰な伐採について被告は、植林の邪魔になるので伐ったと主張していますが、植林の支障になっていない木も多数伐られています。この伐採においては、収穫調査から木材の販売、さらに伐採の区画をめぐってさまざまな疑問や疑惑が生じています。私たち原告は、こうした一連の行為が違法だといっているのです。

 さて、今回の話しの中で、内心、非常に憤慨したことがあります。というのは、被告である北海道の職員の「玉取り」についての説明です。

 収穫木を指定するための調査野帳には、収穫木の376本の木の樹種や胸高直径などのデータが記入されているのですが、376本の収穫木のうち、胸高直径36センチ以上の木の根株にはナンバーテープとピンクのスプレー、34センチ以下の木(これを「玉取り」としている)にはピンクのスプレーで印をつけたことになっています。つまり収穫木にはスプレーがなければならないことになります。しかし、伐採した直後に実際に現場の伐根を確認したところ、ナンバーテープもスプレーもない伐根が複数ありました。すなわち盗伐が疑われるのです。

 昨年の秋、裁判所と原告・被告が現地に検証に行きましたが、その際に原告らはナンバーテープもスプレーもないウダイカンバ(ウダイカンバの材は高額)の伐根を指し示しました。この木は植林の邪魔にはなっていません。ですから盗伐が疑われるのです。すると道職員は、「このあたりは直径が小さめな木が多かったので、区画を決めてその中の34センチ以下の木を玉取り扱いにした。だから区画内の木にはスプレーをつけていない」という説明をしたのです。たとえ「玉取り」する区画を決めたとしても、収穫木に印をつけながら調査しなければ、どの木を調査したのかもわからなくなるでしょう。とても不可解な説明です。

 ところが、6日の口頭弁論では、現地での説明と異なる説明をしました。つまり、「玉取り」とは胸高直径34センチ以下の収穫木を野帳へ記入する際の様式であり、業者はナンバーテープとスプレーで特定されている376本の収穫木を伐ったという主張です。ならば、スプレーのない伐根はどう説明するのでしょうか? 現場での説明と法廷での説明が明らかに食い違っており、現場での説明は言い逃れとしか思えません。

 これでは、いったい何のために現地に行ったのでしょうか。現場での道職員の説明は何だったのでしょうか? 裁判官に対し、こういう矛盾した説明を平然とする道職員には心底呆れるというか、怒りを覚えました。

 次回も、ラウンド法廷で論点の整理の続きをすることになっています。
  


Posted by 松田まゆみ at 16:00Comments(6)えりもの森裁判

2009年06月20日

えりもの森の皆伐は疑惑のデパート

 19日は「えりもの森裁判」の口頭弁論でした。前回は4月17日だったのですが、ブログ非公開事件のために報告していませんでしたので、今回まとめて報告します。

 4月の原告の準備書面では「請求の変更」と「ナキウサギ生息地の破壊」について論じましたが、今回、それに対して被告からの反論がありました。前回と今回の口頭弁論での論点は、「越境伐採問題」と「請求の変更」についてです。

 越境伐採については「越境伐採疑惑と林班図」「越境伐採の隠蔽工作?」に書きましたので、詳細はそちらを参照してください。原告は、林班図の区画を超えて伐採していることを越境伐採であり違法行為だと指摘しているのですが、被告はこれに対し「平成13年の時点で基本図が変わっていた」と反論しました。林班の基本図が変更されて区画の線引きが変わっていたという、驚くべき主張です。

 森林の区画(林班や小班)は森林管理の基本となるもので、森林の戸籍ともいえる森林簿も小班ごとに記載されています。したがって、特別な事情がない限り簡単に変更するようなものではありません。区画を変更したなら、森林簿に記載された小班の面積や蓄積量も書き換えなければならないはずです。いったいどんな理由があって、そんな面倒な変更をしなければならないのでしょうか? 皆目見当がつきません。私には、困り果てた末の言い訳としか思えません。

 さて、この「えりもの森裁判」は、たまたまえりもの道有林に調査に入っていた自然保護団体のメンバーが、天然林の皆伐と作業道によるナキウサギの生息地の破壊を発見し、それが違法であるとして住民監査請求をしたことがはじまりです。監査請求が不受理とされたために住民訴訟を起こしたのです。このときの請求では、「日高支庁長が、契約を締結した支庁長個人に損害賠償の請求をせよ」としていました。ところが、その後の原告らの調査や裁判の中で、次々と問題の詳細が明らかになってきたのです(それらについては、このブログのカテゴリー「えりもの森裁判」で報告しています)。たまたま見つけた伐採について深く追求していったら、伐採と植林がセットとなった、まるで疑惑のデパートともいえる道有林施業の実態が見えてきたのです。

 そこで原告らは、法律構成をより具体的にするために4月に「訴えの変更」をしました。当初は「契約及びその履行」に違法があったと主張していたのですが、日高森づくりセンターのセンター長への監督義務違反や履行全体(一面を伐採したこと)に対する損害賠償など、請求内容をより具体的にしたのです。ところが、被告はこの変更を認めないと主張しました。

 原告としては、違法な事実には変わりがないので、被告が変更を認めないことに正当な理由はないと考えています。被告は裁判によって次々と明らかになってきた疑惑、すなわち原告らの詳細な請求内容に反論できないために、請求の変更を認めたくないのでしょう。今回の被告の主張に対し、次回に原告が反論します。その後は、被告である北海道がこれまでの原告の主張に対して反論し、双方の主張が出揃った段階で立証に入ることになります。

 2005年の末に提訴したこの裁判も3年半が経過し、違法性の主張はほぼ終わって最後の段階に入ります。これまで道有林でどのような施行が行なわれていたかは、一般の人に知られることがなくベールに包まれていました。裁判でその実態に切り込んだことで「疑惑のデパート」が次第に明るみになってきたのです。そのような意味で、原告としては画期的な裁判だと思っているのですが・・・。

  


Posted by 松田まゆみ at 14:13Comments(2)えりもの森裁判

2009年02月15日

越境伐採の隠蔽工作?

 2月13日は「えりもの森裁判」の口頭弁論でした。この日の主張は前回もお知らせした越境伐採疑惑なのですが、さらに驚くべき新たな事実が明らかになったのです。

 この裁判で問題にしているのは152林班の43小班(10伐区、2.40ヘクタール)で行なわれた伐採です。書類上では日高森づくりセンターは、ここで376本の木の収穫調査を行い立木のまま業者に販売したということになっています。

 ところが実際には43小班(10伐区)の区画から大きくはみ出し、しかも700本を越える伐採が行なわれていたのです。その越境した面積はおよそ1ヘクタールほどもあります。こんなに越境していたなら林班図と現地を見比べてすぐに気づくはずです。ところが、私たちは現場に何回も行っているのに、10月の現地裁判のときまで越境していたことにはっきりと気づきませんでした。なぜでしょうか?

 私たち原告がここの皆伐地を発見したのは平成17年の9月のことです。この皆伐に疑問を抱いた原告は、伐採に関わる資料を情報公開で入手しました。その資料の林班図は、実際の伐採状況に近いような形になっていたのです。そして私たちはこの図が43小班(10伐区)の線引きだとずっと信じていました。

 しかし、昨年10月の現場検証のときに被告の出した図面(伐採の実態に即した図)によって越境伐採疑惑が持ち上がりました。なぜなら、その図面は上記の情報公開で入手した図とも異なっていたのです。いったいこれはどういうことなのか?

 そこで43小班(10伐区)の線引きについて再度調べ直してみたのです。すると、情報公開で入手した図はなんと北側のラインが修正液のようなもので修正されて範囲が拡大された痕跡があったのです。今回の口頭弁論でも林班図の原図を実際に見せてもらったのですが、確かに小班の線を白く消した跡がはっきりとわかりました。「なんじゃこりゃ?!」という感じです。

 つまり我々に越境伐採を見破られないように、情報公開の資料では小班の区画を勝手に修正し本来の区画より広くした図を出したと推測されるのです。これって、文書の偽造では・・・。ところが、実際にはその図面よりさらにはみ出て伐採していたのです。そこで伐採の実態に合わせて線引きした図面が現地裁判のときに出されたのです。これまでも情報開示で入手した文書と裁判で出された同じ文書の日付が異なっていたという不可解なできごとも起きており(「原告の主張を展開します」参照)、被告が文書を改ざんしている疑惑が拭えません。

 越境伐採は、日高森づくりセンターの職員が森林管理の権限を逸脱して北海道の財産を業者とともに伐採・搬出したということですから、森林法197条(保安林内の盗伐)に違反した違法行為といえます。

 被告側は越境伐採を「誤差」だというような弁解をしているのですが、1ヘクタールもの誤差など常識的に考えられず、故意によるものとしか思えないのです。どうもこの裁判では、突っ込めば突っ込むほどさまざまな疑惑がゾロゾロ出てきます。道民の財産である道有林が、道民の知らないところでいかにいい加減に扱われているかということなのです。

 裁判のあとにこの越境伐採について記者会見をしたのですが、マスコミの皆さんもかなり興味津々という感じでした。
  


Posted by 松田まゆみ at 11:01Comments(2)えりもの森裁判

2008年12月06日

越境伐採疑惑と林班図

 昨日は「えりもの森裁判」の口頭弁論でした。

 今回、裁判所に提出した準備書面は生物多様性に関する主張ですが、法廷で裁判長がこだわっていたことのひとつは、以下の記事にも書いた越境伐採疑惑に関わる林班の図面に関することです。

現地裁判報告(1)

 森林を管理するためには、森林の位置を定めて区分けし、その区分けごとに状況を詳しく記載した台帳が必要になります。

 森林の位置を定めているのが林班図です。森林は尾根や沢、林道などを利用して「林班」という区画に線引きされています。林班はさらに森林所有者、樹種、林齢、作業上の取り扱いが同一な部分などによって小班に細分されています。

 小班ごとに森林の状況を詳しく記載した台帳を森林簿といいます。森林簿には所在地や所有者、面積、林種、施業方法、樹種、林齢、平均樹高、伐採の方法、材積、成長量などさまざまな項目が記載されています。

 森林の伐採計画も当然のことながら森林簿をもとに立てられます。ですから、森林管理の土台となっている区画の線引きは、簡単に変えるようなものではありません。

 ところが大変不可解なことに、被告が現地裁判で出した図面の小班(伐区)の線引きは契約時の図面と異なっており、現地(伐採の実態)に即した線引きになっているのです。林班図が契約時とそれ以降で書き換えられている可能性があります。

 このために、原告は被告に対して「契約に添付されている林班図の原図」を見せるように要求しました。

 被告は、契約の対象となっている伐採に即した図面(伐採の実態に合った図面)が適正だと主張したいようです。でも契約より実態が適正などというのは、どう考えても変です。

 原告は、伐採の契約書に添付されている図面に基づいて伐採範囲が限定されなければならないという考えです。伐採計画は小班ごとに立てられるのですから、小班を越えて収穫調査を行うということにはなりません。小班を越えて収穫調査をし、それに基づいて伐採しているのであれば越境伐採であり、違法といえるでしょう。

 被告は次回までに林班図を出すことになっています。さて、どんな図面が出てくるのでしょうか。
  


Posted by 松田まゆみ at 14:43Comments(1)えりもの森裁判

2008年11月03日

現地裁判報告(3)

説明できない受光伐と支障木

 裁判のもっとも核心的な部分は「受光伐」を理由にした「皆伐」です。売り払い木は376本と支障木18本なのですから、それ以外の樹木は残っていなければなりません。ところが、376本のおよそ2倍もの本数の木が伐られ、皆伐状態になっているのです。

 北海道では、平成14年度から木材生産を目的とした伐採を全面的に中止し、公益的機能を重視することを打ち出しました。そして、森林内の光環境を改善するためとして「受光伐」を取り入れたのです。一部の木を伐採することによって林内に光を当て、後継樹を育成するというのです。

 北海道は、天然林で受光伐をした後の更新方法として 1.林床の稚樹の育成 2.掻き起こしによる後継樹の発芽促進 3.植え込み を行なうとしていますが、植え込みというのは優先順序の最後です。そして、最終的には連続的な複層林(針広混交林)へと誘導するというのが基本的な考え方です。

 当該地域には収穫木のほかにも木があったのですから、まずそれらを育てなければなりません。また、後継樹が少ないところでは掻き起こしをすることで発芽を促進しなければなりません。ところが、実際には皆伐してトドマツを植林したのです。

 このような施業は天然林を針葉樹の人工林に変えるものであり、拡大造林といわれています。北海道の方針とはまったく逆のことをやっているのです。

 大径木の少ないところでは、範囲を決めてその中の胸高直径34センチ以下の収穫木をすべて伐る「玉取り」という方法を採用したそうです。ところが、実際には皆伐されているために「玉取り」の場所と、それ以外の場所の区別もつきません。皆伐なのですから、「玉取り」の場所を設定する意味もわかりません。

 もうひとつのハイライトだった「支障になっていない支障木」ですが、これも被告は「支障になっている」ことについてまっとうな説明ができませんでした。

 被告の説明に裁判長が首を傾げる場面もありました。



  


Posted by 松田まゆみ at 13:45Comments(0)えりもの森裁判

2008年11月02日

現地裁判報告(2)

シカを誘引した皆伐地

 私たち自然保護団体がえりもの皆伐地を発見したのは2005年の秋です。そのときは伐根もなまなましく、地表は伐採や地ごしらえのためにブルドーザーで撹乱されていました。

 それから3年、久しぶりに現地を目の当たりにして驚いたのは、皆伐地がすっかり草原化していたことです。皆伐地の大半がスゲと思われる植物に覆われていて、それが草刈をしたようにシカに食べられています。エゾシカの格好のお食事場になっているのでしょう。そして、植栽されたトドマツや自然に芽生えたカンバの苗がことごとくシカの食害にあっていたのです。




 光があまり当たらない林床であれば、こんなにスゲが繁茂してしまうことはありません。皆伐によって直射日光がさんさんと降り注ぐようになり、スゲがどんどん広がってしまいました。それを食べにきたエゾシカが苗木まで食べてしまったのです。

 私が裁判長にこのことを指摘すると、被告側の道職員は「今の発言に間違いがある」と口を挟み、「苗がこのようになっているのはシカの食害ではなく、寒さによる霜害だ」と反論しました。唖然です。




 苗を良く見ればシカが噛み切った痕がはっきりとあるのです。ほとんどの苗がシカに食べられており、刈り込まれたようになっています。それを霜害とは… たしかに霜害も一部に見られましたが、大半の苗は食害にあったために正常に伸びることができず、盆栽のようになっているのです。

 たとえ春先に強い冷え込みがあっても、上部に樹木があれば霜も降りにくくなります。皆伐によって霜害を受けやすくなったといえるでしょう。事実、林道脇に自然に芽生えた稚樹はシカの食害にも霜害にもあっていませんでした。

 皆伐して植林したのは失敗であり、不適切な更新方法だったといえます。

 霜害と食害の区別もつかない職員が「森づくり」をしているのであれば、お粗末としかいえませんね。はからずも職員のレベルの低さが露呈される結果となりました。  


Posted by 松田まゆみ at 15:15Comments(0)えりもの森裁判

2008年11月01日

現地裁判報告(1)

浮上した越境伐採疑惑

 昨日は「えりもの森裁判」の進行協議(事実上の現場検証)がありました。待ちに待った裁判所による現場確認です。

 前日、私は現場検証に備えて資料などをチェックしていたのですが、皆伐地の衛星写真を見ていてしばし頭を抱えてしまいました。これまで情報開示で入手した伐区の図と、皆伐地の範囲が合致していないのです。伐区の図と写真をしばらく睨めっこしていましたが、どう見ても皆伐区域が伐区からはみ出しています。

 さて、現地で渡された被告(北海道)の「進行協議期日説明用資料」の地図を見て、仰天しました。その地図に書かれている伐区の形が、これまで原告が情報開示で入手していた伐区の図と異なっていて、実際に伐採が行なわれた場所を囲むように線引きが変わっているのです。伐区の境界線が部分的に隣の小班に食い込んで引かれています。

 伐採前と伐採後で伐区の線引きが変わってしまうなどということは普通ありえませんし、信じがたいことです。とすると… 森づくりセンターの職員が越境して収穫調査を行ったという疑いが浮上してきます。そして、越境伐採を隠すために後から伐区の線引きを意図的に変えたのではないかという疑惑が生じるのです。

 収穫調査をする際、職員は伐区の範囲を確認することになっています。伐区沿いに林道があって分かりやすい場所ですから、伐区の境界を誤るなどということは常識的に考えられません。

 ところで、公有林での越境伐採は過去にも明るみになっています。林野庁が上ノ国町で行なったブナ林の伐採では、自然保護団体が越境伐採を見つけました。そして自然保護団体の調査で大量の過剰伐採や違法な土場、集材路などが発覚したのです。林野庁は収穫調査の際に職員が林班の境界を誤ったと釈明していますが、林班界は尾根上にあって分かりやすく、現場に詳しい職員が誤認するとは考えられません。

 1987年には、大雪山国立公園内の然別湖北岸でも、幅200メートル、長さ1キロメートル以上にわたって越境伐採(択伐)が行なわれていたことが自然保護団体の調査で明らかになりました。清水営林署(当時)も越境択伐の事実を認めましたが、原因ははっきりしませんでした。

 公有林では以前から原因のはっきりしない越境伐採が行なわれているのです。自然保護団体などが調査しない限り、このようなことはまず発覚しないでしょう。

 今回の疑惑については、今後の裁判の中で追求していくことになります。疑惑がまたひとつ増えました。  


Posted by 松田まゆみ at 14:00Comments(0)えりもの森裁判

2008年09月20日

裁判所が現場へ!

 19日は「えりもの森裁判」の口頭弁論で札幌に行ってきました。

 今回の口頭弁論の最大の関心事は、春から要望していた現地確認のことです。被告側は現地に行くことを渋っていたのですが、前回の口頭弁論では裁判所は予定日まで決め、かなり乗気であることが感じとれました。そして、今回それが決定されたのです。

 裁判所が現地に行くというのがどういうことなのか分からない方もいると思いますので、少し説明しましょう。

 北海道ではかつて「大雪山のナキウサギ裁判」というのがありました。自然保護団体のメンバーらが、大雪山国立公園の士幌高原道路(道道)の道路建設に関する支出をしてはならないとして、1996年に当時の堀知事を提訴したのです。

 この裁判で、提訴の翌年の1997年10月9日に「山上裁判」と呼ばれた現地検証が実現しました。裁判所の職員9名、原告・弁護団・支援する自然保護団体のメンバーなど原告側が40名、被告側が5名、さらにマスコミ関係者など合わせると総勢80名以上が、道路の建設予定地周辺を見るために登山をしたのです。道路建設予定地に広がる希少な自然について、裁判長にその目で見て知ってもらうのが目的でした。

 この現地検証では、原告側が風穴、ナキウサギ、植物、クモ、地質などこの地域の特有な自然について、まさに現場で裁判長に訴えたのです。落葉と雪が横から吹き付けてくるような荒天でしたが、現場は支援者の熱気に満ちていました。

 公共事業の裁判で、着手前にこのような現地検証をするのは全国でも初めてのことで、メディアも注目しました。

 「えりもの森裁判」の場合はすでに伐採が行われてしまっているので、着手前の検証ということではありません。原告がこれまで写真や書面などで説明してきたことを、裁判所に現場で確認してもらうことになります。

 現場は皆伐状態になっていますが、受光伐として伐採された木には伐根に印がつけられ、「地ごしらえ」との名目で伐られた木には印がつけられていません。また支障木として伐られた木にもナンバーテープがつけられています。ブルドーザーで破壊されてしまったナキウサギ生息地もあります。それらを裁判所に見てもらい、原告、被告の双方が説明をすることになっています。

 その現場確認の日は10月31日です。森林伐採問題を考えていくうえでも、注目される野外裁判だと思います。  


Posted by 松田まゆみ at 15:01Comments(2)えりもの森裁判

2008年07月03日

明日は口頭弁論

 「えりもの森裁判」の口頭弁論のお知らせです。

 明日は原告の意見陳述も予定していますので、ご都合のつく方は傍聴をよろしくお願いいたします。

 裁判所にはできるだけ早いうちに現地での検証をしたいとお願いしていたのですが、北海道側が異を唱えているようで早期には実現しませんでした。今ごろ現地はハンゴンソウの草原になっているのでは・・・。ハンゴンソウはエゾシカが食べないために、開けたところに生い茂ってしまうのです。

えりもの森裁判口頭弁論
7月4日(金) 10:00~
札幌地方裁判所 8階 3号法廷
  

Posted by 松田まゆみ at 10:46Comments(2)えりもの森裁判