さぽろぐ

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2008年03月11日

観光ギツネ

 この写真はとある展望台の駐車場で、車がくるのを待っている「観光ギツネ」です。

 「観光ギツネ」とは、道路や駐車場などに出没して、観光客から餌をおねだりするキツネのことです。以前はあちこちでこのようなキツネを見つけました。中には車がくると道路の真ん中に寝そべってしまうものもいました。車をストップさせようというわけです。繁殖期が終ると、家族連れの「観光ギツネ」が現れることも・・・。

 「観光ギツネ」は、車が止まるとノコノコやってきて、物欲しげに車内の人を窺います。そのしぐさがとてもかわいいのです。でも、食べ物を与えてしまうのは禁物。物欲しげな顔をしてこちらを見るのですが、心を鬼にして何もあげません。

 とりわけ道外からの観光客はキタキツネが珍しいとあって、ついつい餌をあげてしまうのですね。でも、「キツネに餌をあげないで」という呼びかけもあって、最近では餌をあげる人も、このようなキツネも減ってきたようです。

 キタキツネの場合はエキノコックスの感染に関ってきますので、みだりに近づかないようにすべきなのですが、逆に人が野生動物に病気をもたらしてしまう危険性もあります。

 大雪山などではシマリスがよく登山者から餌をもらっていますが、野性動物のためにも人の食べ物を摂取したり、人間に依存してしまうのは良いことではありません。写真撮影のために餌を置く人もいますが、そこまでして撮影すべきでしょうか? 野生動物への影響やマナーを考えて欲しいですね。

 自然状態での採餌が困難になってしまった(人間がそうしてしまったのですが)シマフクロウやタンチョウなどの場合は給餌もやむを得ませんが、そのような特別の事情がない野生動物への餌付けは基本的にはやめるべきでしょう。  


Posted by 松田まゆみ at 14:01Comments(1)哺乳類

2007年11月04日

「クマの木」だらけの線路跡地

 かつて、帯広から十勝三股まで旧国鉄士幌線という鉄道が通っていました。十勝三股は林業で栄えた集落ですが、伐採する木がなくなって林業が衰退し、1978年には十勝三股と糠平の間は列車が運行されなくなったのです。そして線路跡地にはケヤマハンノキやアカエゾマツの若い木が育っていき、ときどき「鉄ちゃん」(鉄道マニア)が訪れるくらいでした。

 今から10年ほど前に、十勝三股の近くの廃線跡地をK氏と歩いたことがあります(ただし、われわれは「鉄ちゃん」「鉄子」ではありません)。

 線路跡地を歩いていると、自然に生えたケヤマハンノキやアカエゾマツに、クマの爪痕や噛み痕があるのに気づきました。さらに、不自然に幹が折れたアカエゾマツもあります。そうです、「クマの木」です。それが、線路跡地に集中してあるのです。橋の部分に張られた有刺鉄線には、クマの毛が絡みついているではありませんか。この線路跡地は、クマの通り道だったのです。

 そういえば、以前、鉄ちゃんがこの線路跡地の鉄橋を歩いていたら、反対側からヒグマがやってくるのが見えて、一目散に国道に向かって走って逃げたという話を聞いたことがあります。逃げ場のない橋の上で、クマさんとご対面ですよ!

 そこで、この線路跡地の「クマの木」をK氏と調査したのですが、その時はさすがにクマ撃退スプレーを握りしめて歩きましたよ。何せ、ここはあまり見通しがよくないところが多いのです。傍らの藪からクマさんがヌッと出てくるのではないかとか、カーブを曲がったら線路の上にクマさんがいるのではないかとか・・・ ついつい考えてしまうのです。

 いやいや、本当に「クマの木」の多いところでした。線路跡地に沿って、爪痕や噛み痕、幹を叩き折った痕などが続いていました。

 クマさんも藪の中より線路跡地の方が歩きやすいのでしょう。でも、「クマの木」がこんなにある理由はそれだけではありません。砂利を敷き詰めて枕木の置かれた線路跡地は、クマの好物のアカヤマアリの巣がたくさんあるのです。クマにとっては餌が豊富で、しかも歩きやすいという絶好の場所なのですね。それで、優位の雄が、自分のなわばりであることを誇示するために、あちこちに目印をつけたのでしょう。有刺鉄線に引っかかっていた毛も、わざと体をこすりつけたのだと思います。でも、痛くないんでしょうか?

 その後、ここの木は伐られてレールが取り外されてしまったのですが、その作業員もクマさんに出会ったそうです。それに、ここを散歩していてクマさんを見かけたという人も複数います。地元の人の話しでは、列車が通っていたときも、このあたりではしょっちゅうクマを見かけたそうです。

 かつて千数百人もの人が住んでいた十勝三股も、今は二世帯しか住んでいません。住宅のすぐ近くにもクマが出てきます。まさに、クマの生活圏に住み、クマと共生しているのです。

 ところが、そんな「クマの道」におかしな計画がもちあがりました。(つづく)  

Posted by 松田まゆみ at 15:37Comments(0)哺乳類

2007年11月02日

クマの木

 北海道も晩秋となり、落葉が降り積もる季節です。そんななか、置戸町の中山風穴というところに行ってきました。岩塊地があって風穴となっており、ナキウサギも生息しているところです。

 何年か前に知人が行ったとき、道に真新しいヒグマの糞があったと聞いていたので、クマ撃退用のトウガラシスプレーも持って行きました。

 林道を少し登ったところで見つけたのは、ヒグマの爪跡がたくさんつけられ、樹皮が剥がされたトドマツの木。その少し先にも、同様の木があります。気をつけて見ていくと、爪跡や咬み跡のついた木があちこちにあるのです。そして、道にはクマの糞が・・・。

 爪あとがついた木はときどき見かけますが、これらの木は爪あとだけではなく、樹皮を咬んで大きく剥ぎ取っているのです。こんなふうに樹皮を剥いでいるのははじめて見ました。「これはすごい!」と思うと同時に、なんだかすぐ近くにクマがいるような気がしてきます。

 ヒグマが木の幹に爪跡や咬み跡をつけることは良く知られていて、「クマの木」と呼ばれています。そのような木は目立つところに多く、クマが木を咬んだり爪で引っかいたり、体をこすりつけて匂いをつけることで、優位な雄が存在を誇示すると考えられています。つまり、侵入してくる他の雄グマに対して、自分の存在をアピールするのです。

 こんなにたくさんの「クマの木」があるということは、どうやらかなり大きなクマのなわばりの中にいるということです! 秋は木の実などを求めてヒグマが人里近くに下りてくる季節です。しかも今年はヒグマの餌となるどんぐりが不なり年。暖かくて絶好の散歩日よりなのに、ついついクマの気配はないかと、あたりをキョロキョロ見回しながら歩くはめになりました。

 北海道では、森の中に入ったら、ヒグマの糞や足跡、爪跡、蟻塚を掘り起こした跡などをしばしば見かけます。でも、実物にはそう簡単にお目にかかれません。私も野生のクマを見たのは2回だけです。クマさんの方が、人の気配を察して避けているのでしょうね。  

Posted by 松田まゆみ at 14:14Comments(2)哺乳類

2007年10月18日

ナキウサギの棲める条件

 前回の記事で紹介した「ファウラ」のナキウサギ特集号には、ナキウサギは「涼しくないと生きられない」ということが書かれています。では、生存の条件となる「涼しさ」というのはどの程度なのでしょうか?

 ナキウサギは高山の岩場や、夏でも冷たい空気が吹き出してくる風穴でも平気なのですから、寒いところを好むのは確かです。なにしろキタナキウサギ(エゾナキウサギはキタナキウサギの亜種)はシベリアに広く分布していて、北海道は分布の南限にあたるのです。

 私は以前、ナキウサギは北海道の中でも寒冷な山岳帯にしか棲んでいないと思っていました。そして標高800メートルほどのところにある然別湖一帯の生息地は、低いところにある生息地として貴重だと思っていたのです。でも、実際には然別湖よりもっと標高の低いところにも生息しているのです。

 ここ数年来、大規模林道の建設予定地やラリー選手権のコースなど、低山のナキウサギ生息地の調査をしています。すると、標高のそれほど高くないところにも、岩塊地が点々とあり、ナキウサギが生息していることがわかってきました。そして生息地の「涼しさの条件」に疑問を持ちはじめたのです。標高が低くても、風穴現象が見られなくても、生息に適した岩塊地があればナキウサギは棲むことができます。日高の幌満(標高50メートル)の生息地も風穴現象は見られません。

 ということは、現在の北海道の気候であれば、岩塊地があれば平地でも生息できるといえそうです。もっとも平地には岩塊地がないので、ナキウサギは棲みようがありません。

 高山に生息する動植物の多くは、「寒くなければ生きられない」というわけではありません。高山植物を平地でも栽培できるように、温度に対しては適応力にある程度の幅があるのが普通です。高山植物が高山にしか分布できないのは、低山では他の植物と競合してしまうために競合相手の少ない高山でしか生きていけないという側面があります。

 「涼しい環境が好き」「寒さに耐性がある」ということと「涼しくなければ生きられない」ということは意味が異なります。エゾナキウサギは確かに「涼しいところが好き」で「寒さに耐性がある」のですが、それでは「どのくらいの涼しさが必要なのか」「どのくらいの暑さになると生息できなくなるのか」というと、北海道のナキウサギの分布からでは結局のところわからないということになります。  

Posted by 松田まゆみ at 14:49Comments(0)哺乳類

2007年10月16日

天然記念物にならないナキウサギ

 北海道の自然を紹介している写真雑誌ファウラの2007年秋号の特集は、エゾナキウサギ。ナキウサギのかわいらしい写真や情報が盛りだくさんです。

 ナキウサギは、日本では北海道の一部の地域にしか生息していない希少な動物です。日本のナキウサギは、岩が積み重なった岩塊地を棲みかとしています。「氷河期の生残り」といわれるのは、大陸と北海道が陸続きになった氷河期に、大陸から移動してきたといわれているからです。それだけでも、天然記念物の資格は十分にあると思うのですが、どういうわけか天然記念物に指定されていません。アマミノクロウサギは天然記念物なんですけどね・・・。

 ナキウサギは大雪山や日高山脈の高山帯にしか生息していないと思っている人も多いかもしれませんが、高山にしかいないというわけではありません。岩塊地は高山帯に多いために生息地も高山に多いだけで、岩塊地があれば標高の低いところにも生息しています。

 自然保護活動をしている私にとって、ナキウサギはとても縁のある動物です。大雪山国立公園の然別湖一帯はナキウサギの一大生息地ですが、その生息地のど真ん中に計画された士幌高原道路の反対運動のために然別湖一帯をずいぶん歩き、ナキウサギに何回も出会いました。この道路計画をめぐっては「ナキウサギ裁判」が起こされたのです。幸いなことに、道路計画は中止となり、ナキウサギの生息地は守られました。

 また、大規模林道(緑資源幹線林道)の建設予定地にもナキウサギの生息地があり、生息地の破壊や分断化の危険にさらされています。

 それから、世界ラリー選手権が開催されている林道にも、ナキウサギの生息地があるのです。ですから、その生息地にも何回も行きました。

 岩塊地という特殊な環境にしか棲めないナキウサギにとって、棲めるところは限られています。岩塊地が壊されたり環境が悪化したら、たちまち生存を脅かされることになります。開発行為などの危機にさらされているのは、このような標高の低いところに棲むナキウサギたちです。

 でも、不思議なことに天然記念物にもなっていないし、絶滅危惧種にもなっていません。そこで、「ナキウサギふぁんくらぶ」は文部科学省に天然記念物に指定するように働きかけているのですが、なかなか実現しません。

 なぜなのか? たぶん「天然記念物指定されたら都合が悪い」という人がいるのでしょう。

 詳しくは、以下の記事をどうぞ。

ナキウサギを天然記念物に

ナキウサギ、天然記念物指定めぐる本末転倒  

Posted by 松田まゆみ at 14:45Comments(0)哺乳類