鬼蜘蛛の網の片隅から › クモ
2024年08月15日
ナガコガネグモ
庭のカボチャの葉裏にナガコガネグモが網を張っていた。北海道で見られるコガネグモの仲間(Argiope属)はこの一種だけ。成体は夏の終わりから秋にかけて見られる。このクモが見られるようになると、夏もそろそろ終わり。雄は雌よりずっと小さく地味な色をしている。体長は雌が20~25mm、雄が6~10mm。コガネグモ科。
雌 2024年8月15日 北海道十勝地方
雄 2021年8月26日 北海道十勝地方
雌 2024年8月15日 北海道十勝地方
雄 2021年8月26日 北海道十勝地方
2024年08月10日
ニワオニグモ
庭にニワオニグモの雄がいた。自宅の庭で見たのは初めて。色彩に多少の変異があるが、オレンジ色に白い斑紋が入る美しいクモ。ヨーロッパでは庭などに普通に生息しているそうだが、北海道では安定的な生息地は標高700~800m以上の山地。それ以下の場所で見られることもあるが、定着はできないようだ。私の居住地も安定的な生息地ではない。体長は雌が15mm前後、雄が10mm前後。コガネグモ科。
2024年8月10日 北海道十勝地方
2024年8月10日 北海道十勝地方
2024年06月25日
ボカシミジングモ
全身がほぼ真っ黒の小さなクモで、アリを専門に捕食する。クモの体の何倍もある大きなアリを吊り上げて捕食しているところを見かけることが多い。今日見かけたものは人工物に網を張っていた。体長は4mm前後。ヒメグモ科。
2024年6月25日 北海道十勝地方
2024年6月25日 北海道十勝地方
2024年06月19日
クマダギンナガゴミグモ
ゴミグモの仲間には腹部が銀色で黒い斑紋がある種が何種類かおり、北海道にはクマダギンナガゴミグモとオオクマギンメッキゴミグモ生息している。クマダギンナガゴミグモは腹部が長めで普通に見られるが、オオクマギンメッキゴミグモは少ない。垂直円網の中央に頭を上にして止まる。体長は7mm前後。コガネグモ科。
雌 2024年6月18日 北海道十勝地方
雌 2024年6月18日 北海道十勝地方
2024年06月18日
ワカバグモの交接
今日はワカバグモの交接(交尾)を見ることができたので、その様子を紹介したい。クモの雄は触肢に精子を吸い取って持ち歩き、雌の腹部下面にある外雌器と呼ばれる生殖器に挿入して交接をする。このために、雄の触肢の先端は複雑な形態をしている。
橋の欄干にワカバグモの雌雄がいるのを見つけた(10:25)。右が雌で左が雄。雄は雌の後方から近づき、第1・2脚を雌に接触させている。雌の腹部の上に丸く見えているのが雄の触肢。雌に食べられないように後ろから接近するのだろう。
しばらくすると、雄がすごい速さで雌の前に向き合うように移動し(10:27)、あっという間に欄干から落ちた。
2頭のクモは欄干からぶら下がり、交接の態勢に入った(10:27)。雌雄が向き合い、雄は第3脚で雌の第3脚と第4脚を抱え込み、第4脚で雌の腹部後端を押さえている。糸にぶら下がったまま交接をするのが普通なのかどうかは分からないが、向き合ったと思ったら目にも止まらないような速さで落下したので、この態勢が一般的なのかもしれない。ぶら下がった態勢は、雌に捕食されるのを防いでいるようにも見える。
雄の触肢の動きは陰になってよく分からない。雌はじっとしていてほとんど動かない(10:28)
すると、風が吹いてきて2頭のクモがクルクルとすごい勢いで回転し、揺れた反動で欄干の錆びた柱に触れると雌はそこに前脚をかけて静止した。雄は右(向かって左側)の触肢を外雌器に挿入しているように見える(10:30)。
交接を終えて2頭が離れたのが10:32頃。交接の時間はおよそ5分くらいだった。
橋の欄干にワカバグモの雌雄がいるのを見つけた(10:25)。右が雌で左が雄。雄は雌の後方から近づき、第1・2脚を雌に接触させている。雌の腹部の上に丸く見えているのが雄の触肢。雌に食べられないように後ろから接近するのだろう。
しばらくすると、雄がすごい速さで雌の前に向き合うように移動し(10:27)、あっという間に欄干から落ちた。
2頭のクモは欄干からぶら下がり、交接の態勢に入った(10:27)。雌雄が向き合い、雄は第3脚で雌の第3脚と第4脚を抱え込み、第4脚で雌の腹部後端を押さえている。糸にぶら下がったまま交接をするのが普通なのかどうかは分からないが、向き合ったと思ったら目にも止まらないような速さで落下したので、この態勢が一般的なのかもしれない。ぶら下がった態勢は、雌に捕食されるのを防いでいるようにも見える。
雄の触肢の動きは陰になってよく分からない。雌はじっとしていてほとんど動かない(10:28)
すると、風が吹いてきて2頭のクモがクルクルとすごい勢いで回転し、揺れた反動で欄干の錆びた柱に触れると雌はそこに前脚をかけて静止した。雄は右(向かって左側)の触肢を外雌器に挿入しているように見える(10:30)。
交接を終えて2頭が離れたのが10:32頃。交接の時間はおよそ5分くらいだった。
2024年03月11日
クモの絵を描く楽しみ(原始的クモ類編)
今日は、少しずつ描いているクモの標本画(ケント紙に色鉛筆)のうち、原始的なクモ類の絵を紹介したい。といっても北海道在住の私はエゾトタテグモの他はキシノウエトタテグモとジグモしか標本を持ち合わせていないので、この3種のみ。いずれも地面に穴を掘って潜む。
【エゾトタテグモ】
上が雌、下が雄。カネコトタテグモ科。北海道の固有種。両開きの扉を持つ穴を地面に掘って日中は中に潜んでいるために人目につくことは少ないが、森林地帯を中心に低地から高山まで広く分布している。ピットフォールトラップには雄がよくかかるので、雄は夜間にかなり徘徊しているものと思われる。体長は雌が12~18mm、雄が10~14mm。
【キシノウエトタテグモ】
トタテグモ科。本州、四国、九州に分布。崖地などに片開きの扉をつけた横穴を掘り、中に潜む。腹部に淡色の縞模様があるのが特徴。体長は雌が10~15mm、雄が9~15mm。
【ジグモ】
ジグモ科。本州、四国、九州に分布。北海道では道南で記録があるが、人為的分布の可能性がある。樹木の根元などに穴を掘って糸で裏打ちした袋状の住居をつくるが、袋状の住居の上部は地上に出ており木の根元や塀などに付着させている。餌となる昆虫や小動物が袋部分に触れると、クモは袋越しに獲物に噛みつき住居の中に引きずり込んで食べる。体長は雌が12~20mm、雄が10~17mm。
【エゾトタテグモ】
上が雌、下が雄。カネコトタテグモ科。北海道の固有種。両開きの扉を持つ穴を地面に掘って日中は中に潜んでいるために人目につくことは少ないが、森林地帯を中心に低地から高山まで広く分布している。ピットフォールトラップには雄がよくかかるので、雄は夜間にかなり徘徊しているものと思われる。体長は雌が12~18mm、雄が10~14mm。
【キシノウエトタテグモ】
トタテグモ科。本州、四国、九州に分布。崖地などに片開きの扉をつけた横穴を掘り、中に潜む。腹部に淡色の縞模様があるのが特徴。体長は雌が10~15mm、雄が9~15mm。
【ジグモ】
ジグモ科。本州、四国、九州に分布。北海道では道南で記録があるが、人為的分布の可能性がある。樹木の根元などに穴を掘って糸で裏打ちした袋状の住居をつくるが、袋状の住居の上部は地上に出ており木の根元や塀などに付着させている。餌となる昆虫や小動物が袋部分に触れると、クモは袋越しに獲物に噛みつき住居の中に引きずり込んで食べる。体長は雌が12~20mm、雄が10~17mm。
2023年12月30日
クモの絵を描く楽しみ(エビグモ編)
今日は、今まで描いてきたクモの標本画の中からエビグモ科のクモを紹介しようと思う。
エビグモ科のクモは網を張らない徘徊性のクモで、歩脚が長く側方に伸びている。草本や樹木の枝葉、幹などに生息し扁平な体をしているものが多い。
【ブチエビグモ】
色彩・斑紋には変異があり、灰白色と黒のブチ模様が鮮明なものの他、全体的に灰褐色の個体や腹部に二つの淡色斑がある個体などがいる。
【ハモンエビグモ】
淡い灰褐色をしたエビグモで、河川敷などで見ることが多い。
【コガネエビグモ】
茶褐色の体色をしたエビグモで、北海道ではよく見かける。
【キタエビグモ】
私の居住地周辺ではよく見かける小型のエビグモ。
【キエビグモ】
腹部は濃灰褐色で、淡色の小斑が並ぶ。
【キハダエビグモ】
主に樹木の幹に生息しているエビグモ。
【ヤマトヤドカリグモ】
草地など開けた環境に生息し、地表近くの草間などで見かける。
【スジシャコグモ】
近縁のシャコグモに良く似るが、北海道にはスジシャコグモしか生息していない。第1、第2歩脚を揃えて植物の葉や茎などに静止していることが多い。
エビグモ科のクモは網を張らない徘徊性のクモで、歩脚が長く側方に伸びている。草本や樹木の枝葉、幹などに生息し扁平な体をしているものが多い。
【ブチエビグモ】
色彩・斑紋には変異があり、灰白色と黒のブチ模様が鮮明なものの他、全体的に灰褐色の個体や腹部に二つの淡色斑がある個体などがいる。
【ハモンエビグモ】
淡い灰褐色をしたエビグモで、河川敷などで見ることが多い。
【コガネエビグモ】
茶褐色の体色をしたエビグモで、北海道ではよく見かける。
【キタエビグモ】
私の居住地周辺ではよく見かける小型のエビグモ。
【キエビグモ】
腹部は濃灰褐色で、淡色の小斑が並ぶ。
【キハダエビグモ】
主に樹木の幹に生息しているエビグモ。
【ヤマトヤドカリグモ】
草地など開けた環境に生息し、地表近くの草間などで見かける。
【スジシャコグモ】
近縁のシャコグモに良く似るが、北海道にはスジシャコグモしか生息していない。第1、第2歩脚を揃えて植物の葉や茎などに静止していることが多い。
2023年12月09日
クモの絵を描く楽しみ(カニグモ編)
以前、「クモの絵を描く楽しみ」という記事で、コガネグモ科のクモの標本画を少し紹介した。その後も時間があるときにクモの標本画を少しずつ描いている。今回もまたリクエストがあったので、その後に描いたカニグモ科のクモからいくつかを選んでアップしたい(フノジグモ以外は寒冷地に多い種)。いずれもB6サイズのケント紙に色鉛筆で描いている。
カニグモ科のクモは網を張らない徘徊性のクモで、長くてがっちりした第一歩脚と第二歩脚で獲物を捕らえる。花や葉などの植物上で獲物を待ち伏せるもの、木の幹などを徘徊しているもの、落葉の下などに棲んでいるものなどがいる。
【ヒメハナグモ】
全身白色あるいは黄色で、腹部の肩に赤褐色の斑紋を持つ個体もある。
【ギョウジャグモ】
本州の高標高地と北海道で記録があるクモで、採集例は少ない。
【フノジグモ】
腹部は赤に黒い斑紋の個体のほか、黄色に黒い斑紋の個体もいる。
【タカネエビスグモ】
北海道と本州の山地に生息する。腹部の色彩斑紋は変異が大きい。
【チクニエビスグモ】
本州以南は山地に生息するが、北海道では平地から山地まで広く分布。
【ノラオチバカニグモ】
草地などに生息するが、個体数は少ない。
【アトムオチバカニグモ】
北方系の種で、採集例は多くない。
【ダイセツカニグモ】
大雪山の高山帯に生息する固有種。
【シギカニグモ】
日本では北海道にのみ分布。
【カニグモ】
カニグモ属の基準種のため「カニグモ」という和名がつけられた。
カニグモ科のクモは網を張らない徘徊性のクモで、長くてがっちりした第一歩脚と第二歩脚で獲物を捕らえる。花や葉などの植物上で獲物を待ち伏せるもの、木の幹などを徘徊しているもの、落葉の下などに棲んでいるものなどがいる。
【ヒメハナグモ】
全身白色あるいは黄色で、腹部の肩に赤褐色の斑紋を持つ個体もある。
【ギョウジャグモ】
本州の高標高地と北海道で記録があるクモで、採集例は少ない。
【フノジグモ】
腹部は赤に黒い斑紋の個体のほか、黄色に黒い斑紋の個体もいる。
【タカネエビスグモ】
北海道と本州の山地に生息する。腹部の色彩斑紋は変異が大きい。
【チクニエビスグモ】
本州以南は山地に生息するが、北海道では平地から山地まで広く分布。
【ノラオチバカニグモ】
草地などに生息するが、個体数は少ない。
【アトムオチバカニグモ】
北方系の種で、採集例は多くない。
【ダイセツカニグモ】
大雪山の高山帯に生息する固有種。
【シギカニグモ】
日本では北海道にのみ分布。
【カニグモ】
カニグモ属の基準種のため「カニグモ」という和名がつけられた。
タグ :クモの標本画
2023年10月20日
キハダカニグモ
散歩から帰ったら家の壁に小型の黒っぽいカニグモの雄がいるのを見つけた。キハダカニグモだった。キハダカニグモは北海道ではあまり多くないようで、これまで居住地周辺で見たことはなかった。和名の通り、樹幹に生息し、樹皮に似た体色をしている。体長は雌が4~8mm、雄が4~6mm。カニグモ科。
雄 2023年10月7日 北海道十勝地方
雄 2023年10月7日 北海道十勝地方
2023年10月19日
チビサラグモ
森林に生息するサラグモで、地表近くの低い場所にシート網を張るために、自然状態では背面からの写真がどうしても撮れない。写真の個体は倒木の脇に網を張っていたもの。体長は4~5mm。サラグモ科。
雌 2023年6月10日 北海道十勝地方
雌 2023年6月10日 北海道十勝地方