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鬼蜘蛛の網の片隅から › 2019年09月05日

2019年09月05日

山小屋弁護士

 テレビを見なくなって久しいが、7月にテレビ朝日で放映された市川守弘弁護士のドキュメンタリー「山小屋弁護士」がネットでも視聴できる。昨年末に札幌から占冠村トマムに事務所を移転し、事務所近くの山小屋で暮らしている。
https://abema.tv/video/episode/89-78_s10_p36

 こちらは「山小屋弁護士」の内容を文字でまとめたもの。時間がない方はこちらだけでも是非。
https://abematimes.com/posts/7015530

 北海道在住の市川守弘弁護士は、多くの自然保護訴訟のほかアイヌ問題や警察問題まで取り組んでいる弁護士だ。自然保護といっても北海道だけではなく沖縄も含め全国各地で訴訟を起こして闘っている。ドキュメンタリーではやんばるの森林伐採が取り上げられているが、その酷い自然破壊の様子がありありと実感できる。しかも市川弁護士が手掛けている自然保護訴訟のほとんどが弁護士費用なしの手弁当なのだから、その生き方は半端ではない。

 自然保護に関わる訴訟の多くが行政相手だ。自然破壊の道路建設に反対したり、森林伐採の違法性を追求したり。日本では自然保護に関わる訴訟での勝訴はとても難しいが、たとえ勝訴したところで一円のお金にもならない。自然を守ることが目的だからお金とは無縁の裁判だし、持ち出しの一方だ。しかも、自然保護の訴訟には現場での調査が欠かせない。市民らと協力して現地に足を運び、調査によってその地域の自然の希少性を訴えたり、違法性の立証をしたり。熱意がなければとてもできない仕事だ。

 自然保護の訴訟では裁判長を現地に引っ張り出すことも。士幌町と然別湖をむすぶ士幌高原道路を阻止するための「ナキウサギ裁判」では、小雪が舞い強風が吹きすさぶ中、建設予定地の白雲山に裁判長や原告、支援者らが一緒に登って現地で説明をした。「えりもの森裁判」でも皆伐現場を裁判長に見てもらった。

 自然保護のための活動は訴訟だけではない。はるばる札幌から現場に調査に通い、自然保護のための活動に取り組んできた。私も大規模林道問題や森林伐採問題などでは市川弁護士ご夫妻と何度も現地調査に参加し、訴訟でも大変お世話になっている。このドキュメンタリーで紹介されているのはそのほんの一部にすぎないが、市川弁護士の生き方や姿勢がよく伝わってくる。

 お金のためにスラップ訴訟を引き受ける弁護士がいる一方で、権力に媚びず市民に寄り添う弁護士もいることを多くの人に知ってもらいたいと思う。
  
タグ :市川守弘


Posted by 松田まゆみ at 16:47Comments(0)自然保護