さぽろぐ

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2020年03月20日

検査を抑制する新型肺炎対策は日本を滅ぼしかねない

 昨年末に中国で謎の肺炎が発生したとの報道があったときは、ちょっと気持ちが悪いくらいにしか思っていなかったが、武漢ではあっという間に感染爆発が起こり1月23日には武漢封鎖という事態にまでなった。この頃から私は主にツイッターでこの新型コロナウイルスに関する情報をチェックしていた。

 ツイッターでは患者であふれる武漢の病院や突然死する人達、病院から搬出される多数の遺体袋、公共施設にベッドを並べた仮の病院や突貫工事でつくられた専用病院、路上に放置される遺体などの映像が流れていた。若い人や子供も亡くなっている。さらに、武漢以外の都市は外出が大幅に制限され、学校の休校や企業の休業が余儀なくされたほか、マスクなしの外出は禁止、鉄道の駅やオフィスビルの入り口での検温、紙幣の消毒など徹底的な感染拡大防止措置が取られた。これらの映像を見て、中国から多くの観光客が訪れている日本も早期に徹底した対策をとらないと大変なことになるに違いないと直感した。

 ツイッターで新型コロナを警戒する私に対し「なにをそんなに怖がっているのか」と冷笑するようなことを言ってきた人もいたが、このような人は感染爆発によって多くの人が亡くなるばかりではなく、コロナをきっかけとした不況が日本の経済に決定的な打撃を与えるという危機感がないと言わざるを得ない。

 そもそも不都合な真実を何もかも隠蔽し決して責任を取らない安倍政権が、新型コロナウイルスのような強い感染力をもった致死性の感染症に対してきっちりと対策がとれるとはとても思えない。アベノミクスの失敗で日本の経済が窮地に陥っているときに、この新型コロナウイルスによる景気低迷は財政破綻を引き起こしかねない。

 案の定、安倍政権の対応は驚くほど鈍く、目先の経済ばかりに捉われているとしか思えないものだった。2月に入ってからようやく専門家会議を立ち上げたが、その専門家会議の提言は、集団感染(クラスター)対策を重視し、経済への影響を最小限に抑えるという政権に忖度しているとしか思えないような甘い内容だった。クラスターを見つけ出して追跡することで感染爆発を抑えるという理屈は分からなくはないが、その対策が有効なのは初期のうちだけだろう。専門家会議がクラスター対策を打ち出したときは、すでに日本各地に新型コロナウイルスは蔓延していた。そんな甘い対応で感染爆発を防げるはずがない。

 そして日本ではさらに驚くべきことが明らかになっている。医師がPCR検査が必要だと認めても保健所があれやこれやと条件をつけて検査を拒否する事例が後を絶たないのだ。ツイッターにはそのような事例が多数流れてきているし、北海道では国立感染症研究所から職員が派遣されてから、このような検査拒否が増えたという。国が検査そのものを抑制しているのだ。確かに検査をさせなければ陽性者は増えないし、見かけ上は医療崩壊という状況になりにくいだろう。また、肺炎で亡くなっても検査をしない事例が多いという。これは新型コロナウイルスによる死亡の隠蔽といってもいいだろう。私は中国の公表している感染者数や死亡者数は隠蔽があり過小評価になっていると考えているが、その中国でも検査は徹底してやっていた。ここまでの検査拒否をやっている国などおそらく日本だけだと思う。

 日本が検査拒否をする理由は以下のようなことではないかと考えている。①検査費用を抑えたい。②感染者数や死亡者数を少なくすることで、対策が成功しているように見せかけたい。③隔離施設の確保、ベッドや医療従事者の拡充をする気がない。④国立感染症研究所が検査データを独占したい。

 いずれにしても国民の命より、対策費を抑えることや国の体裁、利権を重視しているということだ。安倍政権の体質ならこういうやり方をするのも納得がいく。

 私が最も怒りを感じるのは、専門者会議がPCR検査の拡充や隔離施設の確保、病床・医療従事者の増強についてほとんど触れないことだ。感染症の拡大を抑えるには、まずは感染の実態を把握する必要があるし、そのためには検査による確定が欠かせない。そんなことは医師ではなくても理解できる。ところが、専門家会議の医師をはじめ、日本では多くの医師が検査の拡充を求めない。それどころかPCR検査をたくさん行うと陽性判定者が多くなり医療崩壊が起きるから、検査は重症者に限ったほうがいいと言う。これは世界の流れと逆行するし、感染者を放置することで感染拡大を助長することになる。

 感染爆発が起きている韓国はクラスター対策をすると同時に多数の検査を実施し、医療崩壊も起こさずに必死に抑え込んでいるし、その効果が数字となって表れてきている。感染爆発が続いている欧州も、検査は積極的にやっている。感染力の強い感染症は早期に封じ込めをしなければ手の付けようがなくなるのだから、当然の判断だろう。

 昨日(3月19日)は、専門家会議が新たな提言をとりまとめた。全文は以下。

「感染拡大地域では自粛検討を」専門家会議が提言【全文】

 この提言の最大の問題は、検査拒否によって実態をほとんど把握できていない日本のデータを基に語っていることだ。極端に抑制された検査の結果から導き出されたこの提言自体が茶番劇といっても過言ではないだろう。北海道では新たな感染者の増加を抑えられているというが、前述のとおり検査条件が厳しくなっているのだから感染者数の数値自体が信頼できない。また北海道の場合はマイカー通勤が多く満員電車などでの通勤は都市部に限られるし、人口密度が低いのだから感染の拡大の状況も都市とは異なることは容易に想像がつく。

 日本国内は「引き続き持ちこたえている」状況だというが、これも根拠などない。韓国や欧州での感染爆発を踏まえて、「爆発的な感染拡大を伴う大規模流行につながりかねない」と言い始めたが、これはクラスター対策と自粛という前回の専門家会議の提唱は甘かったということに他ならないだろう。

 それにも関わらず今後の対策も相変わらずクラスターにこだわり、個人や企業などの自粛がメインだ。自粛しなければオーバーシュートする可能性があると、感染爆発を国民や企業に責任転嫁している。また、医療機関については「この感染症を重点的に受け入れる医療機関の設定や、重点医療機関等への医療従事者の派遣、予定手術、予定入院の延期等できうるかぎりの医療提供体制の整備を各都道府県が実施することかが早急に必要と考えます」としているだけで、積極的な病床の増加や隔離施設の確保などには触れていない。PCR検査についても国による検査拒否への批判はなく、ドライブスルー方式や郵送方式による検査の拡充の提案もない。

 結局、日本は政府も専門家会議も経済への影響を考慮して自粛に重点を置いている。しかし、感染爆発をしている海外の状況を見る限り、日本では恐らく目に見えないだけですでに感染爆発状態にあるのではないかと思う。目先の経済を優先し感染の広がりの把握を怠る日本型の対応は、諸外国の早期発見・早期隔離と治療、都市封鎖をしてでも早期の封じ込めを図る方策とは対照的に、だらだらと長期間にわたって感染者や死者を増やし続けることになり、経済的損失も莫大なものになりかねない。

 日本経済はアベノミクスによってただでさえ危機的状況になっていたが、コロナ対策に失敗すれば財政破綻も現実のものになりかねない。そうなればすべての国民が辛酸をなめることになる。ほんとうに危機に立たされていると思う。

 なお、イタリアでは中国より致死率が高いと言われている。しかし、中国の場合は自宅で亡くなった人などはカウントされていないと考えられるので、実際の致死率は公表されているものよりずっと高いのではないかと思っている。また、新型コロナウイルスはすでに多数の型に変異しており、タイプによって致死率にも違いがあるのではないかという指摘もある。日本では複数の型が確認されており、現時点で致死率が低いとしても決して油断はできない。いずれにしても、極めて厄介なウイルスであることは間違いない。感染爆発が起きれば人の移動を徹底して制限するしか手立てがなく、決して甘くみてはいけない。


  


Posted by 松田まゆみ at 14:12Comments(7)新型コロナウイルス