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鬼蜘蛛の網の片隅から › 政治・社会 › 身勝手な生活保護基準の引き下げ

2013年01月19日

身勝手な生活保護基準の引き下げ

 北海道では毎日のように真冬日(一日中氷点下)の厳しい寒さが続いている。ところがつい先日、灯油代が値上がりしとうとう1リットル100円前後になってしまった。低所得者にとって灯油の値上げは生活を直撃する。少しでも灯油代を節約するために、日中は公共施設や大型店で過ごす高齢者も増えているそうだ。

 日本の年金支給額では、大半の人が最低限の生活すら保証されない。貯蓄ができなかった人たちはカツカツの生活を強いられている。貧困は高齢者ばかりではない。アルバイトや派遣の仕事しか得られない若い人たちは、年金の支払いすらできないのが現状だ。その上、灯油などの生活必需品の値上がりは生活苦に拍車をかける。失業し住むところを奪われ貯蓄も使い果たした人たちにとって、最後に頼るのは生活保護しかない。

 大量の貧困を生みだし生活保護を余儀なくさせたのは自民党政権に他ならない。ところが、年明け早々、自民党は生活保護費の削減に向けて動き始めた。自民党の生活保護に関する基本姿勢は以下だ。

「手当より仕事」を基本とした生活保護の見直し(自民党)

 大企業ばかりを優遇し、低所得の非正規雇用を増やしておきながら、「働ける層の自立支援」とは恐れ入る。「働ける層」の人たちの多くが「働けど働けど我が暮らし楽にならざり」が現状ではないのか。職探しをしても仕事が見つからない人も多い。いくら自立支援をしたところで、人並みの生活ができる職がなければ低所得から抜け出ることはできない。病気や障害で働きたくても働けない人もいる。

 だいたい、低所得者層(所得最低層10%)の消費水準と比較して生活保護費を設定するという考え方自体が異常だ。この低所得者層の中には生活保護を受ける権利があるが、利用していない人たちがおよそ8割も含まれている。公共施設に暖をとりに行くなどして家計を切り詰めている人たちの多くは、生活保護を受ける権利があるのだろう。需給漏れの人たちを放置しておいて、その人たちが含まれる低所得者層を比較に用いるのはどう考えてもおかしい。

 生活保護の基準引き下げは、今まで無税だった住民税が課税されたり、生活保護基準を目安にして利用条件を定めている教育や福祉、介護施策が利用できなくなるなどの悪影響を低所得者層にもたらす。生活保護受給者が苦しくなるのはもとより、生活保護を受けずに頑張っている低所得世帯もさらに生活が厳しくなる。これでは生活苦による自殺者や餓死者がさらに増えるのではなかろうか。生活保護基準の引き下げは棄民政策の促進にほかならない。結局、自民党は国民にとって不利益なことを隠し、生活保護予算を削減したいだけなのだ。

 以下の日弁連のパンフレットに、日本の生活保護の問題点がまとめられている。

あなたの暮らしも危ない?誰が得する?生活保護基準引き下げ

知っていますか?生活保護のこと

 ぎりぎりまで我慢して生活保護を申請しに言っても、難癖をつけて追い返す役所が未だにあとを絶たないという。なんと情けない国なのだろう。

 ところが、このような改悪をマスコミで声高に支持する記者がいる。産経の高橋昌之氏だ。この記者にはぜひ、最低賃金で生活してみてほしいと思う。高橋記者の記事と上記の日弁連の説明を読み比べてもらいたい。

生活保護費の無駄排除を 弱者の味方気取り?朝日、毎日、東京の論調に疑問(産経ニュース)



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Posted by 松田まゆみ at 16:41│Comments(4)政治・社会
この記事へのコメント
おばんです。 僕はリストラ経験があって
職探しは大変でしたが失業手当は貰わないで凌いでいた
頃があります。僕はなんとかやっていけるから
他に大変な人が使って貰いたいという気持ちからです。
職安は当時から混みあっていて
顔見知りになった人と励ましあっていたものです。
近頃は仕事があったとしても困窮している社会になって
しまいましたね。 生活保護を利用していない人たちが
およそ8割という現状とは知りませんでした!
自民党は多くの庶民から活力を奪うことでしょう。
何処に増税された金が動いているのか、
自民には不信感、溢れ返っています。
Posted by こるとれーんtone at 2013年01月19日 19:02
こるとさん、こばんは。

生活保護を利用していない人たちは、自分が需給権利があることを知らなかったり、申請しても追い返されたり、知っていても世間の目を気にしてじっと耐えていたり、なのではないでしょうか。そういう人たちこそ救わねばならないのに、それを放置したあげく、そのような人たちの消費水準を持ち出して生活保護の基準を引き下げるなどという発想に怒りがこみ上げてきます。
Posted by 松田まゆみ at 2013年01月19日 21:03
松田さん、こんばんは♪

自民党政権による早速の生活保護法の改悪。
これは、これから起こり得るであろう自民党による様々な法制度改悪の第一歩だと思います。

にも関わらず、大手メディアは、押し並べて一切批判しないどころか、まるで緊縮財政を進める大きな成果だといわんばかりの事を、こともあろうに社説で堂々と論じている新聞社まである始末ですよね。

僕が特に酷いと思うのは、天下の「NHK」です。
例えば、デフレ対策と称しての政府・日銀による物価上昇策を、”金融緩和”と耳障りのいい言葉にすり替え、事の本質を国民に見えにくくしていますよね。
のみならず、連日、北朝鮮の拉致問題や劣閣諸島問題での中国の脅威ばかりを報道して、一方向へ国民を誘導する意思さえ透けて見えます。

政治家や官僚の悪事を、国民に多大な影響力を持つ大手メディアが果敢に指弾せずして、どうして全国民的なうねりを持つ反政府運動に盛り上げることができるでしょう。

相も変わらない自民党の腐敗ぶりにも辟易しますが、ほとんど政府与党の広報になり下がっている、NHKその他大手マスコミの偽善と退廃には、僕もテレビ画面に向って怒りの拳を握っています。
Posted by 木枯らし at 2013年01月22日 21:55
木枯しさん、こんにちは。

おっしゃる通り、安倍政権はこれから次々と法の改悪に突き進んでいくことでしょう。

北海道ではまた寝たきりの70代の母親と40代の娘さんの孤独死が報道されています。生活保護は受けていなかったとのこと。必要な人にきちんと生活保護や介護などが行き渡るようにすることが求められているのに、政府の発想はまったく逆です。

私はテレビはほとんど見ないのですが、マスコミの報道が酷いことはいつも実感しています。日本のマスメディアは完全に御用メディアになり下がっていますね。最近では新聞のニュースも、知らせるべきことを報じていないということを確認するために読んでいるようなものです。

インターネットでは甲状腺の異常などが東北や関東の人たちに次々と出ているという情報が伝わっていますが、こうしたこともマスコミはほとんど伝えません。隠せるだけ隠し通すつもりなのでしょうか。まるで原発事故などもう忘れてしまったかのような報道ばかり。マスコミを信じている人はいまだに多いので、情報操作されてしまうことが心配です。
Posted by 松田まゆみ at 2013年01月23日 10:35
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