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鬼蜘蛛の網の片隅から › 原子力発電 › 疑問が残る福一の停電原因

2013年03月21日

疑問が残る福一の停電原因

 20日、福一の停電について、仮設配電盤の端子と壁面に焦げ跡があり、ネズミの死骸があったことから、ネズミが侵入してショートした可能性があるというニュースが流れた。

 停電が発生したのは18日の19時ころとされている。東電は原因が不明だと言っていたのだが、系統の異なる配電盤のブレーカーが少なくとも2つ落ちていたのだ。東京新聞の19日(13時55分)の記事にブレーカーのことが書かれている。

福島第一停電 冷却停止半日超す 配電盤不具合 異常連鎖か

 東京電力福島第一原発の使用済み核燃料プールなどで同時多発した停電事故は十九日、3、4号機に設置された仮設の配電盤で不具合が起き、そこから各所に連鎖的に異常が広がった可能性が高まった。ただ、発生から半日以上たった現在も詳しい原因は不明のままで、冷却装置が復旧するめども立っていない。
 プールの水温は最も高い4号機でも約三〇・五度で、水温が上がり危険な状態になるまでには四~二十六日の時間的な余裕があるとされている。
 東電によると、十九日午前の段階で止まっているのは、1、3、4号機の使用済み核燃料プールの冷却装置のほか、共用プールの冷却装置や高濃度汚染水からセシウムを除去する装置の一部、3号機の格納容器内の気体を調べる装置と広範囲に影響が出ている。
 各装置がどこから電源を取っているのかを調べたところ、3、4号機と共用プールの装置のほか、除染装置も同じ配電盤につながっていることが判明。この配電盤のブレーカーが落ち、1号機の装置がつながっている別系統の配電盤のブレーカーも落ちていることも確認された。
 こうした状況から、東電は3、4号機がつながる配電盤で異常が起き、それが1号機がつながる配電盤にも波及。各装置が異常を検知し、一斉に停止したとみている。
 東電は、3、4号機の配電盤が復旧できれば、すべてのプールの冷却を再開できるとみている。ただ、うまくいかない場合も想定し、電源を付け替えることも検討している。
 東電が今回の停電を公表したのは発生から約三時間後。東電の担当者は「停止した機器の確認を優先した」と釈明した。


 19日の午前の時点ですでに3号機と4号機の燃料プールと共用プールの冷却装置が繋がっている配電盤のブレーカーが落ち、また1号機の装置が繋がっている別系統の配電盤のブレーカーも落ちていることが確認されていた。ブレーカーが落ちたのだから、許容量以上の電流が流れたか、あるいは何らかの原因でショートしたということだろう。しかし、別系統の1号機のブレーカーまで落ちたというのはやや不可解だ。

 以下の河北新報の記事によると、18日の停電時には免震重要棟も一時的に停電したようだ。こちらの電気系統はどうなっているのだろう? また、東電は仮設配電盤を今月中に本格的な設備に切り替える予定だったとのことだが、電源多重化工事に係ってミスがあり過電流が生じたということはないのだろうか?

福島第1停電 ネズミ、配電盤接触か 29時間ぶり全面復旧

 もう一つ不可解なのは、2号機のプールや原子炉への注水に関しては停電になっていないということだ。1、3、4号機のプールと共用プールの冷却に係る電源が落ち、免震重要棟まで一時停電したのに、2号機のプールや原子炉への注水は問題ないというのも腑に落ちない。

 ところで、20日午後の東電の記者会見の一部を「きーこ」さんが文字起こししている。

犯人はでっかいネズミ!?東京電力記者会見3/20午後(主にネズミの部分文字起こし) (みんな楽しくHappyがいい)

 東電の記者会見では、配電盤の端子とその横の壁面がすすけており、その下にネズミの死骸があったと言っている。まだ確認調査中であり、ネズミが原因だと断定しているわけではない。会見に参加した記者はネズミ原因説に疑問を持って突っ込んでいるようだが、東電は記者からの質問にまともに回答できずにしどろもどろだ。

 しかも東電は今回の停電を「事故でなく事象」と説明している。

「電気事故」って言っちゃった3/20東電尾野(東電会見文字起こし)&東京新聞記事(みんな楽しくHappyがいい)

 何らかの原因でショートしたならどう考えても「事故」だろう。ただし、許容量以上の電気が流れてブレーカーが落ちたのなら「事故でなく事象」と言うのもわからなくはない。家庭で一度に電化製品を使いすぎてブレーカーが落ちたなら、それを事故とは言わない。ネズミによるショートがひとつの原因である可能性はあるが、果たしてそれだけでこれほどまで広範囲に停電が起きるものなのだろうか?

 今回の停電についての公表が遅れたことなども考えると、東電は何か隠しているのではないかと思えてならない。

 それにしても驚くのは、事故から2年も経っていながらトラックの荷台に仮設電源盤を載せたままで事故処理をしていたということだ。それに電気系統はかなり複雑になっていたようだ。事故から数カ月の頃ならそれも仕方ないかもしれないが、2年経ってもこんな状態だったとは。しかもブレーカーが落ちて丸一日以上も電源の回復ができないとは、なんとお粗末なことだろう。

 福一は廃炉にするまで何十年もかかると言われている。いつ廃炉にできるかも分からないし、これから何十年も作業を続けなければならない。それなのに、配電盤すら仮のものを使い続けていて、バックアップも備えていなかったというのだから、東電の危機管理のなさには言葉をなくす。

 マスコミはほとんど報道しないが、2号機などは温度の上昇が止まらないようだし、4号機の燃料プールは地震による倒壊が懸念されている。こんな会社に事故処理を任せているのは、恐ろしいというほかない。



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Posted by 松田まゆみ at 17:42│Comments(0)原子力発電
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