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鬼蜘蛛の網の片隅から › 原子力発電 › 福島で起きている異変と懸念される健康被害

2013年04月10日

福島で起きている異変と懸念される健康被害

 先日、東洋経済に以下の記事が掲載された。

福島原発周辺で「動植物異常」相次ぐ

 ヤマトシジミの異常については以前にも取り上げたことがあるが、ウグイスの異常やニホンザルの白血球数の減少など、さまざまな野生生物で異常が出ているようだ。また、以下の情報によると、飯館村の牧場で馬がバタバタ倒れているという。明らかに尋常ならざる状況だ。

【転載】福島県飯館村「大変なことが起こっているよ」2013.3.20 FB (心の自由を探す旅の途上にて)

 これらの異常が被ばくによるものであると断定はできないにしても、これだけさまざまな生物に異常が出ている以上、被ばくの影響である可能性が極めて高いというのが自然だろう。福島の原発事故による放射能汚染が生態系にかなり影響を及ぼしており、それが顕在化してきたということだと思う。しかもこれはかなり深刻な状況を物語っている。

 私は、事故が起こった当初は主として放射性セシウムをもっとも警戒すべきではないかと思っていた。しかし、事故から時間が経つにつれ、アルファ線やベータ線を出す核種にも気をつけなければならないと思い始めた。

 というのは、やはりチェルノブイリと福島では事故のタイプが違うということからだ。福島の場合、何回にもわたって放射性物質の大量放出があった。おそらく大量放出ごとに含まれていた放射性物質の核種の割合なども違っていただろう。そして、気になるのがMOX燃料を使っている3号機からの放出だ。3号機は大爆発を起こしたが、その後3月20日前後にも大量放出があった。

福一の放射能放出の真相や被ばくの実態は解明されていない

原発事故から2年、いまだ真相を語らないNHK(追記あり)

 ということはプルトニウムが微粒子となってかなり放出されたのではなかろうか? しかも、20日前後の大量放出の時は関東地方もかなり線量が上がった。東電が20日前後の大量放出をずっと隠しつづけてきたのは、そのためではなかろうか。

 クリス・バズビー氏は、事故から少したった時点で、ホットパーティクルが車のエアフィルターから検出され、ウランとプルトニウムが確認されたことを伝えていた。そして、それは首都圏にも飛んできている。

クリス・バズビー氏の講演会[早稲田]  (安禅不必須山水)

 ここで気になるのが、上記の記事にある「だから核実験のピークの空気と比べて東京は250倍の汚染で、チェルノブイリの約1000倍です」「福島の車のエアフィルターは、核実験の1000倍で、チェルノブイリの約3500倍くらいです」という話しだ。

 もちろん放射性セシウムによる被ばくも重大だし、セシウムは生態系に大きな影響を及ぼしているだろう。しかし、セシウムだけではなくウランやプルトニウムを含むホットパーティクルが空中に浮遊し多くの人が呼吸で取り込んでしまったということこそ、福島の事故の深刻さなのではないかと思えてならない。とすると、早川マップの土壌のセシウム汚染だけを考えればいいということにはならない。

フクシマとチェルノブイリの比較(改定版) (早川由紀夫の火山ブログ)

 また、厄介なのは、地面に落ちたこれらの微粒子は、風が吹く度に空中に舞い上がるということだ。放射性セシウムの微粒子も、プルトニウムやウランなどの微粒子も、再度吸いこんでしまうことになりかねない。しかも、アルファ線やベータ線はホールボディ・カウンターでは計測できない。

 たとえば、ウランを吸い込んでしまった時の症状には以下のようなものがある。

ウランを吸い込んだ時の症状(Um sentiment triste)

 アルファ線やベータ線核種の影響については以下にまとめられている。

内部被曝で現れる症状、α,β線の脅威(ねこってのフリーダムワールド)

 日本では今後どのくらいの地域にどのような健康被害が出てくるのか、また被害はチェルノブイリより小さくて済むのか大きくなるのかはもちろん分からない。ベラルーシやウクライナでは野生のきのこやベリーを貯蔵して食べる習慣があり、それが内部被ばくに大きな影響をもたらしたが、日本ではそれは回避可能だ。しかし、これからも食品はもちろんのこと呼吸による内部被ばくに気を付けたほうがよさそうだ。



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Posted by 松田まゆみ at 11:00│Comments(0)原子力発電
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