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鬼蜘蛛の網の片隅から › 地学 › 木村政昭氏が警告する富士山の噴火

2013年04月29日

木村政昭氏が警告する富士山の噴火

 先日「木村政昭氏の予測する伊豆・小笠原海溝の巨大地震(追記あり)」という記事を書いたが、木村氏は巨大地震だけではなく火山噴火の予測もしている。そこで、「富士山大噴火! 不気味な5つの兆候」(宝島社)から、富士山噴火について紹介しておきたい。

 木村氏は、東北地方太平洋沖地震のあと、本州で少なくとも3つの火山の噴火を予測している。ひとつは富士山で、「噴火の目」理論を使って予測すると2011年±4年。2015年までには噴火するとみている。ほかに浅間山の2012年±4年と御嶽山の2013年±4年である。

 いずれもすでに予測された噴火期間に入っているのだが、広大な範囲に被害が及ぶと考えられるのはやはり富士山だろう。そして、富士山噴火の兆候はすでに現れているという。

 木村氏が挙げる「富士山噴火の5つの兆候」とは以下である。

1.伊豆諸島の噴火と静岡沖地震
 富士山と同じ、フィリピン海プレートにある伊豆諸島の火山活動が活発化してきており、2009年8月には駿河湾でM6.5の静岡沖地震が発生した。また、東北地方太平洋沖地震によって房総沖に強い圧力がかかっており、富士山の噴火に影響を与えていると考えられる。

2.2000年からの低周波地震の活発化
 噴火が近くなると、富士山付近の低周波地震が活発になるが、2000年から地震活動が活発化している。低周波地震の震源の近くにはマグマがあると考えられ、マグマだまりが上昇してきていると考えられる。

3.富士山東北東斜面からの噴気
 2003年9月に東北東斜面に陥没と噴気孔が確認された。地下のマグマ活動が活発化して地下水を温めているのが原因と思われる。

4.河口湖での発泡現象
 1987年および2006年に河口湖で発泡現象が見られた。富士山地下のマグマだまりが圧力を受けて縮まり、マグマが上昇して湖底に亀裂ができ、水中にガス成分が噴き出してきたと考えられる。また、河口湖では水位低下が見られ、湖底の亀裂から水が漏れていると考えられる。

5.静岡県東部地震
 東北地方太平洋沖地震直後から、富士山付近で通常の地震活動が活発化している。

 ほかにも、青木ヶ原の樹海にある風穴内の氷筍(氷の柱)が縮小しており、地熱が上がっていると考えられるそうだ。

 そういえば、河口湖では今年に入ってから著しい水位低下があり、六角堂が陸続きになってしまったというニュースが流れていた。

河口湖で3メートル以上の水位低下 東京直下地震 富士山噴火 前兆現象なのか(ライブドアニュース)

 富士山噴火についてはマスコミなどもしばしば取り上げているのだが、噴火した場合は富士山周辺のみならず首都圏にまで影響が及ぶことがもっとも懸念される。具体的には、以下のような被害だ。

・溶岩流による破壊
 河口から溶岩が流れ出た場合は溶岩流が通過するところは根こそぎ破壊される。溶岩流は速度が遅いために人的被害は最小限に食い止められると考えられるが、経済的な損失は大きい。

・噴石による被害
 高い熱を帯びた噴石の飛散、落下による被害が想定される。噴石による死傷者や建物などの損壊、焼失が考えられる。

・火山灰による被害
 噴煙柱が成層圏に達すると偏西風によって流れるため、首都圏にまで火山灰が降り積もる。火山灰は角が尖った細かい粒子のため、吸い込むと健康被害を生じる。また、火山灰によって水道や電気などのライフラインが停止するほか、飛行機や鉄道など交通機関がマヒし、道路も閉鎖される。交通機関のマヒは数週間続くおそれがある。コンピューター、デジカメ、携帯電話などの精密機器が故障する可能性がある。

・火砕流や土石流、山体崩壊などによる被害も考えられる。もちろん農業にも大きな被害がでる。

 さまざまな被害が想定されるのだが、溶岩流や噴石による被害などは事前の避難によって回避できるだろう。もっとも深刻なのは火山灰による首都圏の機能のマヒではなかろうか。首都圏での断水や停電は日頃から備えておくしかない。各家庭や職場で飲料水や保存のきく食品を備蓄するだけではなく、マスクやゴーグル、精密機器を保護するポリ袋、携帯ラジオや懐中電灯なども用意しておくべきだろう。また、コンタクトレンズは使えなくなる。

 木村氏は、噴火の前には気象庁からの噴火予報が出されるだろうし、ある日突然大噴火が起きるということにはならないだろうとしているが、気象庁の噴火予報が出てから準備をするのでは遅い。マスコミは市民がどのような準備をしておくべきか、火山灰が降ったらどのような対処をしたらよいのかということこそ報道すべきではなかろうか。

 富士山は781年から1083年まで302年間活動したあと、1084年から1510年まで426年間休止期に入った。そして1511年に活動を再開して1707年まで196年間活動し、それ以降はまた休止期にはいっており休止期が300年以上続いているという(木村政昭著「『地震の目』で予知する次の大地震」より)。一度噴火すると、200年とか300年もの長期間にわたって活動期に入る火山のようだ。

 しかも、富士山の活動期と巨大地震の活動期はほぼ重なっている。地球は今、地震の活動期に入っていると言われているが、そう考えると富士山の噴火はより現実味を帯びてくる。

 今のように大都市に人が密集し、高度に発達した通信網に頼った生活をしている時代に地震や噴火の活動期に入るというのは、想像を絶する被害が想定される。私たちは巨大地震と火山噴火の両方に備えていかねばならないようだ。もちろん、原発など廃炉にするしか選択肢はないだろう。



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Posted by 松田まゆみ at 15:25│Comments(0)地学
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