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鬼蜘蛛の網の片隅から › 政治・社会 › 支持できない政策を進める内閣を支持するという矛盾

2013年07月01日

支持できない政策を進める内閣を支持するという矛盾

 今日の北海道新聞のトップ記事は、北海道新聞社が実施した参院選全道世論調査の結果だった。しかし、選挙前になぜマスコミがこんな世論調査をするのだろう? 選挙前こそ現政権の政策の問題点と各政党の公約をきちんと知らせるべきだ。本当に不思議な国だ。

 不思議なのはそれだけではない。「TPP交渉参加の是非」では賛成が43%、反対が55%。「政府の成長戦略」では評価するが42%、評価しないが50%、憲法96条改正の是非では賛成が41%、反対が56%。安倍首相が推し進めているこれらの政策は、いずれも反対あるいは評価しない人の方が多い。ところが、なぜか安倍内閣の支持率は支持が58%、不支持が38%だ。内閣を支持するのにその内閣の政策は支持しない人がいるということになる。

 また、支持政党は自民党が28%、民主党が17%、なしが38%。自民党を支持しているのは三分の一にも満たないが、過半数が安倍内閣を支持している。いったいどういう思考をすればこういうことになるのだろう? まったく不思議な国民だ。

 政策は必ずしも支持していないのに、参院選で自民党に投票する人が多いのは目に見えている。こんなことになってしまう理由のひとつは、多くの人が「経済政策」にばかり目を奪われているからだろう。

 世論調査によると、参院選の最大の争点は「経済政策」が34%でトップ。「原発・エネルギー政策」が16%、「消費税増税の是非」が14%、「憲法改正」10%、「TPP参加問題」と「衆参のねじれ解消」が8%とのこと。

 しかし、安倍政権が何をしようとしているのか分かっているのだろうか? TPP参加といい改憲といい、原発輸出や再稼働といい、すべて米国の意向に迎合している。これらが実施されたなら、日本は米国の属国になるしかない。

 TPPひとつとっても国民の生活に直結する大問題だ。海外からの安い農作物で日本の農業が壊滅的な影響を受けるだけではない。米国から遺伝子組み換え食品がどんどん入ってくるだろうし、成長ホルモンづけになった輸入牛肉も増えるだろう。米国は食品添加物の種類も多い。私たちの食の安全、つまり健康が脅かされる。国民皆保険はどうなるか分からないし崩壊の可能性もある。デフレも加速すると言われている。早い話し、TPPに参加するということは日本が米国に牛耳られるということだ。

 TPPの恐ろしさが分かってきて反対の人の方が増えたのならいいのだが、相変わらず内閣支持率が過半数ということは、TPPの本質が分かっていない人もかなりいるのだろう。アベノミクスなどという経済政策に期待して自民党を選んだなら、この国は破滅に向かうしかない。

 原発再稼働に関しても同じ。おそらくあと2、3年もしたら被ばくによる健康被害が隠せなくなり、大変なことになるだろう。チェルノブイリの事故でも健康被害が明確になった5年後にようやく「移住の権利」などが認められるようになったのだ。今は、自民党は被ばくによる健康被害を必死になって隠蔽し原発再稼働を狙っているが、甲状腺異常の発症状況からも日本の健康被害はきわめて厳しいと考えざるを得ない。しかし、安全神話を振りまいて原発を推進し、世界最悪の原発事故を起こした責任は自民党にあることを忘れてはならない。もちろん、その陰には米国の圧力があるに違いない。それに、もし再び原発で過酷事故が起きれば、この国は完全に終わるだろう。

 それにも関わらず、不可解なことに自民党に投票する人が大勢いる。小さい政党がいくつもあるばかりで野党があまりに頼りないという側面も否めない。「みどりの風」「緑の党」などの小さな政党が選挙戦に向けて動いているが、なんだかみんなバラバラという感じだ。

 先の衆院選では自民党や民主党に嫌気がさしているのに、反TPP、反原発、反改憲を明確に唱えているのが共産党の候補者しかいないという選挙区もそれなりにあったのではなかろうか。しかし、共産党候補者には入れたくないという人は多い。野党が統一候補をたてるなど協力しないと勝てるわけがない。今の危機的状況を変えるためには、反TPP、反原発、反改憲で同じ考えの野党が協力し合うしかないのだが、それが分かっていないのだろうか。

 投票したい政党がないという理由で、仕方なく自民党に投票しようと思っている人に言いたい。民主党は公約を守れず見限られたが、自民党だってその点は何も変わらない。自民党が野党だったときには「TPP断固反対」と言っていた。約束を平気で反故にするような政党が信頼できないのは明白だ。民主党に裏切られたから自民党に入れるというのは矛盾している。

「自民党TPP断固反対」ポスターが爆笑を呼んでいる(ざまあみやがれい!)

 公明党もみんなの党も、維新の会ももちろん自民と同類だ。この国を破滅させたくなかったら、これらの政党に投票してはならない。決してアベノミクスにかすかな期待などしてはならない。安倍政権を支持することは米国の忠実な僕になることを意味するし、何よりも民主主義が崩壊していくだろう。

 今の政治に絶望しているが選挙に行っても何も変わらないから行かないという人に言いたい。民主主義を守りたいという気持ちが少しでもあるなら、反TPP、反原発、反改憲を唱えている政党、候補者に投票してほしい。選挙で意思表示することこそ民主主義の第一歩なのだから。


    


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Posted by 松田まゆみ at 11:21│Comments(0)政治・社会
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