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鬼蜘蛛の網の片隅から › 原子力発電 › バンダジェフスキー翻訳本の再版中止要請への私見

2013年10月03日

バンダジェフスキー翻訳本の再版中止要請への私見

 昨日の記事で、木下黄太氏の講演会ビジネスについて批判したが、私が木下氏の批判をする理由は他にもある。というのも、最近になって、2012年3月に木下氏らのグループがバンダジェフスキー氏の翻訳本に対して版元に再版の中止を求めていたということを知ったからだ。情報源は以下の記事。ここに引用されている記事の元記事は削除されているようだが、合同出版に対して再版の中止を求めたことは事実だろう。伝聞情報だが著者の久保田さんにも圧力があったことを聞き及んでいる。

バンダジェフスキー氏の翻訳本に対する(多分)公式のお願い(愛・蔵太の気になるメモ)

 バンダジェフスキー氏の翻訳本は、合同出版より「放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響~チェルノブイリ原発事故被曝の病理データ~」というタイトルで出版されているのだが、これに対し、①誤訳および解釈を含む問題が各所にある、②翻訳後の博士の査読を通過していない、③書面による翻訳契約書および出版契約書が成立していない、という理由で合同出版に対し再版の中止を求めたという。さらに、日本語公式翻訳版の出版を予定しているとなっている。

 この「お知らせ」の書面にはShino Yasutomoというサインがある。この方は当時、木下黄太氏と活動を共にし、「みんなのカルテ」を主宰している安友志乃さんのことだろう。

 しかし、ここに書かれている再版中止の理由に、正直いって驚愕した。第三者によるこのような再版中止の申し入れはあまりに強引で非常識ではないかと感じたからだ。以下にその理由について私見を述べたい。

①誤訳および解釈を含む問題が各所にあることについて
 翻訳本においては、誤訳や解釈の誤りなどが生じることは当然ありうることである。このような場合、出版社や著者に対して問題点を指摘し、増刷の際などに訂正を求めるのが一般的な対応であろう。また、専門誌などで問題点を指摘して議論を提供したり、書評で意見を述べるという方法もある。誤訳や解釈の問題に対して再版の中止を求めるのはどう考えても行き過ぎである。

②翻訳後の博士の査読を通過していないことについて
 翻訳本に関して、著者の査読がなされなければならないものかどうか私は知らないが、翻訳内容の確認は科学論文の雑誌投稿の際の査読とは明らかに性格が異なるのであり、査読が必須のものとは思えない。また、日本語の分からないバンダジェフスキー氏がどうやって査読をするというのだろうか。無茶な注文と言わざるを得ない。

③書面による翻訳契約書および出版契約書がなく契約が成立していないことについて
 口約束であっても契約は成立する。書面による翻訳契約書や出版契約書が交わされていなくても、出版に関わる当事者の間で翻訳および出版に関する合意が成立していたなら、それは有効である。第三者がとやかく言うことではないだろう。商業出版においては著者と出版社の間に契約書が取り交わされないこともしばしばある。

 つまり、このShino Yasutomoさんの署名のある文書は非常識な理由による再版中止の通告であり、言いがかりとしか言いようがないものだ。

 合同出版の本の訳者である久保田護氏は、茨城大学名誉教授で「チェルノブイリの子供を救おう会」の代表である。久保田氏は、2011年5月に手紙でバンダジェフスキー氏の許可を得て氏の著作物を翻訳し「-チェルノブイリの教訓 セシウム137による内臓の病変と対策-人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響」として自費出版している。

 自費出版は一般的にお金儲けを目的に行うものではない。商業出版では採算が合わないような専門書やアマチュアの書籍であるからこそ自費出版をするのだ。したがって、久保田さんがお金儲けを目的に自費出版したとは考えられない。合同出版から翻訳本が出版されたのは2011年12月である。久保田氏は自費出版物を元に合同出版から翻訳本を出版したということだろう。

 ここから推測されるのは、木下氏のグループがすでに日本で出版されているバンダジェフスキー氏の翻訳本に言いがかりをつけて翻訳権と出版権の無効を主張し(つまり翻訳権と出版権を剥奪し)、新たな翻訳本の出版を目論んでいたということである。その翻訳担当者は、かつて安友氏とともに木下氏と活動を共にしていた平沼百合氏だろう。以下の記事からそのことが裏付けられる。

13/2/28バンダジェフスキー論文についての考察(アーカイブ) (「木下黄太のネットカルト」を考えます)

 つまり、平沼さんは木下黄太氏の依頼によってバンダジェフスキー氏の論文の翻訳に関わることになったのであるが、それは木下氏らの企画したバンダジェフスキー講演会に関わってのことだった。

 もっとも安友さんと平沼さんは「みんなのカルテ」が主催したヘレン・カルディコット氏の講演会をきっかけに木下氏と袂を分かっている。木下氏との間に何があったのか私は知らないが、以下の記事からも原因が木下氏にあったと考えざるを得ない。

安友さん、ならばカルディコット講演会の会計収支をオープンにして下さい(「木下黄太のネットカルト」を考える)

 木下氏は合同出版と久保田さんに翻訳権と出版権を放棄させ、安友さんと平沼さんの協力の元に自分たちで訳本を出版しようという計画だったのであろう。しかし、安友さんと平沼さんが木下氏と袂を分かったことで、この出版計画は頓挫したものと推測される。ここにも、木下氏の主導による翻訳本出版でのお金儲けの計画が見え隠れするのである。

 なお、上記記事ではカルディコット講演会を主催した安友さんに対して、「木下にいくら渡したのか、そのやりとりはどうだったのか、その時にどのような会話があったのか、誰が収支の内訳を決めたのか、など全てオープンにすることが『木下カルト』と『あなたの距離と立場』を明確できる良い機会だと思います」と書かれている。カルディコット講演会は赤字になったと伝え聞くが、講演会の宣伝や手伝いをした木下氏に主催者が報酬を渡していることは間違いなさそうだ。数百万の収入があった講演会が赤字になったのであれば、それは木下氏への報酬が関係しているのではないかと疑わざるを得ない。

 こうしたことからも、木下黄太氏が被ばくによる健康被害を指摘している著名人をお金儲けに利用しているのではないかという疑惑が拭えないのである。木下氏が否定するのであれば、事実をきちんと説明する必要があるだろう。うしろめたいことがないのなら、バンダジェフスキー氏の講演会やDVD販売の収支の概要を公開しても問題があるとは思えない。

 東海アマさんは「反原発に関与して金儲けした人など見たことないし、ありえない」との意見のようだ。

https://twitter.com/tokaiama/status/385518636342837248

 たしかに反原発でお金儲けをするような人はほとんどいないと私も思う。普通はこのような活動は持ち出しでありお金儲けなど考えられない。私自身が長年自然保護運動に関わってきたからこそそれはよく分かる。しかし、木下氏に関してはこれまでの彼の言動を客観的に見て、ビジネスにしているとしか考えられないのだ。だからこそ、私は木下氏を批判するのである。



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Posted by 松田まゆみ at 14:22│Comments(0)原子力発電
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