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2013年10月05日
多くの人に見てほしい小出裕章さんの札幌講演会
先日の記事で9月14日に札幌で開催された小出裕章さんの講演会が、期間限定でネット公開されていることをお知らせした。以下から視聴できる。
2012/09/14小出裕章さん講演会「私たちの未来と原発」
多くの人に聞いてもらいたい内容だったので、ここでもう一度お知らせするとともに、簡単に感想を記しておきたい。
まず、小出さんのお話は誰にでもよく分かるようにとても噛み砕いた説明になっている。話しは地球の誕生から始まり、人間が膨大なエネルギーを使うようになったのは長い地球の歴史からみたらほんの最近の産業革命以降であることを説く。人は地球の生態系の一員であること、そしてその人が産業革命以降、膨大なエネルギーを使うようになったこと、そのために原子力発電が利用されるようになってきたことを、順を追ってとても分かりやすく説明していく。
1950年代に、新聞では原子力発電を、大工場も必要なくビルの地下でも電気をつくれるとか、電気料金が極めて安くなるなど、いかにも「夢のエネルギー」であるかのように宣伝した。ところが、実際には原発は都会から離れた地方に造られたし、電気料金もちっとも安くはならなかった。ここから騙しが始まっていた。
福島の原発事故についても簡単に経緯と状況を説明しているが、私が驚いたのは4号機の燃料プールの耐震補強のことだった。私はプール全体を下から柱を立てて補強しているとばかり思っていたのだが、プールの下の階も爆発で損傷しているため、およそ半分くらいしか補強ができていないというのだ。この話しははじめて知った。再び大地震に襲われたのなら持ちこたえられるのだろうか。
さらに、プールからの核燃料の取り出しについて作業は失敗の許されない、とてつもなく大変な作業であるという話しも気になった。いったい何年かかるか分からないというほどの大変な作業と推測されるのだが、東電や政府はそのようなことをおくびにも出さない。しかも、使用済み核燃料の処分についても何ら解決されていない。
東北から関東にかけての広い地域に、放射線管理区域以上の汚染地域ができてしまったことはもちろん知っていたが、多くの人が居住するところにいかにとんでもなく深刻な汚染が広がったかを改めて考えさせる説明だった。本来、とても住んではいけないところに大勢の人たちがやむを得ず住まわされているのである。この点は是非、小出さんの説明をそのまま聞いてほしい。
この講演会で小出さんがもっとも言いたかったことは、原子力は決して使ってはならないということとともに、エネルギーの無駄遣いをやめなければいけない、という主張だ。地球の限られた資源は、一部の先進国といわれる国の人たちのみ恩恵に預かることで、大きな格差を生んでいるのだ。地球上には飢えている人たち、病気や戦争で亡くなる人たちが大勢いるのだが、その背景には一部の人たちのエネルギーの大量消費があるし、私たちはそのことをしっかり自覚しなければならない。こうした主張は、とても賛同できる。
最後に夜の地球の映像が出てきたが、日本列島は他の国と比べても一段と白く輝いているのがとても印象的だった。日本人は夜中でも電燈を煌々とつけて昼間のように明るくしているのだ。何というエネルギーの無駄づかいをしているのだろう。
以前、岩上安身さんのインタビューだったと思うが、小出さんは照明もできるだけ使わず、早寝早起きをしていると話していた。また、エスカレーターなども使わずに階段を上るとも言っていた。もし大半の日本人が小出さんのような生活をしたなら、日本のエネルギーの消費量もきっと随分減らすことができるのだろう。
自然エネルギーとてさまざまなリスクやデメリットがある。エネルギーの大量消費をそのままにして自然エネルギーに転換すればいいというものではない。私たちは小出さんの話しをしっかりと頭に入れ、湯水のようにエネルギーを消費する生活、社会を変えていく努力こそしなければならないと思う。
週末などを利用して、是非、多くの人に視聴してほしいと思う。
最後に、以下の記事も是非読んでほしい。これは9月1日に日比谷公会堂で開かれた「さようなら原発講演会」での発言要旨だ。福島の事故を忘れて、オリンピックなどと浮かれている時ではない。
放射能管理区域の東京でオリンピックなど正気の沙汰ではない/「原発は未来犯罪」(小出裕章さん) (すくらむ)
2012/09/14小出裕章さん講演会「私たちの未来と原発」
多くの人に聞いてもらいたい内容だったので、ここでもう一度お知らせするとともに、簡単に感想を記しておきたい。
まず、小出さんのお話は誰にでもよく分かるようにとても噛み砕いた説明になっている。話しは地球の誕生から始まり、人間が膨大なエネルギーを使うようになったのは長い地球の歴史からみたらほんの最近の産業革命以降であることを説く。人は地球の生態系の一員であること、そしてその人が産業革命以降、膨大なエネルギーを使うようになったこと、そのために原子力発電が利用されるようになってきたことを、順を追ってとても分かりやすく説明していく。
1950年代に、新聞では原子力発電を、大工場も必要なくビルの地下でも電気をつくれるとか、電気料金が極めて安くなるなど、いかにも「夢のエネルギー」であるかのように宣伝した。ところが、実際には原発は都会から離れた地方に造られたし、電気料金もちっとも安くはならなかった。ここから騙しが始まっていた。
福島の原発事故についても簡単に経緯と状況を説明しているが、私が驚いたのは4号機の燃料プールの耐震補強のことだった。私はプール全体を下から柱を立てて補強しているとばかり思っていたのだが、プールの下の階も爆発で損傷しているため、およそ半分くらいしか補強ができていないというのだ。この話しははじめて知った。再び大地震に襲われたのなら持ちこたえられるのだろうか。
さらに、プールからの核燃料の取り出しについて作業は失敗の許されない、とてつもなく大変な作業であるという話しも気になった。いったい何年かかるか分からないというほどの大変な作業と推測されるのだが、東電や政府はそのようなことをおくびにも出さない。しかも、使用済み核燃料の処分についても何ら解決されていない。
東北から関東にかけての広い地域に、放射線管理区域以上の汚染地域ができてしまったことはもちろん知っていたが、多くの人が居住するところにいかにとんでもなく深刻な汚染が広がったかを改めて考えさせる説明だった。本来、とても住んではいけないところに大勢の人たちがやむを得ず住まわされているのである。この点は是非、小出さんの説明をそのまま聞いてほしい。
この講演会で小出さんがもっとも言いたかったことは、原子力は決して使ってはならないということとともに、エネルギーの無駄遣いをやめなければいけない、という主張だ。地球の限られた資源は、一部の先進国といわれる国の人たちのみ恩恵に預かることで、大きな格差を生んでいるのだ。地球上には飢えている人たち、病気や戦争で亡くなる人たちが大勢いるのだが、その背景には一部の人たちのエネルギーの大量消費があるし、私たちはそのことをしっかり自覚しなければならない。こうした主張は、とても賛同できる。
最後に夜の地球の映像が出てきたが、日本列島は他の国と比べても一段と白く輝いているのがとても印象的だった。日本人は夜中でも電燈を煌々とつけて昼間のように明るくしているのだ。何というエネルギーの無駄づかいをしているのだろう。
以前、岩上安身さんのインタビューだったと思うが、小出さんは照明もできるだけ使わず、早寝早起きをしていると話していた。また、エスカレーターなども使わずに階段を上るとも言っていた。もし大半の日本人が小出さんのような生活をしたなら、日本のエネルギーの消費量もきっと随分減らすことができるのだろう。
自然エネルギーとてさまざまなリスクやデメリットがある。エネルギーの大量消費をそのままにして自然エネルギーに転換すればいいというものではない。私たちは小出さんの話しをしっかりと頭に入れ、湯水のようにエネルギーを消費する生活、社会を変えていく努力こそしなければならないと思う。
週末などを利用して、是非、多くの人に視聴してほしいと思う。
最後に、以下の記事も是非読んでほしい。これは9月1日に日比谷公会堂で開かれた「さようなら原発講演会」での発言要旨だ。福島の事故を忘れて、オリンピックなどと浮かれている時ではない。
放射能管理区域の東京でオリンピックなど正気の沙汰ではない/「原発は未来犯罪」(小出裕章さん) (すくらむ)
Posted by 松田まゆみ at 11:08│Comments(0)
│原子力発電
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