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鬼蜘蛛の網の片隅から › 原子力発電 › 年間1ミリシーベルトの約束を守らせよう

2013年10月13日

年間1ミリシーベルトの約束を守らせよう

 原発事故から2年半以上が経った。今でも15万人以上の人たちが故郷を追われ、仕事を奪われたうえに病気への不安に怯えながら暮らしている。原発事故とはなんとむごいものなのだろう。

 チェルノブイリの原発事故からも、高濃度に汚染されたところに住み続けるのは大きなリスクがあることは明らかだ。しかし、日本政府は除染してそこに住民を帰還させようという信じがたい無謀な方針を変えようとしない。広大な地域の除染など、そもそも不可能だろう。

 汚染地域から避難できるのならそれに越したことはない。汚染の少ないところに避難すれば体内の放射性物質を減らすことにも繋がる。しかし、避難したくてもできない人たちがいることを決して忘れてはならない。介護が必要な家族を抱えていて簡単に移動できない人、避難先での家賃と住宅ローンの両方を払い続けることが困難な人、従業員を抱えている事業主、先祖から受け継いだ農地を簡単に手放せない人たち、住みなれた土地を離れたくない高齢者などなど・・・。避難できる人の大半はすでに避難しているのであり、今も住み続けている人はそう簡単に避難できない人たちなのだと思う。そのような方たちにただただ「避難しろ」と自主避難を呼びかけても反発を買うだけではなかろうか。

 本来なら年1ミリシーベルトという被ばくの限度を守らなければならないのに、日本政府はまったく無視している。年1ミリシーベルトというのは、ICRPの勧告では、自然放射線に加えて人工放射線による追加被ばくの限度だ。しかも、外部被ばく、内部被ばくを合わせて年1ミリシーベルト以内、というのが世界の基準になっている。

 被ばくしてしまった国民の一人ひとりが国にこの約束を守るよう意思表示すべきではなかろうか。何もできないと諦めてしまうのではなく、署名で意思表示すべきだと思う。以下のページの「change.org」をクリックするとオンライン署名ができる。

署名をしよう!世界に署名を呼びかけよう!

 福島の県民健康管理調査では、結果の発表があるたびに甲状腺がんの子どもの数が増えている。8月20日には44人が甲状腺がんやその疑いがあると発表した。とても残念なことだが、これからも甲状腺がんの子どもたちは増えていくだろう。福島に暮らしている方たち、とりわけ検査を受ける子ども達や母親はどれほど大きな不安を抱えているだろう。毎日が戦争のような日々に違いない。福島で診療所を開設している松江寛人医師は、福島の母親の不安について以下のように記している。

福島の母親の不安(がん医療に生涯をかけて)

 福島県民の子どもは医療費が無料になっているというが、それだけではとても十分な支援とは言えない。検査や治療の支援をするだけではなく、精神的なケアが欠かせないだろう。これは福島県に限ったことではない。

 また大量の放射性物質を呼吸によってとりこんでしまった初期被ばくや、その後追加された被ばくを考えるなら、たとえ避難したとしても健康被害が生じる可能性は否定できない。避難した人たちの支援も必要だ。汚染された食べ物が全国に流通している以上、おそらくこれから全国で病気が増えていくだろう。低線量被ばくの影響は何年も、あるいは何十年も経ってから現れるのだから。

 事故から2年半以上もたった今、ただ「避難しろ!」と声高に叫んでいるだけでは被ばく問題は解決しない。年一ミリシーベルトを超える地域に住む人たちの避難の権利、食品の検査、被ばくした人たちに対する補償やケアを国に求めていくことこそ現実的である。

 この国は、子どもの甲状腺がんだけは原発事故の影響を認めざるを得ないとしても、あとは「因果関係が不明」との理由で責任逃れすることしか考えていないだろう。そんなことを許さないためにも、一人ひとりが意思表示をし、署名をひろめてほしいと思う。



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Posted by 松田まゆみ at 17:30│Comments(2)原子力発電
この記事へのコメント
> 本来なら年1ミリシーベルトという被ばくの限度を
> 守らなければならないのに、日本政府はまったく
> 無視している。

日本政府の文書「区域、線量、クリアランス等についての整理」の4ページ
「 http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100528a12j.pdf 」

周辺監視区域とは、原子力施設の周囲を柵などにより区画し、
その外側にいる人が受ける放射線の量が、法令で規制している値
(1年間の実効線量:1mSv、皮膚及び眼の水晶体の1年間の等価
線量:50mSv)を超えることがないように管理している区域をいう。

周辺監視区域内では、人の居住を禁止し、柵又は標識などにより
立入り制限などの措置が講じられている。

この「周辺管理区域」が福島原発を中心に、東京では23区全域迄
という現状ですが、「人の居住を禁止」なら皆さん困るでしょうね。

この記載は、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」
「 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S53/S53F03801000077.html 」
「 http://www.taisei-shuppan.co.jp/support/code1487/1487/dat/data.files/00100.htm 」
「 http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxrefer.cgi?H_FILE=%8f%ba%8e%4f%93%f1%96%40%88%ea%98%5a%98%5a 」
に基づく、法律的な記載ですが、誰がこの法律を守る義務があり、
誰がその履行の管理をするのかが重要です。そして罰則が重要です。

履行の義務者は、東京電力などの事業者。
履行の管理者は、原子力規制委員会などの政府機関など。
問題は、「周辺管理区域」に「人の居住」を禁止しない場合に対し
誰に対する罰則があるか? ということです。

私には、現状の法律は、事故(特に天災による事故)では、「周辺管理
区域」に「人の居住」を禁止しない場合に、「政府に罰則」が無い
様に見えるし、運転停止と原子炉廃炉を命令するにとどまる気がする。
よって、法律的には、現状の放置でも違法ではない様に見える。
これが、この問題が「法律的に不安定な権利」であることを物語る。

そこで、別途の立法が必要となるかも知れない。
Posted by ひで at 2013年10月14日 00:23
ひでさん

ご指摘の通り、ルールだけれど罰則はないということになるのでしょう。法的には今の状況でも違法とは言えないのだと思います。私には電力会社や政府が責任を逃れるために意図的にそうしているように思えます。

ただ、チェルノブイリでは、居住禁止区域に移住したくない高齢者が住んでいます。どうしても移住したくない人を強制的に移住させることも不適切だと思います。

現時点では「子ども被災者支援法」に「年1ミリシーベルト」のルールを明記することが最も適切ではないかと思えます。そして適切に実行しない場合に罰則規定を設ける必要があるかもしれませんね。もっとも「子ども被災者支援法」の基本方針は骨抜きにされてしまいました。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013101202000121.html

今後は、これを「年1ミリシーベルト」を厳守するようにさせ、罰則も取り入れるよう改正を求めるしかないのではないでしょうか。一人ひとりが「年1ミリシーベルト」の約束を声高に主張し、国に求めていくしかないと思います。
Posted by 松田まゆみ松田まゆみ at 2013年10月14日 10:10
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