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2013年10月16日
人口減の社会では経済は縮小すべき
昨日、安倍首相は所信表明演説を行った。
復興と成長戦略に全力 安倍首相の所信表明演説全文(朝日新聞)
汚染されたところから避難させるのではなく、避難した人たちを汚染地に戻して被ばくさせようという首相。100ベクレルという基準値を下回っているから安全だと平気でいう首相。低線量内部被曝のことをご存知ないとは思えないが・・・。
嘘つき東電はまず解体すべきでは。国が前面に立って責任を果たすというのなら、世界の叡知を結集して解決にあたるべきだろう。
大企業ばかりを優遇し、消費税増税で庶民に負担を押し付けるというのが本音だろう。
iPS細胞の技術はまだまだ開発途上。私はほとんど期待していない。
農業の大規模化によるコスト削減、生産性の向上は、環境破壊と農薬まみれの農作物を生みだしてきた。それに汚染された日本の農水産物をいったいどこの国が買うのだろう?
そして相変わらず馬鹿の一つ覚えのような「成長戦略」一辺倒。しかし、日本は高度経済成長でほんとうに幸せになったのか? 経済成長のために嘘をついて原発をどんどんつくり、挙句の果てに取り返しのつかない大事故を起こしてしまったではないか。この事故でいったいどれほどの国民が被ばくし、犠牲を強いられていることか。よくも、汚染を風評被害などと誤魔化せるものだ。
非正規雇用で長時間労働と貧困にあえぐ人たちが激増し、うつ病と自殺者が絶えない。老人ホームも何年も待たないと入れない。年金だけで暮らせず老後の不安を抱えた人たちが大勢いる。TPP参加で国民皆保険も危うくなるかもしれない。子どものアレルギーは激増し、電磁波や化学物質の過敏症で悩む人も多い。いじめが蔓延する学校、夜遅くまで塾に通う子どもたちの姿は異常ではないか。不安を抱える社会が健全であるはずがない。
必要もない自然破壊型大型公共事業によって、豊かだった自然がどんどん消えていった。ダムによって土砂が海に流れなくなり、海岸線はどんどん後退している。海岸はどこもかしこもテトラポットやコンクリート護岸で固められてしまった。干潟も湿地も激減し、渡り鳥は生息場所を失った。生物多様性はどんどん低下し、メダカですら絶滅危惧種になった。地球温暖化で台風は大型化し、異常気象が当たり前のようになった。
富める人たちはほんの一握りで、大多数の国民が不安を抱えながら必死に働いている。これが自民党の押し進めた経済成長のなれの果ての姿だ。こうした負の側面を一切無視しているのが安倍首相の成長戦略だ。
9月6日号(958号)の週刊金曜日に、「『縮小する経済』下で発想の転換を」という記事が掲載されていた。岩村充・早大教授が的確な指摘をしている。
人口が減少し超高齢化していく日本では、当然のことながら国内生産も消費も減少していく。少子化は世界全体の流れであり、社会構造の大転換が起きるのが自然だという。つまり、子どもを少なく生んで、豊かに、平和に暮らすように向かうのではないかと。
また、今の日本のデフレ状況は、技術が成熟し価格競争が激化したグローバル経済で起こるはずの普遍的現象であり、病気ではないので治療法はないという。だから、やるべきことは治療ではなく対応だと。また、世界の国々が経済成長を続けていけば、地球環境ももたないと指摘する。
アベノミクスに関しては、二年後の物価2%上昇が達成できない可能性が高いとし、「比較的高い可能性で『現状とあまり変わらない(もっと低い物価上昇率にしかならない=デフレから脱却できない)』か、それよりは可能性は低いと思いますが『オイルショック時のような大きな物価水準のジャンプ』か、ではないでしょうか」と言っている。
こうした状況の中で、これまでのような経済成長はあり得ないと言う。冷静に考えれば誰もがわかることだと思うが、なぜか多くの国民が安倍首相の成長戦略に乗せられている。経済成長がバラ色だというのは幻想にすぎない。間違いなくやってくる少子高齢化社会を考えるなら、自然破壊・環境破壊を憂慮するのなら経済は縮小するのが当たり前なのだ。そして弱者切り捨てにならない社会保障を確立することにこそ力を注がなければならない。岩村氏は以下のように言う。
もっともだと思う。
復興と成長戦略に全力 安倍首相の所信表明演説全文(朝日新聞)
福島の皆さんにも一日も早く故郷に戻っていただけるよう、除染やインフラ復旧を加速してまいります。
私は、毎日官邸で、福島産のお米を食べています。折り紙つきのおいしさです。安全でおいしい福島の農水産物を、風評に惑わされることなく、消費者の皆さんに、実際に味わってほしいと願います。
汚染水の問題でも、漁業者の方々が、「事実」と異なる「風評」に悩んでいる現実があります。しかし、食品や水への影響は、基準値を大幅に下回っている。これが、「事実」です。
汚染されたところから避難させるのではなく、避難した人たちを汚染地に戻して被ばくさせようという首相。100ベクレルという基準値を下回っているから安全だと平気でいう首相。低線量内部被曝のことをご存知ないとは思えないが・・・。
抜本解決に向けたプログラムも策定し、すでに着手しています。今後とも、東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策を、全力でやり抜いてまいります。東京電力任せにすることなく、国が前面に立って、責任を果たしてまいります。
嘘つき東電はまず解体すべきでは。国が前面に立って責任を果たすというのなら、世界の叡知を結集して解決にあたるべきだろう。
果敢にチャレンジする企業を、安倍内閣は応援します。日本の持つ「可能性」を最大限引き出すことこそが、競争力を強化する道であると考えます。
大企業ばかりを優遇し、消費税増税で庶民に負担を押し付けるというのが本音だろう。
難病から回復して再び総理大臣となった私にとって、難病対策はライフワークとも呼ぶべき仕事です。患者に希望をもたらす再生医療について、その実用化を更に加速してまいります。民間の力を十二分に活用できるよう、再生医療に関する制度を見直します。
iPS細胞の技術はまだまだ開発途上。私はほとんど期待していない。
意欲のある民間企業には、この分野にどんどん投資してもらい、日本の農産物の可能性を世界で開花させてほしいと願います。しかし、狭い農地がバラバラに散在する現状では、意欲ある農業者ですら、コストを削減し、生産性を向上することはできません。都道府県ごとに、農地をまとめて貸し出す、いわば「農地集積バンク」を創設してまいります。
併せて、成長する世界の食市場への農水産物の輸出を戦略的に倍増し、一手間かけて付加価値を増す6次産業化を進めます。これらによって、今後10年間で、農業・農村全体の所得倍増を目指してまいります。
農業の大規模化によるコスト削減、生産性の向上は、環境破壊と農薬まみれの農作物を生みだしてきた。それに汚染された日本の農水産物をいったいどこの国が買うのだろう?
そして相変わらず馬鹿の一つ覚えのような「成長戦略」一辺倒。しかし、日本は高度経済成長でほんとうに幸せになったのか? 経済成長のために嘘をついて原発をどんどんつくり、挙句の果てに取り返しのつかない大事故を起こしてしまったではないか。この事故でいったいどれほどの国民が被ばくし、犠牲を強いられていることか。よくも、汚染を風評被害などと誤魔化せるものだ。
非正規雇用で長時間労働と貧困にあえぐ人たちが激増し、うつ病と自殺者が絶えない。老人ホームも何年も待たないと入れない。年金だけで暮らせず老後の不安を抱えた人たちが大勢いる。TPP参加で国民皆保険も危うくなるかもしれない。子どものアレルギーは激増し、電磁波や化学物質の過敏症で悩む人も多い。いじめが蔓延する学校、夜遅くまで塾に通う子どもたちの姿は異常ではないか。不安を抱える社会が健全であるはずがない。
必要もない自然破壊型大型公共事業によって、豊かだった自然がどんどん消えていった。ダムによって土砂が海に流れなくなり、海岸線はどんどん後退している。海岸はどこもかしこもテトラポットやコンクリート護岸で固められてしまった。干潟も湿地も激減し、渡り鳥は生息場所を失った。生物多様性はどんどん低下し、メダカですら絶滅危惧種になった。地球温暖化で台風は大型化し、異常気象が当たり前のようになった。
富める人たちはほんの一握りで、大多数の国民が不安を抱えながら必死に働いている。これが自民党の押し進めた経済成長のなれの果ての姿だ。こうした負の側面を一切無視しているのが安倍首相の成長戦略だ。
9月6日号(958号)の週刊金曜日に、「『縮小する経済』下で発想の転換を」という記事が掲載されていた。岩村充・早大教授が的確な指摘をしている。
人口が減少し超高齢化していく日本では、当然のことながら国内生産も消費も減少していく。少子化は世界全体の流れであり、社会構造の大転換が起きるのが自然だという。つまり、子どもを少なく生んで、豊かに、平和に暮らすように向かうのではないかと。
また、今の日本のデフレ状況は、技術が成熟し価格競争が激化したグローバル経済で起こるはずの普遍的現象であり、病気ではないので治療法はないという。だから、やるべきことは治療ではなく対応だと。また、世界の国々が経済成長を続けていけば、地球環境ももたないと指摘する。
アベノミクスに関しては、二年後の物価2%上昇が達成できない可能性が高いとし、「比較的高い可能性で『現状とあまり変わらない(もっと低い物価上昇率にしかならない=デフレから脱却できない)』か、それよりは可能性は低いと思いますが『オイルショック時のような大きな物価水準のジャンプ』か、ではないでしょうか」と言っている。
こうした状況の中で、これまでのような経済成長はあり得ないと言う。冷静に考えれば誰もがわかることだと思うが、なぜか多くの国民が安倍首相の成長戦略に乗せられている。経済成長がバラ色だというのは幻想にすぎない。間違いなくやってくる少子高齢化社会を考えるなら、自然破壊・環境破壊を憂慮するのなら経済は縮小するのが当たり前なのだ。そして弱者切り捨てにならない社会保障を確立することにこそ力を注がなければならない。岩村氏は以下のように言う。
豊かさは経済効果だけの問題ではないからです。澄んだ空気、森の再生、鳥のさえずり、そういった豊かさが(人口減によって)私たちにもたらされる。そうした発想の転換も必要なのではないでしょうか。
もっともだと思う。
食料を自給できない国の行方
『日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れるべきではありません!』のオンライン署名を開始
個人の責任
日高山脈一帯の国立公園の名称を巡る不可解
主権を失った国の行方
「地震兵器について思うこと」への追記
『日高山脈を含む新国立公園の名称に「十勝」を入れるべきではありません!』のオンライン署名を開始
個人の責任
日高山脈一帯の国立公園の名称を巡る不可解
主権を失った国の行方
「地震兵器について思うこと」への追記
Posted by 松田まゆみ at 15:59│Comments(2)
│政治・社会
この記事へのコメント
「『縮小する経済』下で発想の転換を」岩村充・早大教授の「週間金曜日」は読んでいませんが、次の説明でその主張はよく分かります。
「人口が減少し超高齢化していく日本では、当然のことながら国内生産も消費も減少していく。少子化は世界全体の流れであり、社会構造の大転換が起きるのが自然だという。つまり、子どもを少なく生んで、豊かに、平和に暮らすように向かうのではないかと。」「また、今の日本のデフレ状況は、技術が成熟し価格競争が激化したグローバル経済で起こるはずの普遍的現象であり、病気ではないので治療法はないという。だから、やるべきことは治療ではなく対応だと。また、世界の国々が経済成長を続けていけば、地球環境ももたないと指摘する。」
①人口減少は自然現象?そう見えるのだろうが、何故子どもを産まなくなってきているのか、は決して自然ではない。子供の養育費に子供は少なく産んで、となっているし、多くの労働者家庭では子供も作れなくなってきているのが現実の生活である。4割にもなろうとしている非正規労働者は結婚さえためらっている。人口減少は自然現象じゃなく今日の日本の社会的現象であり、労働者の貧困と密接ではないか。
②日本のデフレ現象も同様に病気でないグローバル経済の普遍的現象だろうか。先進諸国間でも日本の特異的現象ではないか。とすればグローバル経済の普遍的現象ではない。原因が労働者の賃金が長期に亘り低下傾向を続けてきた日本固有の問題ではないか。それは内需が停滞した最も主要な問題であり、解決は内需、つまり労働者への賃金配分にかかっている、と言える。
「人口が減少し超高齢化していく日本では、当然のことながら国内生産も消費も減少していく。少子化は世界全体の流れであり、社会構造の大転換が起きるのが自然だという。つまり、子どもを少なく生んで、豊かに、平和に暮らすように向かうのではないかと。」「また、今の日本のデフレ状況は、技術が成熟し価格競争が激化したグローバル経済で起こるはずの普遍的現象であり、病気ではないので治療法はないという。だから、やるべきことは治療ではなく対応だと。また、世界の国々が経済成長を続けていけば、地球環境ももたないと指摘する。」
①人口減少は自然現象?そう見えるのだろうが、何故子どもを産まなくなってきているのか、は決して自然ではない。子供の養育費に子供は少なく産んで、となっているし、多くの労働者家庭では子供も作れなくなってきているのが現実の生活である。4割にもなろうとしている非正規労働者は結婚さえためらっている。人口減少は自然現象じゃなく今日の日本の社会的現象であり、労働者の貧困と密接ではないか。
②日本のデフレ現象も同様に病気でないグローバル経済の普遍的現象だろうか。先進諸国間でも日本の特異的現象ではないか。とすればグローバル経済の普遍的現象ではない。原因が労働者の賃金が長期に亘り低下傾向を続けてきた日本固有の問題ではないか。それは内需が停滞した最も主要な問題であり、解決は内需、つまり労働者への賃金配分にかかっている、と言える。
Posted by 大越 at 2013年10月16日 17:30
大越さん、コメントありがとうございました。
私が岩村さんの話しをはしょって書いているので、分かりにくいところがあるかと思います。
岩村さんは、人口減少が自然現象だといっているわけではありません。人口構成については「日本の人口構成の中で一番ふくらんでいるのは60代です。ヨーロッパでは日本より20歳ほど下の世代がふくらんでいる国が大半です。こうした傾向をみると、世界の人口増はいずれ止まります。むしろ人口は少なくなっているのではないでしょうか。少子化が世界全体で進行しているという事実を直視すれば、いずれ社会構造の大転換が起きると予想するのが自然だと思います」といっています。また衛生、医療などが発達して子どもの死亡率が低くなっていることからも、子どもは一人ないし二人で十分だと思うようになるので、少なく生んで豊かに暮らすという社会になるだろうと言っているのです。もちろん、これは先進国の話しで、開発途上国ではまだまだそのようにはなっていませんが。
また、デフレについては「日本はデフレだと言われますが、インフレ率が低下しやがて物価の持続的下落つまりデフレ状況に入り込むというシナリオは、遅かれ早かれ多くの先進国で経験されることとなるでしょう。日本の状況は病気なのではなく、技術が成熟し価格競争が激化したグローバル経済で起こるはずの普遍的現象なのです」と言っています。
人口減もデフレも日本の場合は他の先進諸国より早くきていると言っているわけです。日本では大越さんがご指摘のような原因による労働者の貧困化があり、少子化も拍車がかかっているわけですが、岩村さんもそれは十分に認識しての発言だと私は思います。
少子高齢化をたどる日本が発想の転換をすることなく経済大国を目指すのであれば、アジアやアフリカ諸国の経済力が拡大することを考えるとかなり危険だろうというご意見です。私は危険どころか破滅だろうと思いますが。
私が岩村さんの話しをはしょって書いているので、分かりにくいところがあるかと思います。
岩村さんは、人口減少が自然現象だといっているわけではありません。人口構成については「日本の人口構成の中で一番ふくらんでいるのは60代です。ヨーロッパでは日本より20歳ほど下の世代がふくらんでいる国が大半です。こうした傾向をみると、世界の人口増はいずれ止まります。むしろ人口は少なくなっているのではないでしょうか。少子化が世界全体で進行しているという事実を直視すれば、いずれ社会構造の大転換が起きると予想するのが自然だと思います」といっています。また衛生、医療などが発達して子どもの死亡率が低くなっていることからも、子どもは一人ないし二人で十分だと思うようになるので、少なく生んで豊かに暮らすという社会になるだろうと言っているのです。もちろん、これは先進国の話しで、開発途上国ではまだまだそのようにはなっていませんが。
また、デフレについては「日本はデフレだと言われますが、インフレ率が低下しやがて物価の持続的下落つまりデフレ状況に入り込むというシナリオは、遅かれ早かれ多くの先進国で経験されることとなるでしょう。日本の状況は病気なのではなく、技術が成熟し価格競争が激化したグローバル経済で起こるはずの普遍的現象なのです」と言っています。
人口減もデフレも日本の場合は他の先進諸国より早くきていると言っているわけです。日本では大越さんがご指摘のような原因による労働者の貧困化があり、少子化も拍車がかかっているわけですが、岩村さんもそれは十分に認識しての発言だと私は思います。
少子高齢化をたどる日本が発想の転換をすることなく経済大国を目指すのであれば、アジアやアフリカ諸国の経済力が拡大することを考えるとかなり危険だろうというご意見です。私は危険どころか破滅だろうと思いますが。
Posted by 松田まゆみ at 2013年10月16日 22:32
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