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鬼蜘蛛おばさんの疑問箱 › 生物学 › 名誉毀損になりかねない小保方晴子さんへの不当な批判

2014年08月16日

名誉毀損になりかねない小保方晴子さんへの不当な批判

 去る8月5日、理研の再生科学総合研究センター副所長であった笹井芳樹さんが自殺して亡くなった。STAP細胞論文では小保方晴子さんの指導に関わっていただけに、このようなことになってしまったことにとても驚いたし、残念で仕方ない。笹井さんのご冥福をお祈りしたい。

 ネットでは自殺偽装などという説もあったようだが、ご家族あての遺書もあったとのことなので自殺は間違いないだろう。

 STAP細胞問題に関しては論文に間違いがあったことは事実だが、最大の問題はそこではなく、STAP細胞自体が本当にあるのかどうかということだ。理研もこれに関しては検証実験をはじめたし、小保方さんも検証実験の参加に意欲的だったのだから、まずはこの点を確かめるのが当然だと思う。

 小保方さんの実験に関して可能性として考えられるのは以下のようなことだろう。
・小保方さんの実験は間違いはなく、STAP細胞は存在する。
・小保方さんの実験にミスあるいは細胞の取り違えなどがありSTAP細胞はできていないが、本人はSTAP細胞が作製できたと勘違いした。
・小保方さんの知らないところで、誰かが実験に用いる細胞を恣意的に入れ替えた。
・小保方さんが捏造を行った。

 私には、小保方さんの記者会見の様子から小保方さんが嘘を言っているようにはとても感じられなかったし、彼女はあくまでもSTAP細胞があると信じているとしか思えなかった。だから再現実験がうまくいかないという結果になれば、小保方さんの実験に何らかのミス、あるいは細胞の取り違えなどがあったということになるのだろうと考えていた。この場合は、もちろん不正でもなければ捏造でもない。単なる誤りである。

 ところが、7月4日に、日本分子生物学会の大隅典子理事長は研究不正の実態解明と理研の再現実験の凍結を求める声明を出した。

理事長声明『STAP細胞論文問題等への対応について、声明その3』

 日本分子生物学会は、大隅理事長のみならず、理事や元役員の方たちも大隅理事長に同調する声明やコメントを発表している。

STAP細胞問題等についての、理事、元役員経験者からの自主的なコメント

 STAP細胞に関しては再現実験中であり、実際に作製できたのかどうかは明らかになっていない。だからこそ理研は再現実験をしているのだ。それにも関わらず「不正」と決めつけて再現実験の凍結を求めるというのは、まるで小保方さんの実験は捏造であると言っているかのように聞こえる。分子生物学会の人たちは今の時点でなぜこんなことを主張するのか、私にはとても不可解で奇異に感じた。

 しかし、先日「一研究者・教育者の意見」というブログを知り、今回のSTAP細胞騒動のことや分子生物学会の人たちの主張の陰にあるものが見えてきた。

STAP細胞論文問題等への日本分子生物学会理事長声明について再度考える(一研究者・教育者の意見)

 このブログの著者は、大隅理事長を含め、再現実験の凍結を唱える人たちは、調査によって小保方さんは必ず有罪になると確信していると主張する。確かに、そう考えれば分子生物学会の人たちの主張が理解できる。さらに、私は気づかなかったのだが、科学ライターの片瀬久美子さんやその取り巻きの「ニセ科学批判」の方たちも大隅さんとともに小保方さん批判を展開していたことを知った。

「可能性」を理解できない人たち(一研究者・教育者の意見)

 正直「ああ、またか・・・」と思った。菊池誠さんや片瀬久美子さんなど、「ニセ科学批判」のグループの人たちは、3.11以降、福島の原発事故による放射能汚染に関して「福島の事故程度では健康被害は生じない」とか「福島の事故で鼻血が出るというのはあり得ない」などと主張していた。少なくとも、誰も確定的なことなど言えない事故後間もない頃から、このような決めつけをしていた。それ以来、私は彼らの「科学的思考」に大いに疑問を持ち、何度か批判をしてきた。

 そして、今回の小保方さん批判。小保方さんが研究不正をしたとか捏造をしたなどということは証明されていないにも関わらず、不正だ、捏造だと決めつけて批判をしたなら、それはもはや批判を通り越したバッシングである。その批判がもし事実と異なるのであれば、批判された側は嘘をまき散らされたことで大きなショックを受けるだろうし、明らかに名誉毀損だろう。公益目的に批判をすることは意味があるが、可能性でしかない段階で、「捏造」だなどという決めつけによる批判は決してしてはならない。

 今回のSTAP細胞問題では、笹井さんが自殺をするというとても残念な結果となった。笹井さんは精神薬を飲んでいて議論も満足にできない状態だったとのことなので薬が自殺を誘発した可能性があるが、一部の科学者などによる「不正だ」「捏造だ」というバッシングも相当なストレスになったことは想像に難くない。何しろ、STAP細胞論文をめぐって、今までは一般の人には知られていなかった小保方さんや笹井さんがマスコミで大々的に報じられ、記者会見も行い、日本中の人に名前や顔が知られることとなったのだ。ただでさえ大きなストレスにさらされているときに、それに追い打ちをかけるようにバッシングがあったなら、その心理的負担は計り知れないだろう。

 私は批判精神自体は大事なことだと思っているし、私もしばしばブログで批判をする。しかし、批判をする際にはまず事実であることが前提だし、事実かどうか分からないことに関して意見を述べる場合は「推測」とか「可能性」であることを明示したり、仮定形にしなければならない。

 ところが「可能性」でしかないことをあたかも事実であるかのように決めつけて非難した今回の科学者集団による小保方さん批判は、明らかに不当なであり、度を越しているとしか言いようがない。果たして小保方さん批判を繰り返した彼ら彼女らはそのことを理解しているのだろうか。

 なお、この件については「Openブログ」も参考になる。


    



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Posted by 松田まゆみ at 22:22│Comments(7)生物学
この記事へのコメント
この件は、専門的な内容に踏み込むと逆に足元をさらわれてしまうと感じています。
それよりも、こういった高度な知識が必要な事柄を、しかもミスかどうかも分からないことを、TV(情報番組が筆頭)が一斉に連日大々的に徹底批判報道したという事実です。
出演者(コメンテーター)も発言内容もとても偏っていました。
被曝による健康被害はないことにしたいのと同じような意図を感じています。
Posted by hiroki at 2014年09月12日 10:50
hirokiさん

おっしゃる通り、専門的なことに関して素人はあまり口を出さないほうが賢明だと思います。だから私もしばらく静観していました。

その後知った「一研究者・教育者の意見」のブログ主さん、「Openブログ」のブログ主さんはこの分野ではかなり専門的な知識をお持ちのようで、これらのブログを読んでだいぶ状況が見えてきました。

マスコミ関係者などはどれくらい問題の本質を理解した上で批判したのかと気になります。一部の、思い込みで断定的にモノを言う科学者の発言にだいぶ影響されたのではないでしょうか。
Posted by 松田まゆみ松田まゆみ at 2014年09月12日 11:16
 生物関係の先生方(高校教師)が普通にやっているらしいボルボックスの培養は,私は何度チャレンジしても失敗しています.逆に私が普通にやっている,ある微小生物の培養は,他の先生方はうまくできてないようです.
 それが「生物を相手にする」ということだと思います.小保方さんの実験の追試が2週間もすれば白黒が判定できるかのような言説がありましたが,「生物を相手にする」ことの独特の困難さを理解できてない,頭でっかちの科学評論家だと思いました.
Posted by Ladybird at 2014年09月15日 00:48
Ladybirdさん

たしかに生物の実験においてはコツといったものもあるのでしょうね。

いずれにしてもstap細胞に関しては、小保方さん自身が参加した時間をかけた検証実験が必要だと思います。理研自身がstap細胞はあるとして大々的に記者会見したのですから、疑惑が生じたなら再現実験をやるのは当然ではないでしょうか。

「捏造疑惑を調べることが先で、実験は無駄」みたいな主張はとても科学的とは思えず、理解に苦しみます。
Posted by 松田まゆみ松田まゆみ at 2014年09月15日 07:23
 誰でもできる,ことが重要で,名人芸をできるだけ排除しようというのは正しい方向だと思うのですが,それでも現実に名人芸ないし誰もが真似できる訳でないコツのようなものがあることは事実です.

 「捏造疑惑」などと大騒ぎをすること自体に,私は違和感があります.論文を「取り下げる」などということができる,というのも不思議でした.極端な話,「新種発表」の論文だったら,取り下げも訂正もできないでしょう.
Posted by Ladybird at 2014年09月20日 19:57
 連投失礼します.

 新種の発表では「取り下げ」はできないという記事を以前に書いたのでご紹介します.
http://plaza.rakuten.co.jp/tosana/diary/201404060000/

 こういう事については私より松田さんのほうが詳しいでしょうね.
Posted by Ladybird at 2014年09月20日 20:01
Ladybirdさん

おっしゃる通り、新種の記載論文は取り下げはありませんね。後に発表された種名が「無効」になるだけです。また「同じ種」だと判断されて一度「無効」になっても、あとでよく調べたら実は別の種で、無効になったものが「生き返る」なんてことも、絶対にないとは言えません。取り下げてしまったら不都合なことが起こりかねませんね。

私も詳しいことはよく分かりませんが、取り下げの対象になるのは、データの捏造とか取り違えなどといった根本的な誤りがあった場合なのだと思います。しかし、紙に印刷されてしまったものを「取り下げ」によって無かったことにするというのは、たしかに混乱を招きかねません。もっともその分野の専門家にとっては「取り下げを見落とした」ということは常識的にはないのでしょう。もし「取り下げた」論文を引用した場合は、査読段階でチェックされるはずです。
Posted by 松田まゆみ松田まゆみ at 2014年09月21日 07:15
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