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2014年09月15日
海岸に咲くエゾマツムシソウ
14日は、浜大樹の海岸で行われた植物観察会に参加した。この日の私の最大の目的はエゾマツムシソウだった。
十勝の海岸部は春から夏にかけては何回か行っているのだが、よく考えてみたら秋にはほとんど行ったことがない。エゾマツムシソウは、花の時期に行かなければまず気がつかない。
私の故郷は信州の上諏訪で、霧ヶ峰には子どものころから何度となく行っている。その霧ヶ峰を代表する花といえば7月に高原を黄色く染めるニッコウキスゲと8月から9月にかけて藤色の花を咲かせるマツムシソウだろう。涼風の立ち始めた初秋の草原に咲き乱れるマツムシソウの花は、どことなく寂しげで哀愁を誘う。父の命日の頃はちょうどマツムシソウが盛りを迎える。父が亡くなってからは母と何度か霧ヶ峰を訪れたが、いつもマツムシソウの季節だ。その母も今年他界した。マツムシソウを見るとさまざまな思いが蘇る。
北海道にはエゾマツムシソウがあるのだが、実は信州のマツムシソウとはずいぶん趣が異なる。信州のマツムシソウは、草丈が50センチから90センチほどになる。それに対して、エゾマツムシソウはずっと小さく、今回見たものはせいぜい15センチくらいしかない。風の強い海岸の地べたにしがみつくように生えている。色も信州のものより幾分濃い藤色だ。


海岸といっても砂浜に生育しているわけではない。海食崖の上の草地に生育しているのだが、ガンコウランの群落にも入り込んでいる。ガンコウランとエゾマツムシソウが一緒に見られるのは、北海道の一部の海岸だけではなかろうか。

エゾマツムシソウは思っていたより沢山あり、そのちょっと不思議な光景を堪能することができた。カシワの海岸林と海食崖の間の僅かな草地にしか生育できないようだが、海食崖の浸食が進んだり、ササが繁茂したら生育地がなくなってしまうのではないかと心配になる。
いつまでも可憐な姿を絶やさずにいてほしいと思う。
***
こちらはマツムシソウが出てくる父の随筆と詩。
http://yamanobanka.sapolog.com/e76031.html
http://yamanobanka.sapolog.com/e76052.html
http://yamanobanka.sapolog.com/e76053.html
十勝の海岸部は春から夏にかけては何回か行っているのだが、よく考えてみたら秋にはほとんど行ったことがない。エゾマツムシソウは、花の時期に行かなければまず気がつかない。
私の故郷は信州の上諏訪で、霧ヶ峰には子どものころから何度となく行っている。その霧ヶ峰を代表する花といえば7月に高原を黄色く染めるニッコウキスゲと8月から9月にかけて藤色の花を咲かせるマツムシソウだろう。涼風の立ち始めた初秋の草原に咲き乱れるマツムシソウの花は、どことなく寂しげで哀愁を誘う。父の命日の頃はちょうどマツムシソウが盛りを迎える。父が亡くなってからは母と何度か霧ヶ峰を訪れたが、いつもマツムシソウの季節だ。その母も今年他界した。マツムシソウを見るとさまざまな思いが蘇る。
北海道にはエゾマツムシソウがあるのだが、実は信州のマツムシソウとはずいぶん趣が異なる。信州のマツムシソウは、草丈が50センチから90センチほどになる。それに対して、エゾマツムシソウはずっと小さく、今回見たものはせいぜい15センチくらいしかない。風の強い海岸の地べたにしがみつくように生えている。色も信州のものより幾分濃い藤色だ。


海岸といっても砂浜に生育しているわけではない。海食崖の上の草地に生育しているのだが、ガンコウランの群落にも入り込んでいる。ガンコウランとエゾマツムシソウが一緒に見られるのは、北海道の一部の海岸だけではなかろうか。

エゾマツムシソウは思っていたより沢山あり、そのちょっと不思議な光景を堪能することができた。カシワの海岸林と海食崖の間の僅かな草地にしか生育できないようだが、海食崖の浸食が進んだり、ササが繁茂したら生育地がなくなってしまうのではないかと心配になる。
いつまでも可憐な姿を絶やさずにいてほしいと思う。
***
こちらはマツムシソウが出てくる父の随筆と詩。
http://yamanobanka.sapolog.com/e76031.html
http://yamanobanka.sapolog.com/e76052.html
http://yamanobanka.sapolog.com/e76053.html
Posted by 松田まゆみ at 21:47│Comments(2)
│植物
この記事へのコメント
エゾマツムシソウは私も大好きな花です。道南では旧戸井町辺りの海岸、あとは様似から大樹の海岸で観察しました。昨年は大樹のホロカヤントー周辺の草地で8月20日頃、結構な数を見ました。アポイ岳にもありますが、北海道では完全に海浜植物ですね。草地のほか、海岸のかなりの急斜面、草付きのない岩場でも見られますね。
(話が変わって、北海道にお帰りなのでしょうか? 先日は北海道自然保護協会の風力発電の学習会を聴講しました。啓発されることの多い学習会でした)
(話が変わって、北海道にお帰りなのでしょうか? 先日は北海道自然保護協会の風力発電の学習会を聴講しました。啓発されることの多い学習会でした)
Posted by 中尾吉清 at 2014年09月17日 10:05
中尾さん
エゾマツムシソウの情報ありがとうございました。信州の高原に咲くマツムシソウを見慣れている私にとって、北海道の海岸に咲く小柄のエゾマツムシソウはまるで別種の感がありますが、どちらもいいですね。
今は北海道に戻っています。北海道もあちこちで風力発電が計画されていますが、自然エネルギーもさまざまな問題点があり、もろ手を挙げて賛成ということにはなりません。トムラウシでは電源開発が国立公園の特別地域で地熱発電を計画していますが、建物などの建設が厳しく規制されている特別地域に大規模な工場のような施設をつくるという計画に驚きを禁じ得ません。
エゾマツムシソウの情報ありがとうございました。信州の高原に咲くマツムシソウを見慣れている私にとって、北海道の海岸に咲く小柄のエゾマツムシソウはまるで別種の感がありますが、どちらもいいですね。
今は北海道に戻っています。北海道もあちこちで風力発電が計画されていますが、自然エネルギーもさまざまな問題点があり、もろ手を挙げて賛成ということにはなりません。トムラウシでは電源開発が国立公園の特別地域で地熱発電を計画していますが、建物などの建設が厳しく規制されている特別地域に大規模な工場のような施設をつくるという計画に驚きを禁じ得ません。
Posted by 松田まゆみ
at 2014年09月17日 11:11

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