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2014年10月11日

マララさんのノーベル賞受賞と勇気

 昨日ノーベル平和賞に17歳のマララ・ユスフザイさんとカイラシュ・サトヤルティさんが決まったとの報道があった。お二人とも女子教育や子どもの抑圧に対する活動が認められての受賞だ。

 お二人の受賞で、女性であるというだけで教育を受けられなかったり、いまだに学校に行くこともできずに苛酷な労働をさせられている子ども達が世界にはたくさんいるという現実を痛感する。

 マララさんは弱冠11歳でタリバンによる女子教育の抑圧についてブログで告発した。昨年7月の誕生日に国連で行った演説では「銃弾が私たちを黙らせると思うのは間違いだ。1冊の本、1本のペンが世界を変えられる」と主張した。胸のすくような勇気ある発言だ。

 この言葉は、アドラー心理学の根幹をなす「勇気」と「教育の大切さ」に重なる。世界を変えるためには一人ひとりの「勇気」が原動力となるのだろうし、適切な教育があれば子ども達が勇気を持てるようになるに違いない。

 マララさんやサトヤルティさんの活動はもちろん賞賛されるべきすばらしいものだ。しかし、彼女や彼のような人たちが世の中を変えてくれるなどと思ってはいけない。それは単なる依存でしかない。世の中を変えるのは私たち一人ひとりの意思と行動力であり、マララさんもサトヤルティさんも、現状を変えようと努力している勇気ある人の一人だ。

 翻って日本はどうなのだろう? 今の時代、学校に行きたくても行けない、あるいは小さなうちから働かなければならないという子どもは皆無に近いだろう。というより、いやいや学校に通っている子どもは少なくないに違いない。「学校に行きたくても行けない」どころか、「学校にいく権利が保障されているが行きたくない」という状況に陥っている。

 学校では教室という閉鎖空間で同調圧力に締め付けられながら過ごさねばならない。自由にふるまうことなどほとんど許されない世界だ。中学・高校ともなれば受験という競争にさらされる。さらに、部活に拘束されて自由時間もろくにない生活を強いられる。これが日本の学校教育の実態だ。

 しかも、教師は教育行政に縛られ、自由に物も言えない。卒業式で「君が代」や「日の丸」を押しつけられても、勇気をもって抵抗する教師はごく少数でしかない。いじめがあっても見て見ぬふり。これでは勇気が持てる子どもが育つのは困難だ。

 誰でも教育を受ける権利が保障されているのに、その教育現場はまるで自由がない監獄のようではないか。この国で子ども達に勇気を持たせるのは本当に難しいとつくづく思う。せめて、教師はアドラー心理学を学んで欲しい。

 私は見ていないが、「世界の果ての通学路」という映画が話題を呼んだ。

世界の果ての通学路 解説 (映画「世界の果ての通学路」公式サイト)
映画「世界の果ての通学路」予告編(YouTube)

 学校に行きたい子ども達は、大変な苦労をものともせずに危険だらけの通学路を通って学校に行く。2時間も走って学校に通うマサイ族の子どもがいることに驚愕する。このような子ども達にとって、学校は決して監獄のようなところではないはずだ。しかし、よく考えてみれば日本もかつては同じような状態だった。一昔前には、北海道ではヒグマに怯えながら何キロもの道のりを歩いて通学していた子どももいたのだ。

 教育さえ受けられるようになればいいというわけではない。教育が子どもを支配する構造になっていれば、そこに自由や人権はないし、子どもの勇気もそがれるだろう。そんな国に明るい未来があるとは思えない。

 同調圧力に屈することのない勇気を持てるような教育こそ意味がある。しかし、残念ながら日本の教育はそれが決定的に欠けている。もし勇気のある国民が増えたなら政府は国民を騙し支配し続けられなくなるから、そうならないよう教育を利用して子どもを支配しようとしているとしか思えない。マララさんの受賞の報を受け、複雑な気持ちになった。

 日本はどんどんおかしな方向へと進んでいる。平和憲法はなし崩しにされ、日米ガイドラインを改訂し、平時であっても自衛隊が米軍に協力できるようにしようとしている。日本政府に必要なのは、米国に支配されない勇気だ。安倍首相はマララさんの爪の垢を煎じて飲んだほうがよさそうだ。


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Posted by 松田まゆみ at 14:08│Comments(0)教育
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