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鬼蜘蛛の網の片隅から › 環境問題 › 黒木睦子さんへの妨害行動と産廃問題

2014年11月26日

黒木睦子さんへの妨害行動と産廃問題

 日向市の主婦、黒木睦子さんが(株)日向製錬所と(有)サンアイから提訴されたことがツイッターで広まると、ツイッターによる嫌がらせが始まった。こうした妨害行動を見ていると、かつて大雪山国立公園に計画された士幌高原道路の反対運動のことを思い出した。今から25年ほど前のことだ。

 反対運動に関わっていた私にも不可解なことがいろいろ起きた。たとえば、推進している立場の者が私の個人情報を調べ回っていたということをある人から聞いた。無言電話もしょっちゅうあった。抗議行動のために現場に行けば、公安が見張っていた。車で尾行されていると感じたこともある。事業者の説明会では、推進派が地元の住民を動員して会場を埋め、私が意見を言っただけで野次と罵声の嵐が起きた。地元で反対運動に関わったある人は明らかな営業妨害をされたそうだ。自然保護団体の企画した講演会には、反対の立場であることを知られたくないためか、目出帽をかぶって参加する人までいた。自然保護や環境問題で反対をするということは、しばしばこのようなリスクを伴う。

 当時はまだインターネットがそれほど普及していなかったが、今はさらにネットによる嫌がらせや妨害が加わることになる。黒木さんの場合、ブログとツイッターで産廃問題の告発をしていることもあり、ネットを利用して情報操作をしようと考える人がいるのは当然だろう。

 裁判が始まった途端、ツイッターで「黒木さんは嘘を言っている」「支援組織のカンパは詐欺」「黒木さんは単なるストーカー」などといった発言をする人が複数現れた。黒木さんに支援団体との関わりを執拗に質問する人などもいた。彼女のブログは今年の1月からあるのに、裁判になって突然このような発言があるというのは明らかに意図的なものだろう。

 「黒木さんは嘘を言っている」という発言は、彼女の信頼を落とすということが目的だろう。嘘つきだと吹聴することで支援者を減らしたいのだ。「支援組織のカンパは詐欺」などというのも同じで支援妨害だし、詐欺呼ばわりは事実ではなければ(私はもちろん詐欺だとは思っていない)重大な名誉毀損だ。ストーカー発言は被害者を加害者に仕立てようという情報操作だろう。何としても支援活動を妨害したいという意図が見えてくる。

 原告らはフェロニッケルスラグが「製品」であり土地の「造成」に使用したと言っているようだ。しかし、「製品」であるなら造成をした地権者はお金を出して買っていなければならない。またあのような山地での土地の造成はふつう切土と盛土で行うと思うのだが、わざわざ大量のフェロニッケルスラグを埋め込む理由が分からない。造成というからには目的があるはずだが、どう利用するのだろう? 大雨や地震などで崩れる危険はないのだろうか? 私にはどう考えても「造成」は名目であり産業廃棄物投棄にしか見えない。

 ところでフェロニッケルスラグとは「鉱さい」である。そして、リサイクルに利用されない「鉱さい」は産業廃棄物として適切に最終処分場で処理されなければならない。

 宮崎県は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に従って、産業廃棄物の処理について以下のように定めている。

産業廃棄物適正処理のために

 「鉱さい」の処理は「管理型処分場」となっている。また判定基準を超える金属等を含む「鉱さい」は「特別管理産業廃棄物」とされ「遮断型処分場」で処理されなければならない(17ページ)。

 「管理型処分場」は「廃棄物を収める処分場の内側には、廃棄物からしみ出した水を外に漏らさないために、遮水工を設けてあり、シートの内側に溜まった水は、浸出水処理施設で浄化した後に放流します。溶出試験の判定基準を満足する産業廃棄物に限って埋め立てることができます。」とされている。

「遮断型最終処分場」は「鉄筋コンクリート製の頑丈な構造物で、雨水が中に入らないように、上部には屋根を設けています。中に溜まった水をくみ出して外部に排出するようなことはありません。通常の方法では無害化することが難しい産業廃棄物を処分するための施設です。」(20ページ)

 つまり「鉱さい」を廃棄する際は溶出試験をしなければならないし、その結果が判定基準をクリアしていたとしても、しみ出た水が外に漏れないような処分場に埋設されなければならない。基準以上の有害物質が出ていたなら頑丈な構造物で厳重な管理がなされなければならないのだ。

 そういうものが「造成」の名のもとに、なんら遮蔽対策がなれていない山野に埋設されていいわけがない。「製品だ」「無害だ」というのであれば、宮崎県は埋められたフェロニッケルスラグを掘りだして検査する必要があるだろう。それをやろうとしないなら、不法投棄だと疑われるのは当然だ。

 ツイッターでは「たいした問題ではない」などと言っている人もいるが、ひとたび有害物質が生態系に出てしまったら生物濃縮によってさまざまな被害が起きるのだ。「たいした問題ではない」などと平然という人は、環境汚染に関してよほど常識が欠如しているのだろう。

 以下は黒木さんを科学的な側面からバックアップする支援組織のサイト。

日向製錬所産廃問題ネットワーク


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Posted by 松田まゆみ at 21:21│Comments(0)環境問題
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