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鬼蜘蛛おばさんの疑問箱 › 政治・社会 › SEALDsの想いが詰まった本「民主主義ってこれだ!」

2015年10月26日

SEALDsの想いが詰まった本「民主主義ってこれだ!」

 雲ひとつない青空をバックに、白い文字で綴られている奥田愛基さんのまえがきを何度も読んだ。彼の飾り気のない言葉が心に沁み入ってくる。なんだか目頭が熱くなってくる。私はあの福島の原発事故の後、今後のことを思うと頭が混乱し、気が抜けたような数日を過ごした。それは今も引きずっている。しかし、20代前半の若者の言葉に、落ち込みからなかなか抜け出せない自分が恥ずかしくなってくる。ちょっと引用しよう。

 社会はそんなに簡単に動かないし、変わらない。しかし、それらはすべて言うまでもないことで、言ったところでなんの意味もない。「社会に絶望した」だとか「日本は終わった」みたいな話しは当たり前すぎて、もうこれ以上聞きたくない。そういう人はいつだって変わらないふりをしているし、絶望したふりをしているから。この国は、俯瞰的に見るだけで実は何も言っていない評論家が多すぎて、やる人があまりに少なかったのだと思う。
 絶望の国で何ができるのかが問われている。全部が変わるなんてことは僕も信じない。けど、はたして変わらないものなんてあるのだろうか。

 誰かのせいにせず、やるべきことを、できる限り、淡々としてきた。これからもそうするだろう。何もまだ終わってはいない。これはお別れの挨拶でもないし、始まりの挨拶でもない。なぜなら、ある局面が終わり、次の局面がもう始まっているからだ。


 原発事故、安倍政権、特定秘密保護法、解釈改憲、戦争法、マイナンバー・・・この国はあれほどの大事故を起こしたのに何の反省もなく原発を再稼働させ、避難や被ばくで苦しんでいる人たちが大勢いるというのにオリンピックを招致するという。ほんの数年の間にものすごい勢いで右傾化し、全体主義へと突き進んでいる。格差はさらに拡大し、貧困化は著しい。それにも関わらず投票率はあまりに低い。希望がどこにも見出せない。というより絶望という言葉しか思い浮かばない。そんなときに若者から尻を叩かれた。SEALDsの「民主主義ってこれだ!」(大月書店)は、まさにそんな本だった。

 本書は、メンバーのスピーチ、SEALDsのステートメント、メンバーの意見、主要メンバー座談会、これまでの活動、高橋源一郎さんと奥田愛基さんの対談に識者のメッセージも加わっている。デザインも編集も構成もすべでメンバーの手作りなのも凄い。写真を駆使し、文章だけではなく視覚にも訴える。実に若者らしいデザインと構成から彼らの玄人はだしの質の高さが伺える(もちろん評価はいろいろだろうけれど・・・)。

 先に出版された「高橋源一郎×SEALDs 民主主義ってなんだ?」とは一味違うし、内容もほとんど重なっていない。SEALDsらしさを満載した本だ。ただ、全体的に文字が小さいのが年配者にはちょっと辛い。

 スピーチはどれも個性があふれて、何度も胸が熱くなった。若者達が、ほんとうに勇気をふりしぼって自分の言葉を紡ぎ、おかいしと思うことをまっすぐに訴えている。そして「不断の努力」を宣言する。こんな光景に出会えるとはこれまで思ったこともなかった。考えてみれば、それは至極あたりまえのことなのだけれど、少なくともこの国では少し前まで当たり前ではなかった。そんなことをしたら、陰口を言われ、ネットで叩かれ、いじめられた。でも、彼らはその過ちに気付いて勇気を振り絞って動き始めたのだ。そこにはネットの罵詈雑言をも撥ねつける強い意志がある。

 私は彼らの座談会を読んでいて、数十年前の自分の学生時代を思い返していた。彼らのエネルギー、活力、想像力、そして若者らしい快活さ・・・そういったものはたしかに私が若いころにも存在していた。学際を前にしたクラブ活動で、大人の人たちとともに行動した自然保護運動で・・・。しんどいけれどそこには熱気があった。SEALDsの活動もそれに重なる。

 彼らは部活や趣味に熱中するのと同じ感覚で、政治運動を展開したのだ。自分たちに何ができるのか考え、アイディアを出し、思考錯誤し、自分のやれることを精一杯にこなす。時には徹夜して頑張って、そして時々息抜きもする。そこには大変さだけではなく充実感もある。ああ、そうだったのか!と、すごく納得した。私の学生時代はそこまで頑張らなかったけれど、目標に向かってみなぎる若者のエネルギーはいつの時代だって変わらない。

 彼らのやり方は機動隊とぶつかり、火炎瓶を投げ、バリケードを築いたかつての学生運動とは全く別物だ。あくまでも平和的に訴える。しかもリズミカルに。映像もメディアも駆使する。そして、何よりも個人の発言、行動に重きを置く。個人の主体性に基づいている。

 奥田さんの「絶望の国で何ができるのかが問われている」、「誰のせいにもせず、やるべきことを、できる限り、淡々としてきた」という言葉をもう一度噛みしめる。多くの大人が絶望の底で留まって文句を垂れている中、彼らはもっと先を見据えて絶望から希望へと行動している。

 こんな酷い社会にしてしまったのは私たち大人の責任だが、彼らはそれを責めることなく自分たちの未来のために、子孫のために行動をはじめた。たった数人で手探りではじめた運動が、今では日本中に知れ渡り受け継がれ、民主主義の担い手が全国に広まった。そしてこれからも増えていくだろう。

 若者の社会への無関心を嘆いていただけの自分がなんと恥ずかしいことかと思う。不平不満ばかり言っていても何も変えることはできない。一人ひとりが声をあげ、自分のできることをやっていくことこそ意味がある。SEALDsの原点はそこにある。彼らの行動力の源は、未来に向けた希望と信念と勇気だ。そんな若者たちがいることが、ただただ嬉しい。


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