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鬼蜘蛛おばさんの疑問箱 › 政治・社会 › 消費税減税・廃止は新自由主義と親和的

2019年06月19日

消費税減税・廃止は新自由主義と親和的

 山本太郎氏が「れいわ新選組」を立ち上げ消費税減税・廃止とMMT(現代貨幣理論)を声高に主張するようになってから、ツイッターでは消費税減税の主張が大きくなっている。その理由の一つとして消費税は逆進的であり低所得者に負担を強いるから新自由主義と親和的だという主張があるが、私は逆だと思っている。要は高福祉国家にするなら所得税や法人税だけでは足りず、どうしても消費税が必要になるということだ。これについて6月12日の連続ツイートで説明したので、ここに紹介しておきたい。

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消費税が逆進的であり新自由主義と親和的だから減税もしくは廃止すべきだという意見がある。しかし、新自由主義のアメリカは累進的租税負担であり、高福祉国家のスエーデンは逆進的租税負担になっている。これについて、神野直彦著『「分かち合い」の経済学』による解説を以下に引用する。

〈消費税が比例的か逆進的かに結論を出さないにしても、消費税が経済力に応じた課税ではないことは明らかである。つまり、消費税は富める者に、重い負担を与えることはできないのである。〉

〈もっとも、「分かち合い」の「大きな政府」であるヨーロッパ諸国は、消費税の負担が重いことは事実である。逆に「分かち合い」の「小さな政府」であるアメリカは、消費税つまり消費型付加価値税を導入すらしていない。アメリカは所得税と法人税を中心とした租税制度が確立されている。〉

〈図5-4(略)で所得階層別の租税負担を見れば、所得税と法人税のウェイトが圧倒的なアメリカは、累進的租税負担となっている。ところが、スヴェーデンをみれば、逆進的租税負担構造となっている。消費型付加価値税の税率が二五%で、所得税も地方税として比例税率で課税されているからである。〉

〈アメリカとスヴェーデンと租税負担構造を比較して指摘しなければならない点は、すべての所得階層において、スヴェーデンのほうが租税負担が高いということである。つまり、「大きな政府」であれば逆進的で、「小さな政府」であれば累進的にならざるをえないのである。〉

〈「分かち合い」で生きていく社会であれば、貧しい国民も負担し合う。租税さえ支払えば、無償の公共サービスで生活を営むことができる。つまり、「分かち合い」で生きていくことができるからである。〉

〈政府が秩序維持機能しか担わず、自己責任で生きていく社会を目指すのであれば、秩序維持機能の負担は富める者が負担する。それだからこそアメリカは、所得税・法人税中心の租税制度となっているのである。ところが、日本はアメリカと同様に「分かち合い」の「小さな政府」を目指している。〉

〈しかし、自己責任で生きていく社会なので、秩序維持機能の費用は、アメリカのように貧しき物は負担しなくてもよいとは言わない。自己責任で生きていけという一方で、ヨーロッパを見習い、貧しき者も消費税を負担しろという。〉

〈しかし、ヨーロッパは「分かち合い」の社会である。日本は支出では「分かち合いをせずに、租税で消費税を増税しようとしても無理である。もしこれを強行すれば、社会統合が破綻することは目に見えている。〉引用終わり

日本の新自由主義者は政策では新自由主義を取り入れながら税制では富裕層に甘く低所得者からも消費税をとるという選択をした。このまま新自由主義路線をとり続けながらこの税制を続けるのなら、神野さんの指摘のように社会統合が破綻しうまくいかなくなるだろうし、現に不満の声が噴出している。

日本がこれからも政策として新自由主義路線をとり続けるのなら、これ以上の消費税増税は困難になるだろう。現に8%から10%への増税は2回も延期されているし、自民党内でも消費税減税の声が出てきている。消費税減税は「小さな政府」を目指す新自由主義と親和的なのだ。

今、消費税減税を支持している左派の人たちは、日本の新自由主義者が富裕層を優遇し消費税増税で低所得者に負担を押し付けている現実だけを見て、消費税は新自由主義と親和的だと考えているのだと思う。しかし、本来の新自由主義の考え方は神野さんの指摘の通りで、租税は累進的にならざるをえない。

消費税は逆進的だから悪税と一刀両断するのではなく、新自由主義と高福祉国家のどちらを望むかを決める必要があるし、それによってとるべき税制も違ってくる。もちろん新自由主義から高福祉国家へすぐに転換などできないのだから少しずつ変えていくしかないし、私も現時点での消費税増税は賛成しない。



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