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2021年10月19日

昆虫写真の楽しみ

 私はこれまで写真を撮って楽しむという趣味はなかった。若い頃は野鳥を見に日本中を旅行したり、登山もしたけれど、そんなときもカメラは持っていかなかったので、旅行とか登山の写真がほとんどない。私の父は小西六(小西六写真工業株式会社)に勤めていて写真好きだったし、母もその影響を受けてか高齢になってもよく写真を撮っていた。しかし、なぜか私は写真に興味を抱くことはなかった。記録写真を撮るために一眼レフのカメラも持ってはいたが、そう頻繁に使っていたわけではない。もちろんこれはフイルムカメラの時代の話だ。

 その後、デジカメが主流となり、コンパクトデジカメでもかつての一眼レフのマクロレンズなみの接写撮影が手軽にできるようになってからは、クモの写真なども少しは撮るようになった。それでも写真が趣味ということはなかった。

 そんな私が、クモだけではなく昆虫の写真も撮り始めたのは、それまで使っていたコンデジに不具合が生じ、オリンパスのTG-6という超接写撮影ができるコンデジを購入したことがきっかけだ。2020年の春からは、散歩にはいつもこれを持ち歩くようになった。私は子どもの頃から昆虫が好きだったが、野鳥やクモに興味を持つようになってからは昆虫からは遠のいていた。ところが、カメラを持っていると自然と小さな昆虫にも目が行く。不思議なことに、今までは散歩をしていてもほとんど目に留まらなかった数ミリの昆虫にも気づくようになった。しかも昆虫は種類も数もクモよりずっと多い。

 そんなわけで、昆虫を見つけるたびについつい写真を撮るようになった。初めて見る昆虫やとびきり色彩や斑紋の美しい種に出会うと、子どもの頃にかえったように胸が高鳴る。写真を撮ればその昆虫の種名が知りたくなり、手持ちの図鑑やネットで調べることになる。私の場合、クモや昆虫の写真を撮りたくてカメラを買ったというより、超接写のできるカメラを手にしたことで今まで以上に小さな生き物に興味がわき、写真を撮りたくなったという感じだ。

 ただし、なぜか芸術的な写真を撮りたいという気持ちが全く起きない。というかそういう欲がない。つまり、あくまでも記録写真だ。クモの場合は必要だと思う個体は採集して標本にするが、昆虫まで標本にする気は全くない。その代わり、写真を撮ることで身の回りにどんな昆虫がいるのかということに今まで以上に興味を持つようになった。

 もちろん昆虫の場合、写真だけでは同定できない種が沢山いるし、そもそもまだ記載さえされていないものもある。そういう昆虫は種名が分からなくても仕方ない。ただ、写真を撮ることによって、今まで知らなかった昆虫の世界が少しだけ垣間見えるようになった。生態をじっくりと観察するというわけではないが、カメラ一つで毎日の散歩がぐっと楽しくなった。

 たまにすれ違う人が、植物やら手すりやらに向かってカメラを構えている私を不思議そうに眺めていることがある。確かに、遠くから見たら何をしているのか分からないだろうし、虫の写真を撮っていることが分かっても、虫などに全く興味がない人にとっては変人にしか見えないのだろう。でも、趣味なんてそんなものだ。

 北海道の私の住む地は紅葉も終わり、虫たちの姿もぐっと減ってきた。もう少ししたら雪が積もり、しばらくは虫見散歩、クモ見散歩もできなくなる。冬の間はまたクモの標本画でも描こうと思う。


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Posted by 松田まゆみ at 21:11│Comments(4)昆虫雑記帳
この記事へのコメント
クモの標本画...楽しみに待っています。(^^)
Posted by 北の旅烏北の旅烏 at 2021年10月20日 08:23
旅烏さん、こんにちは。

クモの標本画は、今年になってから描き始めたのです。色鉛筆でお遊び感覚で。ですので全くの素人です。夏の間は何かと忙しくて休んでいたのですが、秋になってまた再開しようかと。ツイッターには時々アップしていたのですが、ブログにアップは考えていませんでした。さて、どうしましょう・・・。困りました(笑)。
Posted by 松田まゆみ松田まゆみ at 2021年10月20日 13:58
おはようございます。
昆虫や小さな生き物は動きが素早いことも多くブレボケしやすい被写体なので、ピントのぴしっと合った写真が撮れると嬉しく、楽しくなりますね!

私の経験なのですが、小さな声で「写真撮るだけだから大丈夫だよ」「かわいいね」「きれいだね」と話しかけながら、“お友達だよオーラ”を発しつつ近づくと、逃げずに撮影させてくれることが多いです。
(これも他者から見たら不思議かもですが)

トンボ、蝶々、てんとう虫、蜘蛛、蛙、ヤモリ、蟹などなど……10㎝くらいまでスマホを近づけて 表情や仕草を見ながら撮影すると、どの生物も本当にいとおしく感じられます。
Posted by 関佳子 at 2021年10月21日 07:04
関佳子さん、コメントありがとうございます。

そうですね。じっとしている昆虫の場合はまだ撮りやすいのですが、動き回ってピンボケ写真しか撮れないこともよくあります。それから、あまり近づきすぎずに撮った方がピントの深度が深くなるので、その点も気を付けるようになりました。

始めて見る昆虫などでドキドキしながら、カメラを近づけた途端に飛び去ってしまったことは数知れず。焦って近づいて驚かしているのかもしれませんね。

クモや昆虫に限らず、自然の中で逞しく生きている生き物たちは、みないとおしく感じます。それに比べ、人間の欲とは恐ろしい・・・とついつい考えてしまいます。
Posted by 松田まゆみ松田まゆみ at 2021年10月21日 11:36
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