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鬼蜘蛛の網の片隅から › 植物 › うつむくオダマキ

2007年06月22日

うつむくオダマキ

うつむくオダマキ
 北海道の山野ではオダマキの花が咲く季節になりました。シックな色合いのオオヤマオダマキ(写真)、青紫と白のコントラストが美しいミヤマオダマキ。オダマキは私の好きな花のひとつです。

 このオダマキの花を見ていつも思うのですが、この花はなぜこんなにうつむいて咲くのでしょうか? 写真を撮ろうと思っても、どうしても横顔になってしまいます。

 オダマキの花弁の後部は袋状に細長く突き出して、先端は内側にくるりと曲がっています。この部分を距(きょ)というのですが、そのユニークな花の形がまた趣があります。

 この距というのは蜜を溜めるところなのです。だから、下を向いて咲くオダマキは、距の先端を曲げることで、蜜をうまく溜めることができるのでしょう。

 庭のオダマキの花をみていると、舌の長いエゾトラマルハナバチがやってきて、もぞもぞと花びらに頭を突っ込み、距の中に長い舌を差し込む様子が観察できます。うつむいて咲いていても、器用なマルハナバチにとって蜜を吸うのはなんでもありません。どうやらオダマキとエゾトラマルハナバチはよきパートナーのようです。

 距をもっている植物はほかにもいろいろあります。スミレ、エゾエンゴサク、ツリフネソウ、イカリソウ・・・ 

 そして、このような花を訪れる昆虫は、この距の先まで届くような長い舌や口吻を持っている種が多いのです。でも、舌が短い種類のマルハナバチは、距の先に舌が届かないので、外から距に穴をあけて蜜を盗んでしまうことがあります。これを盗蜜というのです。盗蜜されると植物は花粉を運んでもらえなくなります。

 庭のオダマキを見る限りでは、盗蜜されている様子はありません。うつむいて咲き、長い距をピンと上に向けていると、ハチがうまく止まれなくて盗蜜されにくいのでしょうか? そうであれば、うつむいて咲くことにもちゃんと意味があるのですね。


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Posted by 松田まゆみ at 16:37│Comments(2)植物
この記事へのコメント
初めまして~~~
千葉県に住むウン十代の自然大好き人間です。
北海道の自然は、本当の“大”自然。何時も憧れてはいますが・・・
余りにも遠くて、ほんの数回ほどしか旅をしたことがありません。

この、ページで、そんな大きな自然に触れられる事を知り感激です。
オオヤマオダマキという花、名前も初めて。。。写真もあるので嬉しいです。
自然はほって置いて欲しいのに、人間は身勝手なもので、
どうしても弄りまわしたくなる生き物のようです。
自然のままで、また来年、同じ場所に同じ花が咲いて欲しい・・・。
何もしないで、こんな事を行っている私も、かなり身勝手ですが。
Posted by ホタルカヅラ at 2007年06月24日 07:12
ホタルカヅラ様

 よく北海道は自然が豊かだといわれます。たしかに「緑」は多いのですが、その「緑」も牧草地や畑、植林地などが多くて、実は手付かずの自然はほとんどありません。山地も奥深くまで伐採が入っており、原生状態が残されているのは高山帯や点々と残された湿地など、ごく限られています。

 これからは、今ある自然をそのまま守るだけではなく、少しずつかつての森林や河川をとりもどす努力をしていかなければいけないのかも知れませんね。それも、お金をかけるのではなく、できる限り自然の力を利用して。絶滅の危機に瀕してしまった生き物たちの生活場所を増やしていくことが大切かな、と思っています。
Posted by 松田まゆみ at 2007年06月24日 21:06
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