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2007年10月18日
ナキウサギの棲める条件
前回の記事で紹介した「ファウラ」のナキウサギ特集号には、ナキウサギは「涼しくないと生きられない」ということが書かれています。では、生存の条件となる「涼しさ」というのはどの程度なのでしょうか?
ナキウサギは高山の岩場や、夏でも冷たい空気が吹き出してくる風穴でも平気なのですから、寒いところを好むのは確かです。なにしろキタナキウサギ(エゾナキウサギはキタナキウサギの亜種)はシベリアに広く分布していて、北海道は分布の南限にあたるのです。
私は以前、ナキウサギは北海道の中でも寒冷な山岳帯にしか棲んでいないと思っていました。そして標高800メートルほどのところにある然別湖一帯の生息地は、低いところにある生息地として貴重だと思っていたのです。でも、実際には然別湖よりもっと標高の低いところにも生息しているのです。
ここ数年来、大規模林道の建設予定地やラリー選手権のコースなど、低山のナキウサギ生息地の調査をしています。すると、標高のそれほど高くないところにも、岩塊地が点々とあり、ナキウサギが生息していることがわかってきました。そして生息地の「涼しさの条件」に疑問を持ちはじめたのです。標高が低くても、風穴現象が見られなくても、生息に適した岩塊地があればナキウサギは棲むことができます。日高の幌満(標高50メートル)の生息地も風穴現象は見られません。
ということは、現在の北海道の気候であれば、岩塊地があれば平地でも生息できるといえそうです。もっとも平地には岩塊地がないので、ナキウサギは棲みようがありません。
高山に生息する動植物の多くは、「寒くなければ生きられない」というわけではありません。高山植物を平地でも栽培できるように、温度に対しては適応力にある程度の幅があるのが普通です。高山植物が高山にしか分布できないのは、低山では他の植物と競合してしまうために競合相手の少ない高山でしか生きていけないという側面があります。
「涼しい環境が好き」「寒さに耐性がある」ということと「涼しくなければ生きられない」ということは意味が異なります。エゾナキウサギは確かに「涼しいところが好き」で「寒さに耐性がある」のですが、それでは「どのくらいの涼しさが必要なのか」「どのくらいの暑さになると生息できなくなるのか」というと、北海道のナキウサギの分布からでは結局のところわからないということになります。
ナキウサギは高山の岩場や、夏でも冷たい空気が吹き出してくる風穴でも平気なのですから、寒いところを好むのは確かです。なにしろキタナキウサギ(エゾナキウサギはキタナキウサギの亜種)はシベリアに広く分布していて、北海道は分布の南限にあたるのです。
私は以前、ナキウサギは北海道の中でも寒冷な山岳帯にしか棲んでいないと思っていました。そして標高800メートルほどのところにある然別湖一帯の生息地は、低いところにある生息地として貴重だと思っていたのです。でも、実際には然別湖よりもっと標高の低いところにも生息しているのです。
ここ数年来、大規模林道の建設予定地やラリー選手権のコースなど、低山のナキウサギ生息地の調査をしています。すると、標高のそれほど高くないところにも、岩塊地が点々とあり、ナキウサギが生息していることがわかってきました。そして生息地の「涼しさの条件」に疑問を持ちはじめたのです。標高が低くても、風穴現象が見られなくても、生息に適した岩塊地があればナキウサギは棲むことができます。日高の幌満(標高50メートル)の生息地も風穴現象は見られません。
ということは、現在の北海道の気候であれば、岩塊地があれば平地でも生息できるといえそうです。もっとも平地には岩塊地がないので、ナキウサギは棲みようがありません。
高山に生息する動植物の多くは、「寒くなければ生きられない」というわけではありません。高山植物を平地でも栽培できるように、温度に対しては適応力にある程度の幅があるのが普通です。高山植物が高山にしか分布できないのは、低山では他の植物と競合してしまうために競合相手の少ない高山でしか生きていけないという側面があります。
「涼しい環境が好き」「寒さに耐性がある」ということと「涼しくなければ生きられない」ということは意味が異なります。エゾナキウサギは確かに「涼しいところが好き」で「寒さに耐性がある」のですが、それでは「どのくらいの涼しさが必要なのか」「どのくらいの暑さになると生息できなくなるのか」というと、北海道のナキウサギの分布からでは結局のところわからないということになります。
Posted by 松田まゆみ at 14:49│Comments(0)
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