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2008年03月07日

事業譲渡と文芸社

 新風舎の保全管理人弁護士が事業譲渡を模索すると発表したとき、もしかしたら文芸社が候補として挙がることもなきにしもあらずとは思いました。ただ、そこまでやるのかとも・・・。ほかの出版社は事業譲渡を固辞したようですからね。まあ、それが普通の感覚ではないでしょうか。

 文芸社がこれから著者の方たちにどのような条件を出すのかわかりませんが、碧天舎の倒産時に行った支援策が参考になりそうです。尾崎幸一氏の読売ウィークリーの記事によると、出版直前まで準備が進んでいたケースについては、300部を35万円程度で出版したとのこと。DTPデータの有無や部数、流通の仕方によって費用は変わってくるでしょうから、この金額はあくまでも参考です。

 文芸社の流通出版(印税タイプ)の場合、販売や宣伝にかかる費用は文芸社負担ですが、譲渡された本の場合はどうするつもりなのでしょうか。利益はとらないといっていますが、まさか文芸社が宣伝や販売の費用を持ち出しするわけではないでしょうね。とすると、制作・販売・宣伝の実費を請求するのでしょうか? それとも請負契約である売上金還元タイプを提案して実費を請求するのでしょうか?

 未刊の著者の方たちはそのあたりのことを確認し、制作費の内訳をきちんと出してもらうべきでしょう。何しろ「利益はとらない」としているのですから。それから、これまでの販売実績なども聞いたほうがよいでしょうね。新風舎のデータをつかった本が、棚借り方式や注文だけで売れるとも思えませんし。

 それにしても、驚くのは弁護士の感覚です。新風舎の共同出版という悪質商法が取り沙汰されていたのですから、事業譲渡を考える場合も文芸社が同様の商法を行っていることくらいは調べるのが当然でしょう。文芸社の情報を調べてまったく問題がないと判断したのなら頭を抱えてしまいますし、調べなかったのであれば理解に苦しみます。被害者組織からの質問書にすら答えられない出版社をまったく問題ないと判断したのでしょうか?

 弁護士は文芸社が役務(サービスの内容及び費用)を提供するとしています。文芸社が売上金還元タイプの契約を提示するのであれば役務の提供でよいのですが、印税タイプであればサービスの契約ではありませんから適切な表現ではないでしょう。新風舎の本については売上金還元タイプの契約を提示することを確認して「役務の提供」といっているならいいのですが。

 弁護士は譲渡先を決めるにあたっては、出版社の代金の保全措置と流通の条件にこだわったようですがそこにこだわるべきだったかも疑問です。流通にこだわるなら流通を謳った自費出版社でもよかったのではないでしょうか。またすべての費用を支払っている人でも追加費用が出てしまうなら、事業譲渡の意味もあまりない気がします。

 新風舎商法を考える会は沈黙しているようですね。役割は終ったからいいのでしょうか。


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Posted by 松田まゆみ at 17:34│Comments(3)共同出版・自費出版
この記事へのコメント
松田先生。松田先生は、ご立派な凄い偉いお方様です。自分が被害にあったわけではないのに、何の利益にもならないのに、世の不正を批判しておられます。正義感を持った人は、世に多くいますが、それを自分の時間をさいて、手間をかけて行動している人は、ほとんどいません。しかも、自分の名前を明かしていますから、文芸社に嫌がらせをさせられたりする危険も承知の上で。このような正義感のあるお方が日本にいると思うと、日本もまだまだ捨てたものではないと頼もしくなります。
文芸社は、やたら、違法でないことを、たてにして、自分らを正当化していますが、松田先生も、前に書いておられますが、宣伝文句と実体が全く違って著者をだましている文芸社の実体を強調すれば、裁判官の心証が動いて、被害者は裁判で勝つ可能性は十分あると思います。
松田先生は、日本になくてはならないお方様ですので、あまり精神的ストレスがかからないよう、ご無理をなさらないでください。今までの先生のご苦労だけで、もう十分すぎるほどです。
Posted by ..._〆(;ωq`) at 2008年03月07日 20:35
..._〆(;ωq`) 様

コメントありがとうございます。私はただのオバサンですから、先生というのはご遠慮ください。

また、私は「正義感」なるものによって行動しているわけではありません。このことに関しては以前、以下の記事のコメントにも書いていますが、「正義」とは絶対的なものではないと考えていますし、時代や社会背景によっても変わってくるものだと思っているからです。
http://onigumo.kitaguni.tv/e429464.html

ですから、事実に基づいて「おかしい」と思ったことを発言しているだけで、特別なことはしていません。あなたも文芸社に疑問をお持ちなのであれば、実名でお書きになったらいかがでしょうか?

「無理をしないように」とのご忠告はありがたく受け取っておきます。「嫌がらせもあるだろうし、無理をすべきじゃないから、もう止めなさい」という意味ではないですよね?
Posted by 松田まゆみ at 2008年03月08日 06:57
オルレアンの騎士、松田まゆみ様
私は松田様の靴の紐を解く価値ほどもない者なので、「様」は、つけないで下さい。私は文芸社の回し者ではありません。文芸社や共同出版問題に関して発言をひかえてほしい、という意味では全くありません。むしろ悪の巨頭、文芸社に戦いを挑んでいる松田様の御活躍に期待もしているくらいです。松田様も、乗りかかった船で、言いたい事を言わないでいるのは、もっとストレスがかかるでしょうから自由に御発言して下さい。ただ、私でしたら、とても文芸社に実名で批判する勇気は持てないので、それをしている松田様を凄い人だと尊敬しているのです。文芸社は渡辺勝利氏に一億ふっかけたほどのヤクザ集団です。ただ松田様も、貴重な自分の時間をさいて、共同出版問題に、とりくんでおられるのは疲れないかな、と単純に思っているだけです。「お節介氏」の、いちゃもんつけには、そうとう疲れ、不快だったただろうと思います。やつらは自分達を批判する人間には一億ふっかけて威嚇してきますから、こわくて実名を出す勇気は持てません。実名を出せない失礼をお許し下さい。
今日は仕事なので、ネットカフェから書いていますので、IPアドレスは、違いますが、同じ者です。松田様が選挙で立候補したら絶対、当選すると思います。政治家なんて、所詮、自分の保身しか考えていませんから。松田様が立候補して議員になったら日本は絶対、改革されて、よくなると思います。松田様は、巴御前のような、とてつもない勇気と度胸を持っておられますから。
Posted by ..._〆(;ωq`) at 2008年03月08日 14:48
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