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2008年06月24日

地震とダム

 岩手・宮城内陸地震では、地震の恐ろしさをまざまざと見せつけられました。とりわけ荒砥沢ダムの上流での大規模な地滑りは、まるで山の中に突如グランドキャニオンが現れたかのよう。

 この地震のニュースを聞いていて、非常に気になったことがあります。

 今回の崩壊は、荒砥沢ダムのすぐ上で発生しました。崩壊地からは大量の土砂がダム湖に流れこんだでしょう。そして、これからもどんどん流れこんでいくはずです。ダムがなければ自然に海にまで運ばれていく土砂が、ダムに止められてしまうのです。

 荒砥沢ダムは洪水調節・灌漑・発電を目的とした多目的ダムですが、土砂の堆積によって貯水容量が減ってしまったら意味がなくなります。大量の土砂が堆積した場合、ダム堤体の強度に問題はないのでしょうか? ダムに溜まった大量の土砂をこれからどうするのでしょうか?

 また、地震によって堤体に亀裂が入ったり変形したダムがあったとのことです。強度的に本当に大丈夫なのでしょうか?

 もし、ダムの直下に断層があったなら、ダムが決壊するという危険もあったでしょう。としたら、下流に大きな被害をもたらすことになります。

 それだけではありません。荒砥沢ダムは満水状態であったために、ダムの上流では火山灰土が水をたっぷり含んでいたそうです。そこに地震がきて揺すられたために大規模な地滑りを引き起こしたとの見解があります。

 もしダムが地滑りを誘引したのなら・・・あるいはダムによって地滑りの規模が大きくなったのなら・・・。大量の土砂の搬出に追われるのであれば? 万一決壊によって下流域に大きな被害をもたらしたとしたら?

 今回の地滑りは、地震によるダムの危険性や問題を投げかけました。アメリカではダムは必要なかったことを認め、またダムが河川の生態系を破壊してきたことを反省して、ダムの撤去をはじめています。

 地震大国の日本こそ、真剣にダム問題を考えていかなければならないのではないでしょうか?


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Posted by 松田まゆみ at 13:41│Comments(2)河川・ダム
この記事へのコメント
ダムといえば少し前に話題になった、ダム完成→地下水位の上昇でダム湖畔の集落崩落の危機、なんて事もありましたね。
地下水位の変動による大規模でしかも予測の難しい自然改変は、大型ダムへの批判として今後有効でしょう。

気になったのですが。こういったテーマでよく例えられるアメリカのダム廃止ですが、これは日本で言う砂防堰堤規模のものがほとんどで、砂防堰堤なら日本でもアメリカのそれと同じくらい撤去されているという話もあります。すみません、聞いた話でソースはありませんが。
Posted by 鯨のスレからきました at 2008年06月26日 00:00
アメリカのダム撤去が小規模なものから行われていることは存じています。ただ、最近では中規模なダムでも行われているようです。

日本で砂防堰堤がアメリカと同じくら撤去されているという情報は知りません。スリットを入れたり魚道をつけるなどして手を加えているものはありますが。

日本の問題点は欧米のように反省をしないことと、問題点を指摘されても新たにダムを造り続けていることです。
Posted by 松田まゆみ at 2008年06月26日 14:41
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