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鬼蜘蛛おばさんの疑問箱 › 生態系 › 生態系がサービスをするのか?

2009年02月02日

生態系がサービスをするのか?

 「生態系サービス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 私がこの言葉をはじめて耳にしたのは、昨年6月に札幌で開催された国際シンポジウム「救おう!森のいのち 考えよう!森の未来」での、中静透氏(東北大学生命科学研究科教授)の講演でした。

 中静氏は、例えば里山が花粉を運ぶ昆虫や農作物の天敵となる昆虫の生息地になっているという例などをとりあげ、それを生態系サービスと称していました。その時は、なんともしっくりこない表現だなあと思ったのです。

 その後、北海道新聞の魚眼図というコラムで、柳川久氏(帯広畜産大学准教授)が生態系サービスのことを書いていました。どうやらこの言葉は最近よく使われるようになった、半ば流行語のようなもののようです。柳川氏の説明では、「われわれをとりまく多種多様な生態系から人間が享受することのできる、さまざまなサービスのことを示す」ということです。自然界の生物からもたらされる経済的なものから、癒しなどの精神的なもの、あるいは災害の発生を抑えるような自然の機能のことです。

 これを読んで、「なーんだ、要するに自然の持つ公益的機能のことじゃん!」と思ったのですが、これに生態系サービスという言葉を当てはめるのは私にはどうもピンときません。なんだか、自然が人間のために奉仕しているかのように感じられるのですもの…。生態系の持つ公益的機能というほうがはるかにしっくりときます。

 人類が狩猟採集生活をしていたころ(今でもそのような民族はいますが)、人は生態系にすっぽりはまりこんだ生活をしていたのです。自然からの恵みは生活の糧そのものでした。今でも漁業などはそれに近いですね。自然のサイクルの中で人は生きているのです。きれいな空気や水なども…。そして、自然はなにも人間のためにサービスをしているわけではありません。あるがままにそうなっているだけです。

 機能(物の働き、作用)をサービス(奉仕)だと解釈して使うことに違和感を覚えざるを得ません。


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Posted by 松田まゆみ at 11:35│Comments(6)生態系
この記事へのコメント
松田さん、こんばんは これは確かに生態系の持つ公益的機能ですよね.
悪気はない癒しを含めたまとめかたなのかもしれませんが 
自然が人間のためにサービスをしている .. なんて
言い方が一般化され
いかにも人間が輪の中心にいる発想に進んでいくと 
サービスをするものはいい
しない部分は切り捨てていい .. 的な方向に捻じ曲がるおかしな人が
でてきそうですから私も、しっくりこないほうです-_-;.
松田さんの仰るとおり、人も自然も あるがままの形に立ち返っていかなくては いけませんよね. 

ところで、先日の記事の話を知人にしましたところ、
ハエトリグモの動画があると聞きまして
みましたッ!!  pc画面のカーソルをおいかけるしぐさ!
カップのミラーに映った自分の姿に何度も体当たりする様子 .. を見て
クモがこんなことするのっ!! と、感心しました.
蜘蛛の心情の深さを垣間見た気がします.  おかげさまで
可愛らしいと思える入り口くらいにたてました^^.
Posted by こるとれーんtone at 2009年02月02日 19:08
こるとれーんtone様

使っている方はあまり意識をしていないのかも知れませんが、流行のようなものには左右されず、できる限り適切な表現を使ったほうがいいように思います。

ハエトリグモはとても視覚の発達したクモで、雄は雌に求愛ダンスをするのですが、その仕草がとても可愛いのです。そんなクモの一面を知ってもらえると嬉しいです。
Posted by 松田まゆみ at 2009年02月03日 10:14
少々気に掛かりましたので,突然ですが失礼します。
生態系サービスとするのは,分析のためと,世界での共通の理解を作るためだと思います。既に10年以上は使われている語ですので,流行とはいい難いかと・・・
どちらかというと学術用語と捉えた方がいいような気もします。

(公益的機能としたところで,その「公益」は基本的に人間側から見たものではないでしょうか)

勿論生態系サービスを分類する人達も,少々乱暴だという意識はあるのだそうです。とくに文化的サービスについては。
現在精査中,と思ったほうがいいのではないでしょうか。日本での里山里海サブグローバルアセスメントも実行中ですので,その結果が出ると変わるかもしれません。

乱文失礼致しました。
Posted by 野村 at 2009年02月14日 16:52
野村様

コメントありがとうございました。

「生態学事典」(共立出版)の「生態系機能と生物多様性」という項目で「生態系サービス」について触れられています。それによると、「生態系のもつ機能を、人間が資源として生態系から引き出して利用・享受するとき、その価値の総体を生態系サービス(ecosystem goods and saevice)とよぶ」とされています。

つまり、生態系サービスという言葉は英語から来ているわけですが、やはり人間が享受する生態系の機能のことを言っているのです。しかし「サービス」という言葉は生態系が意識的に人に奉仕しているという印象を与えてしまいます。ですから私は英語をそのまま日本語に取り入れてしまったことが適切ではないと思うのです。「公益的機能」という表現のほうが適切ではないでしょうか?

ところが、一度広まってしまった用語というのは多くの人が無意識に使うようになります。私はそこに不可解さや疑問を感じてしまうのです。
Posted by 松田まゆみ at 2009年02月15日 11:31
「生態系サービス」、なんとも私には使いにくい言葉遣いです。
恐らくこのような言葉遣いを始めたのは、米国人でしょう。
Fish and wildlife service、secret service、Forest Service 、Food and Nutrition Service 、Animal and Plant Health Inspection Serviceなどなど、行政機関の多くにサービスが付けられています。かれらはよほどサービス好きなようです。service man軍人がイラクへ行くのもサービスだと思っているのでしょう。
Fish and wildlife serviceを、わが国では魚類野生動物保護局と訳しています。魚類野生動物サービス局では意味不明ですから当然です。
野村さんは「生態系サービスとするのは,分析のためと,世界での共通の理解を作るためだと思います」とおっしゃいます。
これをみて、最近読んだ大槻久志著『金融化の災い』の一節が頭に浮かびました。
「サブプライム問題は、アメリカの金融がいかに腐りきっているかを全世界に示したものに他ならない。アメリカで始められ、盛んになったことはすべて進歩であり、日本も早く取り入れるべきだという論者はあとをたたない」。
それにしても、野村さんの書き込みは乱文ではないと思いますが、意味不明ですね。
Posted by クマゲラ at 2009年02月15日 20:43
クマゲラ様

軍人のことをsarvice manというのは知りませんでした。サービスという言葉にはかなりアメリカ人の意識が反映されているようですね。
Posted by 松田まゆみ at 2009年02月16日 09:08
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