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2009年07月12日
法面工事への疑問
6月はじめのことです。十勝自然保護協会に、道々鹿追・糠平線の法面の改修工事をしたいとのことで、管理者である帯広土木現業所鹿追出張所(北海道の出先機関)の職員から説明がありました。扇が原展望台の向かいの法面が崩れてきているので、崩壊を防止するために工事をしたいとのことです。帯広土木現業所は、国立公園での事業については十勝自然保護協会に説明するということになっているのです。
法面が崩落してきて危険な状態になっているということであれば、工事は止むを得ませんが、問題は方法です。私達は崩落を防止するための植生回復方法などについて提案し、一度に全面を工事するのではなく部分的に施工して様子をみながら対応するように求めました。
その後のことです。現場を通りかかって唖然としました。工事をするという法面は部分的に土がむき出しになって崩れかけているとばかり思っていたのですが、一部には樹木も茂り、見た目には青々として安定した状態です。ごく一部に凍上によると思われる裸地がありましたが、落石が生じるようなところは見当たりません。当面はこのままで何ら問題ないとしか思えないのです。
そういえば、説明のときには法面の図面だけが示されて、写真は見せられませんでした。説明の前に現場を見ていたなら、私達の対応も違ったでしょう。せっかく樹木も入りこんで安定してきているのですから、このままの状態でササなどが定着するような工夫をすれば十分に思えます。この斜面に全面的に手を加えたら、かえって自然破壊になるのではないでしょうか? なんだか、工事のための工事に思えてきました。
このあたりの道路では近年あちこちに落石防止柵を設置しているのですが、落石などありそうにないところにまで柵を設置しているのです。写真は落石防止柵の工事をしているところですが、この斜面のどこから石が落ちてくるというのでしょうか? どちらの工事も過剰な整備としか思えません。
法面が崩落してきて危険な状態になっているということであれば、工事は止むを得ませんが、問題は方法です。私達は崩落を防止するための植生回復方法などについて提案し、一度に全面を工事するのではなく部分的に施工して様子をみながら対応するように求めました。
その後のことです。現場を通りかかって唖然としました。工事をするという法面は部分的に土がむき出しになって崩れかけているとばかり思っていたのですが、一部には樹木も茂り、見た目には青々として安定した状態です。ごく一部に凍上によると思われる裸地がありましたが、落石が生じるようなところは見当たりません。当面はこのままで何ら問題ないとしか思えないのです。
そういえば、説明のときには法面の図面だけが示されて、写真は見せられませんでした。説明の前に現場を見ていたなら、私達の対応も違ったでしょう。せっかく樹木も入りこんで安定してきているのですから、このままの状態でササなどが定着するような工夫をすれば十分に思えます。この斜面に全面的に手を加えたら、かえって自然破壊になるのではないでしょうか? なんだか、工事のための工事に思えてきました。
このあたりの道路では近年あちこちに落石防止柵を設置しているのですが、落石などありそうにないところにまで柵を設置しているのです。写真は落石防止柵の工事をしているところですが、この斜面のどこから石が落ちてくるというのでしょうか? どちらの工事も過剰な整備としか思えません。
タグ :法面
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Posted by 松田まゆみ at 13:23│Comments(4)
│自然保護
この記事へのコメント
松田様
はじめまして。
たまたま検索していてこのブログを通りがかった者です。
私は毎日の様にこの道を走っています。
数年前より道路脇の側溝、落石防止柵、そして舗装工事など、大がかりな工事を目にしていました。
落石に関しては、柵のかかっていない場所(展望台より上)で小規模なものをよくみつけます。
気付くたびに道脇によせたりしています。
しかしながら、柵のある山の下の方などはほとんど落石がありません。
エゾシカが邪魔そうに超えているのをよく目にします。
扇が原展望台の反対側の法面も、小さな石は頻繁に落ちているので、安全の為には何らかの対策をしてくれてもいいと思いますが、松田様の言われているような工事のための工事になりかねませんね。
駒止湖を然別湖側に進む直線にも工事関係と思われる看板があります。
これから何か手を加えられるのでは?と心配です。
自然と人についての勉強になります。
これからもブログを読ませて頂きます。
自然と人の関係が生み出す様々な問題提起。
ありがとうございます。
はじめまして。
たまたま検索していてこのブログを通りがかった者です。
私は毎日の様にこの道を走っています。
数年前より道路脇の側溝、落石防止柵、そして舗装工事など、大がかりな工事を目にしていました。
落石に関しては、柵のかかっていない場所(展望台より上)で小規模なものをよくみつけます。
気付くたびに道脇によせたりしています。
しかしながら、柵のある山の下の方などはほとんど落石がありません。
エゾシカが邪魔そうに超えているのをよく目にします。
扇が原展望台の反対側の法面も、小さな石は頻繁に落ちているので、安全の為には何らかの対策をしてくれてもいいと思いますが、松田様の言われているような工事のための工事になりかねませんね。
駒止湖を然別湖側に進む直線にも工事関係と思われる看板があります。
これから何か手を加えられるのでは?と心配です。
自然と人についての勉強になります。
これからもブログを読ませて頂きます。
自然と人の関係が生み出す様々な問題提起。
ありがとうございます。
Posted by 然別湖好き at 2009年07月13日 01:12
然別湖好き 様
はじめまして。
数年前からずいぶんいろいろな工事をしていますよね。もちろん必要な工事もあると思いますが、疑問に思う工事も少なくありません。
法面工事に関していえば、扇が原の展望台より上の方に、小規模ですが裸地化しているところがあります。そちらの対策の方を先にすべきではないかと思いました。ただし、できるだけ大掛かりな工事は避け、ササや樹木などを定着させるような試みをするのが良いのではないかと思います。
扇が原の法面は、落石があるのなら現状に一工夫すれば済むのではと感じます。
いずれにしても、安易な大規模工事はしないようにしてほしいですね。
はじめまして。
数年前からずいぶんいろいろな工事をしていますよね。もちろん必要な工事もあると思いますが、疑問に思う工事も少なくありません。
法面工事に関していえば、扇が原の展望台より上の方に、小規模ですが裸地化しているところがあります。そちらの対策の方を先にすべきではないかと思いました。ただし、できるだけ大掛かりな工事は避け、ササや樹木などを定着させるような試みをするのが良いのではないかと思います。
扇が原の法面は、落石があるのなら現状に一工夫すれば済むのではと感じます。
いずれにしても、安易な大規模工事はしないようにしてほしいですね。
Posted by 松田まゆみ at 2009年07月13日 09:25
上の写真はてっきり施工後の写真かと思ってしまいました。
それだけ工事が必要なのか疑問に感じてしまう現場ですね。
下の現場も落石も横風も影響なさそうな場所にしか見えません。
役所や施工業者の都合で工事を作っているとしか思えませんね。
そうでもしなければ仕事がないのでしょうか?
それより歩道の幅だとか、安全対策にかける工事にかけても良いと思うのですけどね。
それだけ工事が必要なのか疑問に感じてしまう現場ですね。
下の現場も落石も横風も影響なさそうな場所にしか見えません。
役所や施工業者の都合で工事を作っているとしか思えませんね。
そうでもしなければ仕事がないのでしょうか?
それより歩道の幅だとか、安全対策にかける工事にかけても良いと思うのですけどね。
Posted by BEM at 2009年07月13日 23:46
BEM様
北海道の場合、どうしても冬に土が凍上するために、春先に落石などが生じるのです。確かに補修が必要なほど、法面が崩れているところもあるのですが、上の写真の現場は大きな工事は不要としか思えません。下の写真の現場も、この場所では柵は不要としか思えないのです。いずれにしても、過剰な工事は謹んでほしいと思います。
北海道の場合、どうしても冬に土が凍上するために、春先に落石などが生じるのです。確かに補修が必要なほど、法面が崩れているところもあるのですが、上の写真の現場は大きな工事は不要としか思えません。下の写真の現場も、この場所では柵は不要としか思えないのです。いずれにしても、過剰な工事は謹んでほしいと思います。
Posted by 松田まゆみ at 2009年07月14日 11:35
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