さぽろぐ

  日記・一般  |  その他北海道

新規登録ログインヘルプ


鬼蜘蛛おばさんの疑問箱 › 森林問題 › 植樹とカーボンオフセット

2009年07月23日

植樹とカーボンオフセット

 地球温暖化の防止、カーボンオフセットなどを謳っての植樹活動がブームのようになっていますね。行政や企業、生協なども「植樹」を呼びかけ、市民参加の植樹ツアーなどの催しもあるようですが、果たして二酸化炭素の吸収源として有効な植樹活動がなされているのでしょうか?

 昨日の記事「樹木の炭素固定量」にも書きましたが、樹木が多くの炭素を固定するためには太い木に育てなければなりません。現在北海道で行なわれている植樹活動では、皆伐地のような樹木のないところに圃場で育てられたトドマツやアカエゾマツなどを植えることが多いようです。そのような植樹での問題点は、植えたあとの手入れです。

 苗木を植えたあと放置してしまえば下草に覆われてしまいますから、下草刈りをしなければなりません。植えた苗のなかには枯れてしまうものもありますから、補植も必要でしょう。ある程度生長して混み合ってきたら、間伐によって間引きをしなければ太い木には育ちません。材として利用するのであれば、枝打ちも必要です。畑の作物も手入れが必要なように、植林したらきちんと手入れをしなければ大きな木は育たないのです。ところが、実際には手入れもされずに放置されている植林地もあります。

 植林しただけで間伐せずに放置され、モヤシのようになった人工林がいたるところにありますが、そのような状態になってしまったら個々の木は太ることができず、共倒れになることもあります。このようにしてしまったのではカーボンオフセットの意味がほとんどありません。苗木の炭素固定量はごくごく僅かでしかなく、多くの炭素を固定する森林になるまで100年とか200年はかかるのです。植樹によるカーボンオフセットというのは気の長い話であり、一朝一夕ということにはなりません。樹を植えさえすれば二酸化炭素の削減になると思うのは幻想でしょう。

 また、「100年遅れた日本の林業」にも書きましたが、私は単一樹種による造林をやめ、自然林に近い森林での木材生産を目指していくべきだと考えています。そういう視点からも、現在あちこちで行なわれている植樹は、見直していく必要があるのではないでしょうか。


あなたにおススメの記事


同じカテゴリー(森林問題)の記事画像
大雪山国立公園の石狩川源流部で驚くべき過剰伐採
石狩川源流部違法伐採合同調査での林野庁のおかしな説明
石狩川源流部盗伐調査(その2)消えた「無印良品」
石狩川源流部盗伐調査(その1)見つけた盗伐の証拠
林野庁は違法伐採を認めたけれど
奥日光の巨木の森
同じカテゴリー(森林問題)の記事
 石狩川源流部の国有林違法伐採プレスリリースの考察 (2011-10-17 11:35)
 大雪山国立公園の石狩川源流部で驚くべき過剰伐採 (2011-08-24 15:03)
 越境伐採を隠ぺいした北海道森林管理局 (2010-11-14 19:36)
 石狩川源流部違法伐採合同調査での林野庁のおかしな説明 (2010-10-18 21:38)
 名前ばかりの「受光伐」 (2010-09-26 19:53)
 森林生態系保護地域等設定委員会の意味不明の議事録 (2010-09-25 15:53)

Posted by 松田まゆみ at 14:17│Comments(4)森林問題
この記事へのコメント
私も植林については色々疑問に思っておりました。
 光合成の効果も生態系の効果も保水効果も・・およそ、森林の機能は全てにおいて天然林のほうが人工林に遥かに勝っていますから、森林は天然林に近い状態で置くべきですね。
その天然林を間伐する・・・と言うイメージで木材を切って行けばいいのでしょうか?
 前の記事のコメントに書いたように、今流行りのカーボンオフセットには疑問を持っている私は、カーボンオフセットを実行するには、先ず経済の縮小をしなければ無理だと思います。現在より遥かに木材の消費量を減らさなければ、カーボンオフセットは無理でしょう。

方法論は兎も角、植樹の見直しには賛成です。
Posted by 雑草Z at 2009年07月25日 23:15
植林は嫌いです。出来上がった風景が気に入りません。単一の樹木を単一の年齢で、直線的に植樹された風景は、面白くもおかしくも何ともありません。
私の住む根室台地には、平地には針葉樹はほとんどありませんでしたが、今は針葉樹だらけです。まっすぐ伸びて扱いやすいのでしょう。根室台地はカラマツだらけになって、どこのだれが言い出したか、北海道自然遺産にまでなってしまった。
カラマツの森には、鳥がいません。虫がいないからです。虫がいないのは、落葉した葉が覆って地面が腐食しないからです。

手っ取り早く真っすぐ伸びるカラマツを見ていると、まるで今の教育現場のようです。個性がなく良い子ばかりで仲間を潤さず、成長しても役に立たない。
Posted by そりゃないよ獣医さん at 2009年07月26日 00:03
植林よりも、今ある林を壊さないことが大切です。ちょっとした道路を創るために、あるいは住宅造成のために、今もどこかで森が切り拓かれています。

植林する人や行政はとてもいい人たちばかりです。地球環境について、何とかしなければと思っているようですが、基礎知識が俗っぽいプロパガンダの域を出ていません。
植林したことで、自らを贖罪することになっているように思えます。
Posted by そりゃないよ獣医さん at 2009年07月26日 00:09
雑草Z様

単一樹種の人工林は、台風などの風害にも弱く、害獣や害虫による被害も受けやすいのです。一斉に育てて皆伐というやり方も、生態系を大きく変えてしまいます。

私は、国立講演や国定公園、あるいは奥山の森林は極力手を加えずに保全すべきだと思います。過剰な伐採によって減少してしまった蓄積量を増やし、かつての原生林に近い森林を取り戻すべきでしょう。

木材生産は里山を利用して行い、その場合もできるだけ自然林に近づけた広葉樹と針葉樹の混交林をつくり(これは北海道の場合ですが)、択伐によって木材生産をしていくという方法をとるのがベストではないかと考えています。林業用の機械も森林を傷めないようになるべく小型のものを導入すべきでしょう。

もちろん、現在のような森林資源の無駄遣いを見直し、経済を縮小していかなければ、そう簡単にはカーボンオフセットということにはならないでしょうね。


獣医様

カラマツは北海道には自生していませんが、今や北海道はカラマツ増林地だらけになってしまいました。カラマツ林はおっしゃる通り、多くの生き物が棲めない森林です。生長が速いし、きちんと手入れをすれば良い材にはなるのですが、どこもかしこもカラマツというのには閉口します。防風林なども、本来そこに生育している樹種でつくればいいのですが、なかなかそういう発想ができないようですね。

最近では何かというと「植樹」ですが、カーボンオフセットというのなら、まずは今ある森林を壊さないことの方が重要でしょう。ところが行政はそこには目を瞑って市民を「植樹」にばかり誘導します。とりわけ行政関係者には森林の保全や植樹について、もっと基礎知識を身に付けてほしいと思います。
Posted by 松田まゆみ at 2009年07月26日 10:23
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
植樹とカーボンオフセット
    コメント(4)