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鬼蜘蛛の網の片隅から › 自然・文化 › 自然破壊のアウトドア施設

2009年07月26日

自然破壊のアウトドア施設

 24日は日高から勇払にかけての海岸、25日は石狩浜へ、イソコモリグモの調査ででかけました。調査前に衛星写真で海岸のチェックをしたのですが、日高の三石の海岸に何やら人工的な構造物があるのが気になりました。現場に行ってみてそれが三石海浜公園なるものであることがわかったのですが、私にとってはなんともゾッとする海岸風景でした。

 ここには道の駅や海水浴場、バンガロー、オートキャンプ場などの施設があるのですが、そこに自然の海岸風景はなく、砂浜と道路の間には芝が張られ、きっちりと管理された公園になっています。海水浴場は防波堤でぐるっと囲まれた中にあり、要するに人工海水浴場なのです。そして、海水浴場に隣接したふれあいビーチには、どこから持ってきたものやら、海の中に岩が積み上げられて不自然な光景になっています。(写真の奥が海水浴場で、手前がふれあいビーチ)何から何まで人工的な公園になっているのです。

自然破壊のアウトドア施設


 施設から砂浜に下りる通路の手摺は、砂に埋もれていました(写真)。海水浴場の防波堤で、ここには砂が堆積したのでしょうか。もともとあった海浜植物群落をはぎ取り、コンクリートと芝で固めて公園にしてしまったのです。石狩浜などの海水浴場とは対照的ですが、最近はこのように完全に人工的に整備してしまった海水浴場をときどき見かけます。しかし、海水浴とはそもそも自然の海岸で楽しむものだったのではないでしょうか? せっかくあった自然の浜を壊し、きれいな施設をつくり、なにもかも便利にしてしまったならアウトドアということにはならないでしょう。

自然破壊のアウトドア施設


 それに北海道で海水浴を楽しめるのはほんの1、2ヶ月だけで、シーズンオフはどこも閑散としています。たった1、2ヶ月のためにこのような整備が必要なのか? 芝刈や施設管理だけでもかなりの費用がかかるはずです。北海道を旅行していると、小さな自治体でも立派なキャンプ場や公共施設を持っているところがとても多いことに驚かされます。造ってはみたものの利用者が少なく、維持管理にばかりお金がかかるというのが実態でしょう。

 観光の目玉となる施設が欲しいという自治体の想いはわからないでもありませんが、人工的な施設を造ればいいというものではありません。自然を楽しんでもらいたいのならそこにある自然を大切にし、施設は最低限にしてほしいものです。海浜の動植物の生態系は、一度壊してしまったら元にはもどらないのですから。


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Posted by 松田まゆみ at 12:06│Comments(7)自然・文化
この記事へのコメント
 アウトドア施設は自然破壊の物ばかりですね。
自然との触れ合い広場とか称して、自然を破壊して作った施設が各地に溢れていますね。見る度に心が痛みます。

 

>観光の目玉となる施設が欲しいという自治体の想い

こういう施設は全国にあり過ぎて、これからは目玉にはなりませんね。
これらの施設も心ない人達がゼネコンに仕事をさせる事を目的として大げさにするから大きな自然破壊になるのでしょう。
 豊かな生態系のほうが感動するでしょう。
観光の目玉と言っても、これからは出来るだけ手つかずの自然のほうがみんなに感動を与える筈です。

>海浜の動植物の生態系は、一度壊してしまったら元にはもどらない

子供の頃、カニやイソギンチャク、小魚がうじゃうじゃいて感動した海岸を見せたくて、数年前子供を連れて行ったら、ほとんど生物を見つけられませんでした。・・・こんな愚行が日本中、世界中で行われています・・・早く、経済成長、経済優先・・と言う愚行をやめなければなりませんね。
Posted by 雑草Z at 2009年07月26日 21:36
雑草Z様

利用者が少なく維持管理費ばかりかかる施設は、そのうち閉鎖されるでしょうね。ほんとうは造る前に気付くべきなのですが・・・。自治体にとっては土建屋さんの仕事づくりという側面もあるのでしょう。

8年ほど前にサハリンに行ったのですが、サハリンの人達は週末になると海岸や川のほとりなど、何も施設のないところでキャンプを楽しんでいました。それが本当の自然の楽しみ方なのでしょう。日本人の感覚は狂ってしまったとしか思えません。
Posted by 松田まゆみ at 2009年07月27日 10:16
きっと便利で綺麗で治安がよくて日帰りも出来るから・・・と
お手頃感覚狙いで自信をもって開発整備を進めたのでしょうね。
キャンプ場も規制がきついが安全優先を好む人と多少の危険は
自己責任の範疇・・・と野生が大好きと言う人に別れますが....。
安・近・短。(このフレーズ、もう死語かも・・・^^;)が
もてはやされた時代の建造物が至る所で朽ち始めていますね。
もともとあった動植物の環境が元に戻るまでには100単位の
年月がかかります。いや元には戻らない可能性の方が高いかも
しれません。自然環境と上手につき合う手立てを今一度本気で
考え直さねばいけないと思います・・・ね。
Posted by 北の旅烏 at 2009年07月27日 13:35
砂に埋もれた手摺の写真には驚かされました。
しかし日本全国このような愚かな開発、工事はあちこちにあるのでしょうね。

これを見て思い出したのが、石狩埠頭に近い所にある道路。競輪の車券売り場の前の道でしたが、車で来る人はあるものの、市街地からはかなり離れており、歩道など必要もない場所。
歩く人もない歩道は雑草がアスファルトを突き破って生い茂り、歩道の用をなさない有様でした。

また、対照的にgoogle earthで国後、択捉島を見た時、蛇行してずっとその状態であったと思われる川が非常に美しく見えました。
北方領土に関しては日本の領土である。という認識はあるものの、もし・・・今のところ、もしですが、日本に返還されても余計な開発も、建物すら建てる事は厳しく制限するべきだと感じました。
観光地になってしまうことも避けるべきでしょう。

すみません、サハリンのお話があったので、脱線してしまいました。
Posted by BEM at 2009年07月27日 23:44
北の旅鳥様

ひところのオートキャンプ場のブームで、あちこちに便利きわまりない施設ができてしまいましたが、今では閑古鳥が鳴いているところが多いのでしょうね。利便性ばかりを追求・宣伝することで、自然との付き合い方がわからなくなってしまった人が多いのかもしれません。

アメリカの国立公園のキャンプサイトでは、個々のテントサイトが離れており、日本のように一面にテントが並ぶようなことはないそうです。自然に囲まれた雰囲気を大切にするのでしょう。


BEM様

砂に埋もれてしまった手摺は、自然を思い通りに改変しようとする人間の愚かさを物語っているかのようです。

サハリンに行ったとき、かつては北海道の海岸の風景もこんなんだったろうなとしみじみと思ったものです。あるがままの自然を大切することの意味を考えさせられました。

国後や択捉も、もし日本に返還されたら北海道のように観光地化してしまうことが懸念されますね。
Posted by 松田まゆみ at 2009年07月28日 11:23
はじめまして。

文芸社について調べるうちに、
こちらにたどり着きました。

そのままの自然を残すことが難しい世の中になりました。
私たち一人一人が、自然の価値を忘れつつある・・・悲しいことですね。
環境を改善し、そのままの自然を守ることが経済成長につながるような、
新しい仕組みが作られることを望んでおります。

宣伝のような書き込みになってしまい申し訳ありませんが、
わたしたちが生きていく上で大切なモノを忘れないようにと願い、
物語を作りました。(これが文芸社を調べたきっかけです・・・)
よろしければ、ホームページにお出かけ下さいませ。

いろいろと参考になりました。
ありがとうございます。
Posted by pon at 2009年07月28日 12:06
pon様

はじめまして。ご訪問ありがとうございました。

自然の大切さは、失ってから気付くことも多いのでしょうけれど、それでは遅いのですよね。私達はすでに取り返しのつかない自然破壊を繰り返してきました。かなり末期的な状況になりつつありますが、それでも問題意識を持って発言したり行動していかなければと思います。

ところが、問題意識を持って本を出版したいと思う人を利用して、お金儲けをしようと企む悪質な出版社もあるのです。騙しの連鎖ですね。ほんとうに大変な世の中です。どうぞお気をつけください。
Posted by 松田まゆみ at 2009年07月28日 14:20
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