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鬼蜘蛛の網の片隅から › 自然・文化 › トムラウシに避難小屋は必要か?

2009年09月15日

トムラウシに避難小屋は必要か?

 北海道新聞の報道によると、7月にトムラウシ山でツアー客ら9人が亡くなった遭難事故を受けて、新得町が避難小屋とトイレをトムラウシ山頂から新得側登山口の間に設置するよう環境省に要望したそうです。

 この遭難事故では、荒天の中を出発したガイドの判断の甘さや、予備日のないスケジュールが指摘されていました。この事故を取材した新聞記者と話しをする機会があったのですが、それによると夏用の登山シャツしか着ていなかった人、簡易な雨具しか持っていなかった人、小さなザックしか背負っていなかった人もいたそうです。また、ツアー会社の職員が避難小屋に客のマットを敷いて場所取りをしていたという報道もあり、ツアー会社のマナーも問題になりました。

 たとえトムラウシ山に避難小屋があったとしても、トムラウシ山の手前で最初に動けなくなった方を救うことはできなかったでしょう。この遭難は、悪天候の中を出発したガイドの判断や、客の装備に大きな問題があったといえます。中高年を対象にしたツアー登山の実態が明るみになり、さまざまな問題点を投げかけたのです。

 原因を究明して遭難防止の対策を講じなければ、同じような事故はまた起こるのではないでしょうか。安易な避難小屋建設は、「小屋があるから天気が悪くなっても安心・・・」と考える軽装での登山者を増やしたり、ツアー登山を助長することにもなりかねません。

 以前であれば、登山者は自分の経験や力量に合わせて登る山やコースを選択し、自らの責任で登山をしました。避難小屋がないなら、それを前提に登山計画を立てて行動すべきなのです。ツアー登山の増加によって、かつての山の常識がどんどん崩れてしまったように思います。


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Posted by 松田まゆみ at 15:39│Comments(2)自然・文化
この記事へのコメント
衝撃的な遭難事故があったから何とかしたいとの思いで、新得町長は避難小屋の設置を環境省に要望したのでしょうが、今、事故原因の究明が警察やガイド団体によって進められています。その結果が出てから、避難小屋の設置が最良か検討されるべきです。
あの遭難事故が起きた同じ日に美瑛岳の避難小屋でツアー登山参加者の一人が低体温症で亡くなっています。このことは今回のような低体温症による遭難死が避難小屋では防げないことを示唆しています。
Posted by ミユビゲラ at 2009年09月15日 18:32
ミユビゲラ様

たしかに事故原因が究明されていないのに避難小屋を要望するのは、時期尚早かと思います。これからは高齢者の登山も減少していくことが予想されますし、新たな施設の設置には十分な検討が必要だと思います。
Posted by 松田まゆみ at 2009年09月16日 15:57
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