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鬼蜘蛛の網の片隅から › えりもの森裁判 › 北海道の矛盾した説明に唖然

2009年10月08日

北海道の矛盾した説明に唖然

 6日は「えりもの森裁判」でした。といっても、今回はラウンド法廷という円卓の法廷で非公開で行われました。この裁判を起こしたことで、問題としている皆伐に関連してつぎつぎと不可解なことがわかってきたのですが、それによって論点が解りにくくなってしまいました。裁判所も論点の整理をしたいということで、裁判官が原告と被告に疑問点を聞くことを目的に円卓での口頭弁論になったのです。論点の整理ですから、裁判官が原告と被告の主張に対して「こういう理解でいいのか」という具合に、具体的に確認の作業をしていくということです。

 えりもの森裁判で私たちが主張しているのは、「天然林受光伐」としながら実際には皆伐して植林をし、さらに集材路の造成でナキウサギの生息地を破壊したということです。受光伐とは、森林の一部を伐採することによって、森林の内部にまで光が当たるようにし、稚樹や若木など下層木の生長を促して森林を複層化する伐採方法のことです。すなわち、後継樹の成長を促すことを目的に、単木または群状の抜き伐りをすることです。天然林を皆伐して植林をするという行為は、とうてい受光伐などといえるものではなく、拡大造林そのものです。そして、売買契約をした376本よりはるかに多い木を伐っていました。この過剰な伐採について被告は、植林の邪魔になるので伐ったと主張していますが、植林の支障になっていない木も多数伐られています。この伐採においては、収穫調査から木材の販売、さらに伐採の区画をめぐってさまざまな疑問や疑惑が生じています。私たち原告は、こうした一連の行為が違法だといっているのです。

 さて、今回の話しの中で、内心、非常に憤慨したことがあります。というのは、被告である北海道の職員の「玉取り」についての説明です。

 収穫木を指定するための調査野帳には、収穫木の376本の木の樹種や胸高直径などのデータが記入されているのですが、376本の収穫木のうち、胸高直径36センチ以上の木の根株にはナンバーテープとピンクのスプレー、34センチ以下の木(これを「玉取り」としている)にはピンクのスプレーで印をつけたことになっています。つまり収穫木にはスプレーがなければならないことになります。しかし、伐採した直後に実際に現場の伐根を確認したところ、ナンバーテープもスプレーもない伐根が複数ありました。すなわち盗伐が疑われるのです。

 昨年の秋、裁判所と原告・被告が現地に検証に行きましたが、その際に原告らはナンバーテープもスプレーもないウダイカンバ(ウダイカンバの材は高額)の伐根を指し示しました。この木は植林の邪魔にはなっていません。ですから盗伐が疑われるのです。すると道職員は、「このあたりは直径が小さめな木が多かったので、区画を決めてその中の34センチ以下の木を玉取り扱いにした。だから区画内の木にはスプレーをつけていない」という説明をしたのです。たとえ「玉取り」する区画を決めたとしても、収穫木に印をつけながら調査しなければ、どの木を調査したのかもわからなくなるでしょう。とても不可解な説明です。

 ところが、6日の口頭弁論では、現地での説明と異なる説明をしました。つまり、「玉取り」とは胸高直径34センチ以下の収穫木を野帳へ記入する際の様式であり、業者はナンバーテープとスプレーで特定されている376本の収穫木を伐ったという主張です。ならば、スプレーのない伐根はどう説明するのでしょうか? 現場での説明と法廷での説明が明らかに食い違っており、現場での説明は言い逃れとしか思えません。

 これでは、いったい何のために現地に行ったのでしょうか。現場での道職員の説明は何だったのでしょうか? 裁判官に対し、こういう矛盾した説明を平然とする道職員には心底呆れるというか、怒りを覚えました。

 次回も、ラウンド法廷で論点の整理の続きをすることになっています。


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Posted by 松田まゆみ at 16:00│Comments(6)えりもの森裁判
この記事へのコメント
道職員は道民の手本となる言動をとらなければなりません ..
という基本が皆無ですね. 林務組織は腐敗していると自ら
さらしたようなものだと感じました. 司法の場の混乱を平気で
行う姿勢は 道民の信頼を失っていくばかりでしょう.

組織全体の腐敗なのかという疑念がいっそう深まる思いでした.
一部の行った行為であるなら組織は膿を隠蔽することなく
改善の為に 膿を出し切るべきです.
道民は膿で病んでいく組織の為に血税を払っているわけではありません. これでは北の健全な森林を守れる組織とは思えませんね.
大方の目には 盗伐の隠蔽としか映りません.
 
Posted by こるとれーんtone at 2009年10月08日 19:19
 
 その手の県や市町村の職員は多いですね。(・・勿論国の役員も・・)要するに、社会正義も何もなくて単なる体制派・・・残念ながらこの手の役人のほうが主流ですね。

こるとれーんtoneさんのおっしゃるように、組織は改善の為に膿を出し切るべきですね。

 私も博士山林道訴訟のときにラウンドテーブルを経験しています。(・・・見ていただけで、・・松田さんのようにそこの席に付くほどの事はしてませんが・・)やっぱり町や役場の職員がどうしようもない言い訳をして非常に見苦しかった記憶があります。・・・でも彼らは全然平気で、良心の呵責は全く感じてないようでした・・彼らの弁護士も含め、嘘だろうが何だろうが、いかに流して乗り切るか・・という事だけのようでした。・自分達には大きな組織がついているんだ・・・行政に楯突くやつが悪い・・・とでも言いたげな表情でした。

すぐにラウンドテーブルから本来の裁判に移るでしょうが、是非松田さん達には頑張って欲しいと思います。


 ++++++++  ++++   ++++++++++  ++

 失礼!、また変換ミスしましたので、上のコメント削除してこちらでお願いします。 
Posted by 雑草Z at 2009年10月08日 20:17
こるとれーんtone様

道職員は口が裂けても自分たちに不利な説明はできないのでしょう。皆伐をめぐる一連の行為は、違法伐採と業者との癒着が疑われるのですが、もしそれが事実であるなら何としてでも隠したいでしょうね。
Posted by 松田まゆみ at 2009年10月09日 23:38
雑草Z様

博士山林道訴訟でも言い訳ですか。そうでしょうね。言い訳するしかないのでしょうね。

被告の弁護士を見ていても「あんな言い訳よく言えるなあ・・・」と思ってしまいます。

えりもの森裁判の今の裁判長は、主張が多岐にわたってわかりにくくなっている中で、状況をよく理解しようと大変努力されています。
Posted by 松田まゆみ at 2009年10月09日 23:46
>えりもの森裁判の今の裁判長は、主張が多岐にわたってわかりにくくなっている中で、状況をよく理解しようと大変努力されています。

そのような貴重な裁判長の間にしっかり結審して欲しいものですね。

現在は裁判員制度で変わったと思いますが、
以前は裁判長が権利が大きい・・・と言うわけではなく
3人の裁判官が平等に話し合って判決文を書く・・・というものだったようです。
 博士山林道訴訟では、1人の裁判官だけが自然保護に熱心で、原告に非常に親切で原告の主張にしっかり耳を傾けてくれる方でした。・・・他の裁判官は逆でした。・・・
 2月頃予定の判決を、福島地方裁判所が突然2,3か月延長にして、春の人事異動で、その原告に好意的な裁判官を移動させて、別な裁判官に変えて、原告敗訴・・・の判決でした。酷いものです。
民主党政権になってから、そのような事がなければいいと思います。

「えりもの森裁判」での原告勝訴・・・を心から願っています。頑張って下さい。 
Posted by 雑草Z at 2009年10月10日 00:26
雑草Z様

応援ありがとうございます。

できることなら今の裁判長に結審までいてもらいたい心境ですが、まだすぐには結審になりそうにないので、移動もあり得ると感じています。
Posted by 松田まゆみ at 2009年10月10日 00:43
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