さぽろぐ

日記・一般  |その他北海道

ログインヘルプ


鬼蜘蛛の網の片隅から › 河川・ダム › 美蔓貯水池の欺瞞(3)

2009年10月31日

美蔓貯水池の欺瞞(3)

前回の記事

計画変更と矛盾する事業費

 美蔓ダムは当初は然別川水系に建設される予定であったことは、前回の記事に書きました。それがペンケニコロ川に変更され、さらにダムからため池に変更されたのです。理由は受益面積と受益戸数の減少による水需要の減少です。当初計画、変更計画、現行計画の貯水量、受益面積、受益農家戸数、総事業費を比較すると以下のようになります。

当初計画  630万立方メートル 9270ha 417戸 470億円
変更計画  340万立方メートル 7529ha 306戸 530億円
現行計画   30万立方メートル 4056ha 222戸 330億円

 ここで不思議なことに気付きませんか? まず、水需要が減少したのであれば、当初計画の規模を縮小すればいいはずです。普通だったらそうするのではないでしょうか。ところが、なぜかそうはせずに建設場所をペンケニコロ川に変更しました。この建設場所の変更理由はよくわかりません。ペンケニコロ川にダムを建設したなら、ナキウサギなどへの影響が避けられないのにとても不可解なことです。

 変更計画では、当初計画よりダムの規模が大きく縮小されました。ならば、それに伴って事業費も安くなるのが当然です。ところが逆に膨れ上がっています。こんなおかしな話があるでしょうか? 当初計画でも上幌内川の水が少ないために、ペンケニコロ川から導水管でダムに水を引く予定だったのです。ですから、ダムの場所を変更したことで導水管が長くなったというわけではありません。この矛盾について質問したところ、労賃や資材が上昇したためとの説明がありました。しかし、規模を縮小したのに60億円も余計にかかるなどということは、労賃や物価上昇だけではとうてい説明できません。不可解というほかないのです。

 水需要はどんどん減っており、いま掘っている貯水池は、はじめのダムの貯水量の20分の1です。本当に330億円もかけて貯水池をつくる必要があるのかが問われるのです。(つづく


あなたにおススメの記事


同じカテゴリー(河川・ダム)の記事画像
居辺川の現状(その2)
居辺川の現状(その1)
業界関係者も公述した十勝川水系河川整備計画公聴会
思いつきのような河畔林伐採は中止すべき
十勝川の河畔林伐採は意味があるのか?
これが音更川の堤防洗掘現場だ!
同じカテゴリー(河川・ダム)の記事
 十勝川水系河川整備計画[変更](原案)への意見書 (2023-02-10 20:36)
 ダムで壊される戸蔦別川 (2022-08-19 21:16)
 集中豪雨による人的被害は防げる (2018-07-11 23:03)
 札内川「礫河原」再生事業を受け売りで正当化する報道への疑問 (2015-12-21 15:14)
 異常気象で危険が増大している首都圏 (2014-09-17 22:15)
 居辺川の現状(その2) (2013-06-10 21:41)

Posted by 松田まゆみ at 14:42│Comments(4)河川・ダム
この記事へのコメント
不可解です. 私は十勝自然保護のページで3年ほど前から
此の件をみていましたのであの危険な細い林道の奥で山壊し川壊しが
行われている現場もみてきました. 若干白濁した流れが
さらに泥濁化してクッタリダムへ蓄積されていました.
皆さんの税金で造ったダムを泥で埋めて ..
いつかペンケ二コロに造るものも無駄に帰するでしょう

彼らは造った先から駄目にするのが得意な組織です.
造った物を壊して造る .. これを世間では大無駄といいます

苫小牧や千歳にはかなり憤慨する人間が増殖
しています. 偉大なる十勝の自然を破壊し続ける北海道開発?
破壊局、帯広開建に対して 納税者であるアングラーは怒り続け
増殖し続けています. やってはいけないことを続けていれば必ず
メスが入る時代になったという事が末端の雇用者にも跳ね返ってくる
ことになるでしょう. 結局cleanな方向転換を図れない開発局という
組織は 十勝の自然を破壊した挙句、最後には雇用者を裏切ることでしょうね.   
Posted by こるとれーんtone at 2009年11月01日 10:15
あまりに酷いものですね。
開発局、道庁、地元自治体というのは税金を、環境をどう考えているのでしょう。
純粋に防災のためにというなら環境を最低限壊さずに、税金をかけずに作ろうという気はないのでしょうか。

松田さんの他にもサンルダムや平取ダムにしてもそれぞれ疑問を呈する人達がいたのに、今までの行政はそれを無視してきたのですね。
また新聞などもこれらを真剣に調べようとも伝えようともしていなかったのか、知らなかった問題がこれほど沢山あるのかと改めて驚かされています。

このような開発局をまだ守ろうとしている人達も注意して見ていかなければいけないと思います。
Posted by BEM at 2009年11月01日 17:41
こるとれーんtone様

結局、今工事をしている現行計画は、ペンケニコロ川に頭首工をつくって受益地の北側に掘ったため池に水を引くというものです。ダムはやめて頭首工にするとのことですが、それでも取水堰をつくってかなりの量の水を取水するのですから、河川生態系への影響は避けられないでしょう。ナキウサギへの影響も然り。このかんがい事業の必要性などについては、次に書きたいと思います。
Posted by 松田まゆみ at 2009年11月02日 20:52
BEM様

私たちはこの事業について4年も前から話し合いをしてきました。帯広開建は自然保護団体に誠実に対応をしていると言いつつ、一方で事業を着々と進め、昨年は私たちになんの知らせもなくこっそりと溜め池の工事をはじめていたのです。導水管工事がナキウサギの生息地破壊になると抗議しても、おかまいなしに。さらに、話し合いの席にマスコミを入れてもらっては困るといって、公にすることを拒否してきたのです。まるでだまし討ちです。
Posted by 松田まゆみ at 2009年11月02日 21:03
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
美蔓貯水池の欺瞞(3)
    コメント(4)