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鬼蜘蛛の網の片隅から › 河川・ダム › 地元とは誰を指すのか?

2009年11月06日

地元とは誰を指すのか?

 4日の北海道新聞に「建設予定48自治体アンケート ダム凍結反対68%」という記事が掲載されていました。これは、前原国土交通相が凍結を発表した48ダムが建設される市町村にアンケートを実施した結果を発表したものです。凍結に反対とした市町村は68.2%で、賛成の自治体はゼロ。また、前原大臣の手法については、77.3%が「関係自治体や住民の意見を聞いてから判断すべきだ」を選択したそうです。

 この記事だけ見たなら、地元の大多数が凍結に反対しているかのように感じられます。しかし地元自治体といえば、建設主体と一緒にダムを推進してきた立場です。民主党に政権交代し、ダムに対する方針が変わったからといって簡単に凍結に賛成するわけがありません。なんのためにわざわざ地元自治体にアンケートをとり、大きく報道するのでしょうか?

 地元の声を聞きたいのであれば、たとえば建設地だけではなく関係する流域住民に無作為で電話などによるアンケートをとるなどすべきではないでしょうか。だいいち、国や都道府県が建設するダムは、地域住民だけの問題ではありません。国民の税金が使われる以上、建設地域の関係者だけに意見を聞いて発表すること自体がナンセンスです。

 大雪山国立公園に建設が計画されて中止に追い込まれた士幌高原道路の場合、地元の士幌町と農協が建設を全面的に推し進めていました。「必要ない」と思っていた町民もいたのですが、圧力を恐れて反対の声を上げることができなかったのです。反対の意思表示をしたために露骨な嫌がらせを受けた人もいると聞いています。ダムなども同じ構図でしょう。建設に反対の地元住民は、圧力や嫌がらせを恐れてなかなか声を上げられないのです。

 ダム推進派に欠落しているのは、例えば治水目的のダムにおいて治水の根拠とされる基本高水流量の数値の検討をしようとしない点です。ほとんどのダムでこの数値が過大に算出されていると考えられるのですから、そこを質し、本当にダムが必要かどうかを問わねばならないのに、そのような点について議論しようとしません。利水にしても然り。八ッ場ダムでは治水も利水も目的が失われているといわれています。必要かどうか、建設によるマイナス面はないのかという本質論が置き去りにされ、ただ凍結に反対しているとしか思えません。


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Posted by 松田まゆみ at 12:18│Comments(5)河川・ダム
この記事へのコメント
ホント!ですね。地元の声(賛成派と反対派)を反映させないのが
報道のあり方とすれば公共性の欠片も無いと言わざろう得ませんね。
この報道の裏側でやみ取り引きが行なわれているのでは、と勘ぐり
たくなります。ご都合主義や利害優先は記者の辞書には無縁のもの
と思っていましたが、北海道新聞も低級紙面に成り下がったのかと
がっかりです。高橋知事が地元の声を聞くと言いつつ地元の役人や
工事関係者の話しか聞いていない風に見えます。自民党に良い顔を
していた反省はこれっぽっちも無いのでしょう。なんともいやはや、
官僚出身の裏側が透けて見えますね・・・。私は怒っています。
Posted by 北の旅烏 at 2009年11月06日 16:12
北の旅鳥様

2日の高橋知事のサンルダム工事現場視察も、名寄市長、下川町長などが同行し、「ダムに期待する地元自治体の思いを強く受け止めた」とのコメントを出しました。また、関係する自治体の意向を集約して北海道の意見を国に申し入れるとのこと。地元まで行って、推進側の立場にある自治体の長の意見だけを聞いても意味がありません。何のためにわざわざ視察したのでしょうね。あきれました。せめて、新聞はいろいろな人たちの意見を報道すべきでしょう。
Posted by 松田まゆみ at 2009年11月06日 17:12
北海道新聞は 偏向報道の傍らで 自然破壊は許さないといってますね. 自然資源が大切といいながら 
コラムでは小さく砂防不要論もかいて どっちなの?
いていいかげん極まりない?
[真実を掘り下げて民意を伝える]という信念が感じられません.
信念にたどりつけないのなら[どっちつかずだが皆さんはどう?]
くらいのpositionに収まってはいかがと思いますよ.
高橋知事は 新しい知恵という物がでないんでしょうか、
常にもっとも安易な道を選びますね. 当別ダムでも談合業者をいれてバッシング受けたでしょう.道民は清潔で意味のある事業であれば誰も反対しないでしょう.
そういうことに知恵を絞るのが知事というものではないでしょうか.
そこらへんの所気付いてもらいたいものですね.
Posted by こるとれーんtone at 2009年11月06日 20:05
松田さん、続きです この地元っていうのですか゛
うちの街でやると10パーセントダム賛成、隣町でも2パーセント
ですが、これを隣町のある建物の周りだけでやると
100パーセントダム賛成になってしまうんですよね。
こんな茶番を報道する新聞はお寒いとしかいえません。
高橋知事は税金というものをどう考えているんでしょう?
雇用というものは知事が知恵を絞るべき問題です。
税金投入とは 別個に考えなくてはいけませんね。
Posted by こるとれーんtone at 2009年11月06日 20:17
こるとれーんtone様

北海道新聞は、ダムを疑問視する記事もいろいろ書いていますので、その一方でこのような記事があると、何を考えているのかと思わざるを得ません。もっと住民・道民の声を広く知らせる努力をしてほしいと思います。

おっしゃる通り、雇用問題と無駄な事業の検討は別々に考えるべきこと。そのようなところに知恵を絞ることこそ、行政の仕事でしょう。
Posted by 松田まゆみ at 2009年11月07日 08:06
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