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鬼蜘蛛おばさんの疑問箱 › 環境問題 › 銭函海岸の風力発電計画を考える(その3)

2010年02月05日

銭函海岸の風力発電計画を考える(その3)

 一昨日と昨日の二回に分けて、後藤美智子さんの書かれた銭函海岸の風力発電計画の環境アセスメントまつわる記事を紹介しました。

銭函海岸の風力発電計画を考える(その1)
銭函海岸の風力発電計画を考える(その2)
 
 その内容を要約すると、以下のようになります。

 銭函海岸の風力発電計画における環境アセスメントで重要種として絞り込まれた6種のうちの一種である「キセワタ」という植物について調べたところ、北海道では1882年、1890年に札幌で採集されたものと、1916年に湯の川で採集された標本があっただけで、近年は確認されていない植物であった。120年も前に確認されているだけの幽霊のようなキセワタが北海道のレッドデータブックに掲載されていた。そのレッドデータブックの植物を選定した検討委員が環境アセス専門研究所による刊行文献の著者と同一であった。さらに、アセスメント調査では短期間に驚くべき多くの植物と昆虫の種数を記録していた。

 つまり、生育が確認できそうにない「キセワタ」という植物を重要種として選定し、「調査しましたが確認できませんでした。だから、風車を建設しても問題ありません」としたかったということではないでしょうか。重要種を絞り込む際に、「キセワタ」なる植物のことをきちんと調べていたなら、こんな選定はおそらくしなかったでしょう。

 こんな選定をしているのであれば、それ以外の5種がどういう基準で決められたのかということまで気になってきます。

 さらに、小樽総合博物館とボランティアが5年かけて調べた植物の種数が約150種であるのに対し、アセスメントでは6月と8月の8日間だけで356種も確認しているというのです。たった8日間で2倍以上の種数を確認しているとは、驚き 桃の木 山椒の木!ですね。いったい調査範囲をどう設定し、どんな調査をしたのでしょうか。こうなるとアセスメント調査の信ぴょう性が全面的に問われることになります。

 ところで、2009年7月31日に業者が小樽市にやってきて、第一回の地元説明会として環境アセス方法書を配布したとのことです。市民には、アセスをやって、地元との調整をし、市長が意見書を出したらはじめて補助金がOKになると説明したそうです。ところが、7月31日付けですでに経済産業省ルート(NEDO)の補助金申請が通っていたのだそうです。

 つまり市民に偽りの説明をしたのです。不可解な環境アセスメントに加え、市民を欺いてまで進めようとするこの風力発電計画に、大きな疑問を抱かざるをえません。

 なお、明日2月6日に、銭函海岸の自然をテーマにしたシンポジウムが開催されます。以下にお知らせを掲載します。近隣にお住まいでこの問題に関心を持たれる方は、ぜひご参加ください。

**********


シンポジウム開催のお知らせ


 銭函海岸は、環境省が「植生自然度10」と評価したように、自然度が良好に保たれているきわめて貴重な海岸です。200万人に垂んとする大都市・札幌の近郊に、これだけの広がりをもった自然海岸が残っているのは奇跡に近い、と評価する人もたくさんいます。

 北海道はこの地域を「豊かで優れた自然の特徴をもち 将来的にも自然環境の保全にあたって格別な配慮が必要な地域」として『保全を図るべき自然地域(北海道自然環境保全指針・1998年)』に指定し、さらに『石狩湾沿岸海岸保全基本計画(2002年)』では、海岸砂丘林の貴重な存在を「海岸草原も含めた海岸植生全体としての保全が必要」と認めています。

 しかしこの地域には、ナキウサギのような“超有名な”生物が生息しているわけではないので、えてして“あまり重要でない”地域のように思われがちです。しかし有名な生物がいなくとも、ありのままの自然を保全することの重要性は、生物多様性を維持する観点からも明らかです。

 折しも今年10月には『第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)』が名古屋で開催され、我が国は議長国となります。私たちはこの海岸(自然砂丘)がいかに貴重なものであるかを、一人でも多く人に知っていただくことが大切であると考えてこのシンポジウムを企画しました。

 市民のみなさんに広く報道などでお知らせいただければ幸いです。

 なお、今回の案内に先立って一部の方たちにお送りした文書から、昆虫研究者のパネリストが変更になっています。このような事態になった詳しい説明は別の機会に譲りますが、ご存じのようにシンポジウムとは、ある問題について数人がいろいろな角度・見地から意見を述べ、フロアからの質問・意見も加えてその問題を深める学習集会です。職権をもって参加を阻止するなどということが許されてよいとは思いません。


シンポジウム   銭函自然海岸の貴重さと保全の重要性  

と き  2月6日(土)14:00~17:00

ところ  小樽市 生涯学習プラザ(レピオ) 小樽市 富岡 1-5-1(電24-3363)

パネリストおよびテーマ

 小林 英男 (北海道昆虫同好会会員・日本鞘翅学会会員)
 「石狩湾の海浜地帯における昆虫たち」

 梅木 賢俊 (日本野鳥の会小樽支部 支部長)
 「銭函海岸の野鳥」

 松島 肇  (北海道大学大学院 農学研究科 園芸緑地学講座)
 「銭函海岸は役に立たない荒地か? 保全が求められる理由」

 コーディネーター  後藤 言行 (銭函海岸の自然を守る会)

つづく



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Posted by 松田まゆみ at 16:39│Comments(2)環境問題
この記事へのコメント
松田様

半年ほど前から時々覗いています。度々槍玉にあがる環境アセスメント業者の端くれでして、関係する耳に痛い話を戒めとして拝見させて頂いています。

今回話題になっている銭函海岸の件に私個人は無関係ですし、専門も植物でもなければ昆虫類でもありません。キセワタの件に関する問題提起にも異論はありません。

しかし一部同業者のレベルを知っているものとしては、主に調査日数に焦点を当てて、業者の調査結果を一方的に疑問視するのはどうかと思います。小樽市総合博物館の確認状況はひとまず置いておくとして、場所にもよりますが昆虫調査においてはこれぐらいの調査で、これぐらいの種数が確認されるのはそれほど異常なことでないと考えています。

可能であるなら、まず情報開示請求等をした上で両確認種目録を同一俎上に載せ、調査範囲、調査日数、調査人員等を詳細に検討した上で、業者の報告書が妥当であるか判断を下すべきではないでしょうか。それも難しいことだとは承知していますが。

私も幾つかの環境保全と開発行政の狭間でそれぞれの立場にたったことがありますので、松田様の事業者アセスに対する不信感は十分理解出来ます。しかし現地調査を担当している人々は概してリスト作成に関しては現地としっかり向き合っていると私は判断しています。税金を使っている意識のない業界・企業はいずれ淘汰されていくと考えています。

これからも正攻法な問題提起を期待しております。
Posted by きたろう at 2010年02月05日 21:14
きたろう様

この事業のアセスメント調査については、報告書などを見ていませんので詳しいことまで言及できません。しかし、常識的に考えても6月と8月の8日間だけの植物調査で、特定の地域の植物相を把握することにはなりません。もっと長期間の調査期間が必要なのは明らかです。ほかの動物などについても同じです。文献調査も入れているのであれば、調査範囲をどのように設定したのかが問われることになります。後藤さんの感じられた疑問は当然のことと思います。

また、アセスメント会社によるリストづくりがすべていい加減だとも思っていません。しっかりしたものもあるでしょう。ただし、私は杜撰、あるいは意図的な情報隠しではないかと思えるような事例も知っています。

この銭函の事業に関しては、アセス終了前に補助金申請が通ってしまっていることが大きな問題です。つまりアセスは形骸的なものでしかなかったのでしょう。アセスの位置づけがこのようなものである以上、自ずと調査の信ぴょう性に疑問が出てきますし、真の環境保全などできないと思います。
Posted by 松田まゆみ at 2010年02月06日 06:58
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