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鬼蜘蛛の網の片隅から › 植物 › イソスミレに迫る危機

2010年06月10日

イソスミレに迫る危機

 道南のイソコモリグモ調査の折りに、日本海側のとある海岸でイソスミレの青い花が目に留まりました。イソスミレの花を見るのははじめてですが、こんな砂浜に根づいているスミレはイソスミレしか考えられませんのですぐにそれと分かりました。雰囲気はタチツボスミレに似ていますが、花の色はそれより濃い鮮明な青紫です。昨年はずいぶんと海岸に出かけましたが、それでもイソスミレを見ることはありませんでした。あれほど海岸を歩いたのになぜなのか・・・。

イソスミレに迫る危機



 イソスミレは北海道では南西部に分布し、北限は石狩浜とされています。また花期は春です。昨年はイソスミレの開花時期にはイソスミレの分布していない道東や道北の海岸を調べていたのです。出会えるはずがありません。

 さて、イソスミレは場所によってはかなり大きな群落をつくるそうですが、ここで見かけたのは小さな一株だけでした。ここの海岸には自然の砂浜はあるものの、浸食によって海岸には段差ができています。また、砂丘上には風車が立ち並んでいました。イソスミレは、砂浜と植物に覆われた砂丘との間に残されたわずかな斜面にかろうじて生き残っているかのようでした。イソコモリグモと同じように、海岸浸食によって生育適地がどんどん奪われているのではないでしょうか。

 イソスミレは環境省のレッドデーターブックで絶滅危惧Ⅱ類に、北海道のレッドデータブックで希少種に指定されています。イソコモリグモも絶滅危惧Ⅱ類です。絶滅危惧種に指定されていても、生育適地がどんどん浸食されて減少したなら、人知れず消えていく運命なのではないでしょうか。人為的に改変されず自然の砂浜が残されているからといって、いつまでもイソスミレが生育しつづけられるとは限らないのです。

 余談ですが、イソスミレもイソコモリグモも和名にイソ(磯)がついています。しかし、磯ではなく砂浜に適応してきた生物です。どうしてイソとつけられてしまったのか不思議ですね。ハマスミレ、ハマコモリグモなどに和名を変えたほうがいいのではないかと思えてなりません。


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Posted by 松田まゆみ at 17:55│Comments(0)植物
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