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鬼蜘蛛おばさんの疑問箱 › 外来種 › 野生化したルピナスは駆除を!

2010年06月24日

野生化したルピナスは駆除を!

 今日の北海道新聞の「読者の声」に、「ルピナス力強く土手の斜面彩る」という投書が掲載されていました。庭に植えていたルピナスが増えてきたために、毎年少しずつ自宅前の土手に移植し、それが200株にもなった。また、同じ斜面にフランスギクの種も播いて自己満足しているという内容です。

 「自宅前の土手」とは道路の法面なのか、それとも川の堤防のようなところなのか分かりませんが、おそらく公共用地ではないかと思われます。そういうところに園芸植物のルピナスを植えたのなら、繁殖力の旺盛なルピナスのことですから種子がこぼれてどんどん増えていくでしょう。フランスギクも然り。これだけ生物多様性の保全が叫ばれるようになった昨今でも、このような感覚の方がいるんですね。外来種の野生化に手を貸しているようなものですが、ご本人はなんら問題意識はないようです。それと同時に、こういう投書をそのまま載せてしまう北海道新聞の感覚もどうかと思います。

 この投書を読んで、ある光景を思い出しました。かつて音更川(十勝川の支流)の河川敷にルピナスの群落が出現しました。橋を通る人たちの目を楽しませようと、河川敷にルピナスの種を播いた人がいたのです。その光景を見たときには、さすがにゾッとしました。さらに驚いたのは、ルピナスの群落を保つために草刈りまでしたのです。自然のままにしておくべき河川敷に外来種を持ち込み、そこにあった在来種を刈ってしまうという発想には仰天しました。

 その頃は、この光景にまったく疑問を感じない人が多かったようです。そうそう、河川敷にルピナスの種を播いた方は、国道の路肩にも種播きをしました。おそらく、その方には「外来種」「在来種」などという意識はまったくなかったのでしょう。

 北海道はこのところ急に夏らしい気候になり、道端や空き地など、あちこちに野生化したルピナスの花が目につくようになりました。ニセアカシアの白い花も満開です。でも、前述した投書からもわかるように、こういう光景に問題意識を持つ人は今でも少数派なのかもしれません。「生物多様性」という言葉を頻繁に聞くようになったのに、多くの人は自分の身の回りの外来種や生物多様性の問題はピンとこないようです。

 ルピナスは直根性で深く根を下ろしますので、根こそぎ抜き取ろうとしてもそう簡単に抜けません。野生化してはびこってしまうと、駆除するのはとても大変です。フランスギクなどのキク科植物もおびただしい数の種子をつけて旺盛に繁殖します。法面などに沿ってひとたび国立公園などに入ってしまうと、大変なことになります。綺麗だからといって、園芸植物を人の管理が及ばないところにまで植えるべきではないでしょう。

 環境省は、せめて国立公園内の外来種駆除の方針を明確に打ち出し実行に移さないと、この国は生物多様性保全の後進国となってしまいます。大雪山国立公園の十勝三股のルピナスに対しても、毅然とした態度をとって欲しいものです。


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Posted by 松田まゆみ at 16:06│Comments(6)外来種
この記事へのコメント
私も、三股の絵葉書を買ったら、ルピナスの花が満開の写真がありました。困ったことですが、ほとんどあきらめています。
私は乳牛の獣医師ですが、酪農地へと持ち込まれたオチャードもチモシーもそこら辺りい一杯です。もうすでに排除できる段階にはないと思ってます。セイヨウタンポポも同じです。
中標津では、町の景観とかで、コスモスを大量に植えています。これはメキシコの花で、花の下草はほとんど凌駕されます。何もありません。虫もいなければなにもない。小鳥も来ません。
北海道遺産になった中標津のカラマツ林の中には、虫もいませんし鳥もいません。カラマツは長野から移植された外来種ですが、多くの人はそれも知らない。

せめて、ここまできたらこいつらは厚かましい顔してるけど、外来種だと機会を見つけて声高に言うよりないとあきらめてますが・・・
駄目でしょうか?
Posted by そりゃないよ獣医さん at 2010年06月24日 22:47
獣医様

中標津のカラマツ林が北海道遺産なのですか。北海道遺産には首をかしげたくなるようなものがいくつもありますが、それはちょっと驚きですね。

たしかに、牧草類とかセイヨウタンポポ、コウリンタンポポなどはすでに駆除できるような状態ではないですね。でも、せめて国立公園など生物多様性の保護を優先させるべき地域では、もっとしっかりと対策をとるべきだと思います。

十勝三股のルピナスが繁茂しているあたりは、かつて環境省が「ふれあい自然塾」なる事業をやるために土地を林野庁から環境省に移管したのです。環境省が自分の土地に外来種を繁茂させているというのは、とてもみっともない話です。訪れた人たちに「外来種を引き抜いてください」と呼びかける看板を立てることくらいできそうなものですが。多くの人に外来種を知らしめる必要がありますね。

ちなみにニュージーランドではずいぶん前からルピナスの駆除をしていると聞きます。日本の環境省の意識は恥ずかしい限りです。
Posted by 松田まゆみ at 2010年06月25日 07:04
2003年、道北、中頓別町の敏音知岳へ調査に行ったときのことです。尾根筋の登山道脇にずーと園芸植物が植えられていた驚かされました。標高700m余りのこの山には高山植物といえるものはほとんどないようです。そこで人の目を楽しませようと親切心で園芸植物を植えたのでしょうが、自然愛好者にとってはなんとも興ざめでした。外来の生物を持ち込むことは生物多様性とは無縁のことであり、生物多様性の保全に有害です。このため生物多様性条約では、外来種の制御や撲滅を求めています(8条h項)。人間が原自然を大きく撹乱した都市や農地では外来種の撲滅は極めて難しいことですが、天然林地帯や国立公園などの自然公園では外来種の制御可能だと思います。皆さんも登山中に外来種をみたら、引き抜いて撲滅してください。
Posted by ミユビゲラ at 2010年06月25日 14:30
ミユビゲラ様

以前、志賀高原にいったときですが、東館山という標高2000メートルほどの山の山頂あたりに広大な高山植物園があってびっくりしました。ここにはロックガーデンが造られていて、志賀高原に自生している約500種の植物が植えてあります。広さは10万平方メートルもあるそうです。高山植物というのは本来の自然の風景の中で見るからこそ美しいもの。何もこんな山の上に高山植物園をつくらなくても・・・と思ったのですが、訪れている観光客の皆さんは、そんなことは何も考えていないようで喜んでいました。

インターネットで調べたところ、植物園で高山植物を保護しているそうです。スキー場開発などの自然破壊の免罪符として造ったのか、単なる観光施設として造ったのかわかりませんが、高山植物を保護するということの意味がまったくわかっていないようです。
Posted by 松田まゆみ at 2010年06月25日 16:33
ニセアカシアを懸命に駆除する立場と、観光資源として植栽する人がいるのも厄介な問題です。
ミユビゲラ産のようなことは、平地ではコスモスのように平然と行われています。

先ごろ外国人に投票権を与えることの是非が論点になっていましたが、どこか似たような問題のような気がします。
ちょっと違うか?
Posted by そりゃないよ獣医さん at 2010年06月26日 23:42
獣医様

ニセアカシアはミツバチの蜜源になりますから、養蜂業者にとっては駆除してもらいたくないのでしょう。その気持ちはわかりますが、ニセアカシアは根萌芽でどんどん増えていきますので一度山野に入りこんでしまったら駆除するのが困難になってしまいます。

日本にはシナノキやオオバボダイジュのような蜜源としてすぐれた自生種があるのですから、そういう樹種を活用してもらいたいものです。

道路沿いにコスモスなどの園芸植物を植えることもあちこちで行われているようですが、園芸植物の扱いももっと気を使ってほしいですね。
Posted by 松田まゆみ at 2010年06月27日 13:51
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