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鬼蜘蛛おばさんの疑問箱 › 自然・文化 › 林道ゲートの鍵をめぐって

2010年08月03日

林道ゲートの鍵をめぐって

 日高のヌカビラ岳でツアー登山の一行が遭難し、救助されたとの報道がありました。北海道新聞(8月3日付)によると、一行の入山した林道は土砂崩れの恐れがあったため7月27日にゲートが施錠されていたとのことです。しかし、このツアー会社は北海道新聞の取材に対し「入林禁止の看板を見落とした。ゲートは、札幌市内で緊急用に購入して持っていた鍵で開けた」と説明したとのこと。

 これを読んで、林道の鍵が市販されているということに驚いた方も多いのではないでしょうか。実は私も林道のゲートの鍵が釣具店で売られているという話しを聞いたことがあります。国有林や道有林には登山者、山菜採り、釣り人、ハンターなどさまざまな人が入ります。ゲートが閉まっている場合は、国有林であれば管轄の森林管理署に、道有林であれば森づくりセンターに入林届を出して鍵を借りなければなりません。森林管理署に入林届を出しに行くとすごい量の鍵の束があり、その中から鍵を貸してくれます。林道のゲートは長期間同じ鍵を使っていることもありますし、時々交換することもあります。また、場所によってはナンバーを合わせるタイプの鍵をつけているところもあります。

 とはいってもお役所は土日や休日は休みですから、平日に仕事のある一般の人が休日にゲートの閉まっている林道に入りたい場合は、事前に鍵を借りに行くことが困難です。困難というより、仕事を休まない限り行けませんよね。遠方から登山に来る方などはとても大変です。そういう事情があってかどうかは知りませんが、本来売られるべきではない鍵のコピーが出回っているらしいのです。

 国有林は国民の共有財産ですから、誰でも自由に入ることができても良さそうです。また、登山口のあるところではゲートが解放されていて、登山口にある登山届が入林届を兼ねているところも少なくありません。しかし、場所によっては林道ゲートに鍵をかけて厳重に管理しているところもあります。

 私が見た林道のゲートで一番すごかったのは、道南の上ノ国町の国有林のものです。ここではゲート自体がものすごく頑丈に造られています。そして鍵は露出しておらず、鋼鉄製のカバーがついているのです。ゲートや鍵を壊して入る人がいるということでしょう。ここには違法伐採の疑いが浮上して自然保護団体が現地説明会を申し入れて入ることになったのですが、こんな頑丈な鍵をつけているということは、よほど一般の人に勝手に入られては困る事情があるのでしょう。現に、その奥ではとんでもない違法伐採が行われていました。

 また、大雪山国立公園のタウシュベツの皆伐地ですが、この皆伐地を発見したときには林道のゲートは解放されていました。ところが、私たちが現地に入ってこの問題を指摘しマスコミ報道されると、森林管理署はゲートに鍵をかけてしまったのです。理由は危険だからとのこと。でも、危険と思えるところなどありません。とにかく鍵を借りないと調査になりませんので、鍵を継続して借りたいと申し出ると、毎週入林届を出し、その都度鍵を借りに来いというのです。森林管理署の近くに居住し、平日にも森林管理署に行ける人でなければ鍵を借りることは不可能です。これは自然保護団体に対する嫌がらせとしか思えません。この写真は鍵をかけたタウシュベツのゲートです。

林道ゲートの鍵をめぐって


 ゴミの不法投棄を理由にゲートを閉めているところもあるようですし、山火事の多い春先だけは期間を決めてゲートに施錠している森林管理署もあります。季節に限らずあまり施錠していないところもあれば、いつも施錠しているところもあるようです。これまでの私の経験からするなら、林道のゲートを施錠するかどうかは管轄の森林管理署によってかなり判断が違うようです。

 話しが脱線してしまいましたが、遭難したツアー会社では入林届を出しておらず、しかも「緊急用に購入した」鍵で入っていたとのこと。緊急時に鍵を使ったわけではないのですから、とてもおかしな説明ですね。

 今回のツアーの一行が入山したチロロ林道では、降雨による土砂崩れの恐れがあったので閉鎖したとのことですが、「北海道夏山ガイド」(北海道新聞社刊)を見ると、この林道はゲートがあって事前に鍵を借りなければならないと書かれています。日高の場合は多くの林道に鍵つきのゲートがあるようですから、ゲートのある林道に入るのであれば入林届を出して鍵を借りるというのは当然のことなのです。

 一般の登山者は面倒でも入林届を出して鍵を借りるのに、ツアー会社がお客を募集して行っている登山で入林届も出さず、市販しているコピーの鍵を使って入っていたというのは驚きです。それに「入林禁止の看板を見落とした」というのも不自然です。普通は誰もが見逃さないように表示されているものですから。きちんと森林管理署に入林届を出していたなら、起きえなかった事故でしょう。

 今回の遭難騒ぎで、ツアー会社の杜撰さがまたも露呈してしまいました。それにしても、入林届の煩雑さがこうした安易な行動に結びついたという気もしないでもありません。


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この記事へのコメント
松田 様

すみません。また書いてしまいます。イワン雲帝です。

20年ほど前のことです。道路工事に従事しておりました。
林道の工事もいたしました。
上ノ国町の林道、目名川沿いの林道ですか?
でしたら、私が作った林道です(すみません、誇大表現です。工事に従事した林道です)。

私もよく森林管理署に鍵を借りにいきました。
工事ですので、当然、長期にわたって借りることになります。
しかし、管理署によっては数日しか貸してもらえないところがありました。
これでは仕事になりません。
で、鍵を借りて合鍵屋さんでコピーを作りました。
コピーの鍵は仕事が終わっても、そのまま持っておりました。

地元の人もいちいち鍵を借りるのはめんどうです。
皆さん、合鍵を持っておりました。
釣具店はともかく、合鍵を売っている店があるというのは聞いておりました。
このことは、当時の管理署も黙認していたと思います。

ただし、当時の管理署担当官から
「人が入るのは気にしないけど、車を入れると盗掘があるので・・・」
と言われたことがあります。ここで言う盗掘とは山菜ではなく、樹木とか岩石(庭石ですね)です。
現在でしたら廃棄物の不法投棄が起こりえるでしょう。

ゲートに鍵をかけて厳重に管理するのは行政として仕方がないことかと思います。
国有林は誰でも入って良いのではというご意見は賛成いたしましが、林道に車両を入れるのはやはり制限があって良いのではないでしょうか。
特に、登山であれば車で林道を通るのではなく、歩いて行くべきではないでしょうか。

ですから、今でも20年前と同じような管理をしているのであれば残念です。
Posted by イワン雲帝 at 2010年08月04日 00:35
イワン雲帝様

私の行った上ノ国の林道というのは、湯ノ岱から入る林道で、天ノ川の支流の上ノ沢川沿いの林道です。

工事の業者にも数日しか鍵を貸さなかったのですか。それは驚きです。

上ノ国のゲートが厳重だったのは、一般の人ではなく業者による盗掘や盗伐を防止するためではないかという気がします。

日高の場合は山が急峻で地質がもろく、大雨で崩れてしまうところが多いのです。土砂崩れなどで事故が起きたら管理者の責任が問われますから、ゲートに鍵をかけて危険な場合は通行止めにするというのはわかります。

ただし、すぐに崩れてしまうようなところにまで林道を造り、木を伐りだしたことが間違いだと思います。そのようなところまで伐採をすべきではありません。使わなくなった古い林道は、現在ではたいていが崩落していて通行不能になっているようですから、そのようなところは登山者は歩くしかありません。

確かにゴミの不法投棄や盗掘など理由で鍵をかけているところはありますし、それは止むをえないと思います。しかし、鍵の貸出が不便であれば、やはり合鍵をつくってしまう人が出てくるのでしょう。すると、合鍵で入って不法行為を働く人が出てしまいます。鍵の貸出を厳重にすればいいという問題ではありません。鍵の貸出方法にも問題があると思わざるをえません。

ある道有林では調査目的で入林を申請し、一年間鍵を貸してくれるところもありますし、遠ければ郵送もしてもらえます。しかし、記事に書いたように嫌がらせとしか思えない対応をする森林管理署もあります。鍵の貸出方法を署長の裁量で決めてしまっているところにも問題があるように思います。
Posted by 松田まゆみ at 2010年08月04日 06:56
松田 様

ご返事、ありがとうございます。
仕事が休みなので朝から書いております。

説明不足がありましたので、ちょっと補足させていただきます。

松田様もおっしゃるとおり、管理署によって対応が異なるのは20年前も感じております。
工事の完了まで鍵を貸してくれる管理署もありました(当然、こちらの方が多かったです)。

数日しか貸してくれなかった管理署は
「鍵がいくつもないので、長期に持って行かれては困る」
とのことで、暗に「合鍵を作って下さい」といっているものと解釈しました(もちろん担当官はそんなことは言いませんけど)。

林道内の盗掘は当時も結構あったようで、工事中に管理署の担当官や警察の方から「昨日、怪しい車を見なかったか?」と聞かれたこともありましたし、何より、工事の資材が盗まれたことが2度ありました。
総重量数トンあるような資材が盗まれれたのですから、重機かクレーン付きのトラックで侵入したと思います。

ですから、やわなゲートでは鍵が無くてもゲートごと壊して入ることは容易でしょう。
工事中に管理署の担当官から「夜間は林道の真ん中に重機を置いといてくれ」と頼まれた現場もありました(もちろん20年前の話です。今は夜間に道路の真ん中に機械を置いておくようなことはしないと思います)。

厳重なゲートが作られている箇所は、過去に大規模な盗掘があった箇所なのでしょう。

最後に森林管理署には行ったのは10年ほど前で、最近は行ったことがないのですが、10年前でも職員数が減っているような気がしました。
現在ではもっと減っているのではないでしょうか。

だとすれば、管理する方も大変で、とにかく入林させない方向で管理するという方針のところがあるのかも知れません。

昨年、20年ぶりに仕事で上ノ国に行きました(今度は林道ではありません)。仕事の帰りは毎日湯ノ岱温泉でした。

ところで、上ノ国で大きくてきれいなクモを見つけて写真を撮りました。単純に大きさからオニグモの一種だと思っているのですが、種類を調べるとしたら、どのような資料が(全くの素人にとって)適しているでしょうか。
クモの専門家とお聞きいたしましたので、失礼ながらお尋ねいたします。
Posted by イワン雲帝 at 2010年08月04日 09:36
困った話ですが大物狙いの釣り人が、街中の鍵店で何千円も
する鍵を買うと人づてに聞いたことがあります。ほとんどの
ゲートは車止めのためのようですね。徒歩でしたらゲートの
脇から簡単に入れますから。熊が確実にいる奥深い場所まで
行くためには車が不可欠になるのでしょう。いくら自己責任
と言っても事故が起きれば何人もの方々に迷惑をかける訳で
真っ当な釣り人であるならば、自粛して欲しいものです・・。
Posted by 北の旅烏 at 2010年08月04日 09:51
イワン雲帝様

いろいろ情報をありがとうございます。

盗掘や盗難防止のために厳重にしたいというのはもっともでしょうね。でも、それがまた森林管理署と造材業者との癒着を隠すことにもなるのです。上ノ国の伐採現場は、明らかに森林管理署が業者の違法行為を黙認していたと思われます。

ここに入ったときは森林管理署と自然保護団体の合同調査ということだったのですが、林道(森林管理署の方は正確には林道ではないと言っていましたので、集材路なのでしょう)の一部が崩れていて車が通れないという理由で延々と歩かされましたが、その崩壊というのは重機でちょっとひと掻きすればすぐに通れるような小規模なものでした。意図的に整備をせず長時間歩かせることで、現場視察を短時間で切り上げるようにしたのではないかと感じました。時間がなくて見なかった奥の方に、違法伐採現場があったことが後にわかりました。

クモのことですが、一般向けの写真図鑑としては「日本のクモ」(文一総合出版)や、「フィールド図鑑クモ」(東海大学出版会)などがあります。

インターネットで調べる場合は、グーグルの画像検索で「オニグモ」とか「オニグモ 北海道」などと検索してみてください。そこに該当するものがあれば、その種名でさらに検索してみると良いかと思います。

なお、私のブログのPart2( http://onigumo.cocolog-nifty.com/blog/ )のサイドバーにある「メールを送信」から私にメールが送信できるようになっていますから、写真を添付で送ってくださっても構いません。
Posted by 松田まゆみ at 2010年08月04日 10:22
北の旅烏様

やはり合鍵があちこちで売られているようですね。

そうですね。ゲートは普通、車を入れないために設置しており、歩いて入る分には鍵は要りません。本来は入林届けを出すのが筋なのでしょうけれど、出さなかったからといって罰則規定はありません。山菜とりや釣りなどで入るかたは、普通は入林届けも出していないのではないでしょうか。森林管理署も黙認しているということでしょう。あくまでも入林は承認であって、許可ではありませんから。
Posted by 松田まゆみ at 2010年08月04日 10:30
松田 様

ご教授、ありがとうございます。
まずは、自分で調べてみます。
Posted by イワン雲帝 at 2010年08月04日 12:49
参照されたし。
Posted by -- at 2010年12月15日 22:53
林道の合鍵作ろうかなと思い検索してこのブログにたどり着きました。
やっぱりみなさん持ってるんですね!
地元じゃ聞いたことなかったですけど、釣具屋とかあたってみます。

場所が変われば事情もいろいろなんですね。
私の住むところでは地元住民なら気楽に貸し出してくれますし、担当者によっては土日でも対応してくれたりします。
あと、災害で県道が使えなくなったとき逃げるには林道を使わないといけない集落もあり、そこには緊急用として通年貸し出されてます。
でも無くすと鍵を全部取り換えるための費用を負担しなければならないので、ちょっと怖いなーと思って合鍵作ろうかなと思いました。
実際、地元の伐採業者が紛失して数十万円を払わされたと聞いてます。

ところで地元住民以外には厳しい対応をするようで、対応が違っていいのかなとも思いますが、都会の若者が鍵借りて車で入って自殺したなんて事もあったので、まあ仕方ないのかとも思いますが、外の人から見たら不公平でしょうね。

あと、悪いことする人たち(盗掘、密漁、不法投棄)は頑丈なゲート作っても酸素で切断したり重機で押しつぶしたりするので何しても無駄ですね。
盗るにしろ捨てるにしろすごい量なので、たぶんカタギじゃないのでしょう。
駐在さんも手を焼いているようでした。
Posted by 長野県民 at 2016年01月22日 19:41
長野県民さん

北海道では鍵やゲートを壊して入る人が後を絶たないようで、最近は監視カメラを設置しているところもあるようです。

皆がマナーを守れば森林管理者もそれほど厳しくする必要はないのでしょうけれど、壊してまで入る人がいると厳しくせざるを得ないのでしょう。盗掘、盗伐、不法投棄などの違法行為こそ厳しく取り締まってほしいものです。
Posted by 松田まゆみ松田まゆみ at 2016年01月22日 21:59
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