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鬼蜘蛛の網の片隅から › 原子力発電 › 放射線の情報隠蔽はいい加減にしてほしい

2011年03月25日

放射線の情報隠蔽はいい加減にしてほしい

 福島第一原子力発電所の事故では、海外のメディアは放射能の拡散予測を早くから公開してきた。ところが事故を起こした当事国の日本はどうだろう。

 日本の場合、SPEEDI(スピーディ)というシステムがある。以下にSPEEDIについての説明があるのだが、「原子力施設で事故が発生し、放射性物質が放出された場合、周辺環境にどのように広がるかを地形や気象を考慮し、すばやく予測するコンピュータシステムです」となっている。

http://www.atom-fukushima.or.jp/qa/qa-174/anther.shtml

 つまり、放射能が放出される可能性がある場合にそれを予測して対策をとるのが目的だ。このようなシステムを持っていたのに、その計測結果が公開されたのは何と事故から12日も経った23日だった。この日の発表によると、福島第一原発から30キロ圏外でも甲状腺の被ばく線量が100ミリシーベルトを超えるところもあったという。こんな後になってから公表したのでは、予測システムの意味がない。枝野長官は「人体に影響が出る可能性がある」としながら、「念のため、発電所の風下ではできるだけ窓を閉めて屋内にとどまることを勧める」と述べたという。この期に及んで、避難させずに屋内に留まれとはどういうことなのだろう。

 上記のサイトからリンクしている環境防災Nネット(全国の放射線データを表示するページ)を見たら、なんと福島県のデータは「調整中」となっていて示されていない。「現在、宮城県モニタリング結果は測定実施場所が崩壊の危険性があるため測定不能、また、福島県モニタリング結果はモニタリングポスト周辺の空間線量が高いことから測定が困難になっています」という説明がある。もっとも肝心な地域のデータが公表されていないのだ。おかしいとしかいいようがない。

 情報隠蔽については植草一秀氏も指摘している。

政府・保安院・東電は計測データを全面開示せよ

 広河隆一さんらの報告でも、すでに汚染がかなり広まっているのは明らかだ。ところが、原子力資料情報室でレクチャーをされている崎山比早子さん(元放射線医学総合研究所主任研究官)の昨夜(3月24日)の話しによると、福島県ではいまだにヨウ素剤を配っていないという。ヨウ素剤は放射性ヨウ素による甲状腺がんを防止するための唯一の薬品で、放射線ヨウ素に被爆する前に飲まなければほとんど効果がない。原子力発電所のある自治体は備蓄しているはずなのだが、それが住民に配られていないという。フランスやドイツなどでは原子力発電所の近くの住民にヨウ素剤を配布しているというが、日本では必要なときに行政が配布しないのだ。テレビでは「ヨウ素剤は副作用があって危険」だという誤った説明をしている御用学者もいるそうだ。信じがたい事態だ。

 汚染が確実に広まっており基準値を超えているところもあるのに、情報も公開しなければヨウ素剤も配布しない国というのは、一体なにを考えているのだろう。

 広河隆一さんのブログを紹介しておく。23日の広河さんと広瀬隆さんの講演が見られる。広河さんは汚染の状況を報告しているし、広瀬さんは御用学者の実名も出して批判している。

3月23日Ustream中継のアーカイブ版をアップしました。


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Posted by 松田まゆみ at 14:28│Comments(6)原子力発電
この記事へのコメント
>テレビでは「ヨウ素剤は副作用があって危険」だという誤った説明をしている御用学者もいるそうだ。


広瀬隆さんは「ヨウ素剤は副作用があるので奨めない」として、天然酵母の味噌を奨めていましたよ。

広瀬さんは御用学者ですか?
Posted by コウキ at 2011年03月25日 15:45
コウキ様
ヨウ素が、事前に取り込まれているとブロックしてくれるということです。だから日本人は、海産物をたくさん食べているので、あまり意味がないということです。
改めて摂取すると、副作用もありうるという意味だと思います。
言葉の枝葉で批判するのや止めるべきです。

広瀬さんは御用学者ではありません。
念のため。
Posted by そりゃないよ獣医さん at 2011年03月25日 20:48
コウキ様

崎山比早子さんも、副作用がないといっているわけではありません。もし副作用が出た場合は、その時点で飲むのをやめればまったく問題はないということです。崎山さんによると、ヨウ素剤ほど副作用の少ない薬剤はほとんどないそうで、重篤になった事例も知らないとのこと。

広瀬さんは大変原発にお詳しいノンフィクション作家であり、学者ではありません。ヨウ素剤の副作用についてはなんら根拠を示していませんでしたので、情報不足なのかもしれません。
Posted by 松田まゆみ at 2011年03月25日 21:13
ヨウ素剤については以下のサイトに詳しく書かれています。

http://www.nuketext.org/manual.html#qanda
Posted by 松田まゆみ at 2011年03月25日 21:59
福島や宮城のデータはそれぞれの県庁HPで見ています。
http://www.pref.fukushima.jp/j/index.htm
http://www.pref.miyagi.jp/
関東南部は数値は低いですが、15日以降じわじわ上昇してきています。今後2週間が運命の分かれ道になりそうです。
Posted by sunset at 2011年03月25日 23:45
sunset様

都道府県ではデータを公表しているのに、東電や国の隠ぺい体質はあきれりばかりです。

どうやら圧力容器に注入した水が大量に漏れているようですから、予断はできませんね。どこまで汚染が広がるのかと思うと、ほんとうに心配です。
Posted by 松田まゆみ at 2011年03月26日 11:23
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