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鬼蜘蛛おばさんの疑問箱 › 原子力発電 › 放射能汚染された食品にどう対応すべきか

2011年06月29日

放射能汚染された食品にどう対応すべきか

 福島の原発事故問題について書き続けている「カレイドスコープ」の以下の記事を読んで、いろいろ考えさせられた。

原発学者のメルトダウン

 武田邦彦氏の批判については、私も同じようなことを「原発容認派の武田邦彦氏の発言は見過ごせない」で書いており、同感だ。考えさせられたというのは、小出裕章氏に対する意見の部分だ。実は、私も小出氏の「消費者が、汚染されている福島の農産物や近海の海産物を拒否したら、福島の農業、漁業は崩壊してしまう」という意見に、頭から賛成する立場ではない。これを声高に言えば、汚染された食べ物の流通を促進させることになりかねない。

 「カレイドスコープ」の著者が書いているように、すでに野菜や海産物の産地偽装が始まっており、汚染された食べ物は高齢者用にし、汚染の少ないものは子どもたちに、などと区別すること自体が難しい(というか不可能な)状態だ。それに、関東や東北に住んでいたなら、汚染されていない食品を買うことすら困難だろう。こんな状態で、いくら「子どもにだけは安全な食べ物を」と言ったところで虚しいだけだ。

 結局、汚染の酷い農地では耕作をやめるしかない。その分、汚染の少ない地域で主食である米や味噌の原料となる大豆の生産を増加させるべきだと思う。今の日本人の食生活は贅沢を極めている。しかし、ひと昔前の日本人はもっとずっと質素な食生活をしていた。ハウス栽培などしていなかった頃は、冬に新鮮な野菜が食べられないのは当たり前のことだった。それでも人間は工夫して生きていけるのだ。今は戦争と同じような非常事態なのだから、これからしばらくは主食である米と、味噌や醤油の原料にもなりたんぱく質も多い大豆をしっかり確保することが肝要だ。野菜は貯蔵や加工のできるものを多く栽培すれば、冬場もある程度は確保できる。

 だから福島近郊の汚染された農地で汚染された作物をつくるのではなく、「耕作放棄地の活用を」に書いたように、まずは汚染の少ない地域の休耕田で主食である米の生産を増加させるべきだと思う。水田を畑に変えたところも、できれば水田に戻して米作りをすべきだろう。

 たしかに故郷を捨てて、まったく知らない土地で農業をやるというのは大変なことだが、しかし、日本の農業を守っていくにはそれしかないのではなかろうか。汚染された土地でも故郷から離れたくない高齢者はそれでいいだろう。しかし、若い農業従事者はなんとか汚染の少ない土地に移住して頑張ってもらいたい。政府や地方の自治体もそれを後押しすべきだし、それこそ被災者に対する補償だろう。

 私も福島の原発事故が起こったときには、小出さんのように、原発を容認してきた大人たち全員の責任だと思った。しかし、原子力ムラのあまりにも酷い体質が暴露されるにつれ、見方が変わった。

 日本社会というのはとても民主的とはいえない状態なのだ。利権構造とマスコミを利用した騙しの構図によって国民が騙され、原子力の危険性を訴える一部の科学者が、原子力ムラの人たちにいくら正論をつきつけてもビクともしない構造があった。世界から見てもあまりに特異で異常な国だ。だから、この事故の責任はまずは危険性を知りながら国策として原子力発電を進めた国にあり、不都合なことを隠して国民を騙しつづけた電力会社にあり、片棒を担いだ御用学者やマスコミにある。裁判で電力会社の味方をした司法にもある。

 国民の責任がまったくないとはいわないが、都合の悪いことを隠蔽したり騙すほうが何倍も責任は重い。だから、大人が等しく汚染された食品を食べることが原発事故の責任をとることだとは思わない。それに、「大人が汚染された作物を食べて農業を守ろう」という前に、できるだけ汚染の少ない食品を確保する努力をするのが先決だろう。政府が基準を緩め、産地偽装がまかり通る昨今、そうでもしなければ子どもたちに汚染の少ない食べ物を食べさせることもできない。結局、高価な産直米や産直野菜を手に入れられる人は、一部の裕福な人に限られてしまう。

 私はこの事故を契機に、日本の一極集中を少しずつ変えていくべきだと思う。過疎地では人口が減り、高齢者が細々と農業をしているところも多い。休耕田や耕作放棄地もそれなりにある。この機会に農村の若がえりが図れないだろうか。耕作放棄地は何回も耕運機をかけて雑草を除去しなければ作物をつくれない。だからこそ、来年の農耕に備え今のうちから準備をしなければならないのだ。いったい政府は何を考えているのかと、腹立たしくなる。

 2008年に北欧を旅行した。フィンランドの首都であるヘルシンキは驚くほどこぢんまりとしていて、歩いて用事が済ませられるような街だ。人口が違うとはいえ、東京がいかに頭でっかちで不自然な都市であるかを実感した。大都市に人が密集し、地方でどんどん過疎化が進む日本は狂っている。電気にしても、できるだけ地産地消にしていくべきだ。


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この記事へのコメント
こんにちは
はげあん先生の記事からここへ
お邪魔させてもらいました。
べんきょうになります。
ひとつ気になったのが、
すべからくの用法です。
すべからくは、なになにすべし、という文につながらなくてはいけないように思います。
Posted by まき at 2011年07月01日 11:50
まき様

はじめまして。ご指摘ありがとうございました。確かにそうですね。修正しておきました。
Posted by 松田まゆみ at 2011年07月01日 13:53
はじめまして。私は小出裕章さんを敬愛していますが、汚染食品についての考え方は全く承服できません。(小出さんはチェルノブイリのころから同意見です)。

承服できない主な理由は、「日本の第一次産業の崩壊につながる」という認識です。

そもそも今の日本の第一産業は崩壊していないのでしょうか?農業者の「若手」は60代です。こういう現実を、多分小出さんはご存じないのでしょう。

それから、「第一次産業を汚染地で継続させる」ためには、若い人や子どもたちも汚染地に住んで実地で学んでいかなければなりません。とんでもないことと思います。どうして小出さんはそれに気づかれないのか、不思議です。

おっしゃるとおり、休耕田・休耕地の活用は、福島の農業者の安全な移住地として、また日本全体の安全な食料の確保のために、重要と思います。それなのに、先日、農水大臣が「休耕田で太陽光発電」などと寝ぼけたことを言っているのを見て愕然としました。

ずっと思っていたことがやっと言えました。ありがとうございます。
Posted by takagiyasuyo at 2011年07月13日 11:13
takagiyasuyo 様

はじめまして。コメントありがとうございました。

私も「汚染された土地で農業を続けさせる」という考えにはとても賛同できません。農家の人たちは被ばくしながら生活しなければなりませんし、心ある農家の人は汚染された農作物を流通させることに抵抗があるでしょう。そういう気持ちになるのが自然です。

チェルノブイリを見ても分かるように、汚染されてしまった農地はしばらく放棄せざるを得ないと思います。農家の方たちにとってはとても辛いことでしょうけれど、被災された農家の方たちは新たな土地で希望を見出してほしいし、国や地方自治体はそのための手助けをしていくべきだと思います。地方には後継ぎのない高齢者の農家が沢山あるのですから。

それに、汚染した農作物を流通させることにお墨付きを与えてしまうと、歯止めが利かなくなってしまいます。これでは、被ばく者を増やすだけです。たとえ質素な食事になろうとも、できる限り安全なものを流通させるべきだと私は思います。

休耕田で太陽光発電、というのは孫正義氏も提案していますが、これこそ第一次産業を顧みない発想だと思います。まずは節電。そして太陽光パネルは屋上や屋根に設置するのが基本でしょう。
Posted by 松田まゆみ at 2011年07月13日 12:19
松田さま。早速返信をいただき恐縮です。

小出さんはチェルノブイリのときからの信念で、当時からご自身は実行なさっているようです。贖罪の意味はあるのかも知れませんが、子どもたちのためにも大人も健康であるべきと思います。そうやって生き抜く姿を見せるのも教育の一環、と俗人の私は思います。
Posted by takagiyasuyo at 2011年07月13日 15:24
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