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2011年08月24日

大雪山国立公園の石狩川源流部で驚くべき過剰伐採


 私は参加できなかったのだが、去る21日、大雪山国立公園の中の石狩川源流部で日本森林生態系保護ネットワークと市民らが違法伐採の調査を行った。この違法伐採についてはこのブログでも何回か報じてきたが、2009年に日本森林生態系保護ネットワークのメンバーが調査に入って疑惑が発覚したものだ。2010年には北海道森林管理局の職員とともに現地に視察に入り、説明を求めていた。

 北海道森林管理局は違法な集材路や土場、そして一部の越境伐採は認めたものの、ナンバーテープのない伐根が多数あることについては違法と認めていなかった。そこで調査をするように求めたのだが、前向きな回答は得られていなかった。このために今年6月に市民団体が自ら調査しようと現地に入ったところ、伐根に新たなナンバーテープが付けられていたのだ。 以下がその写真。







 この新しいナンバーテープについて北海道森林管理局に問い合わせると、今年に入ってから自分たちで伐根調査をしているとのことだった。そこで、市民団体としても調査をしてみようということになった。計画伐採本数が153本となっている区画(小班)を選んで調査したのだが、なんと697本もの伐根が見つかった。544本もの木が過剰に伐られていたことになる。これは計画伐採本数の4.6倍にあたる。

 現場に行ってみるとよくわかるのだが、細い木が残されてスカスカの森林になっている。つまり、お金になりそうな大きさの木はほぼ伐りつくされてしまったということなのだ。伐根の直径はさまざまだが、40~50センチの木が多く、中には80センチ以上の大径木もあった。

 調べたのは一部の区画だけなので、他のところもこれほど過剰に伐っているのかどうかは分からないものの、おそらく計画伐採本数の数倍の木が違法に伐られたのではなかろうか。とすると、これは業者が出来心でちょっとだけ余分に伐ったなどという話しではない。お金目当ての盗伐だろう。伐採対象になっていない木を大量に伐って平然としている業者と、それを見て見ぬふりをしている林野庁の姿が見て取れる。それにしても過剰に伐られた木はどう処理されたのか?

 北海道新聞の報道によると、北海道森林管理局による伐根調査は今年の6月から7月にかけてのべ1000人体制で行われたという。森林管理局は9月にも結果を公表するとしているのでそれを待ちたいが、調査結果の誤魔化しは許されない。それに、昨年の「過剰に伐ってはいない」という言い訳についてきっちりと謝罪してもらわねばならないだろう。

 北海道での違法伐採に関しては、市民団体が「えりもの道有林」「上ノ国の国有林」などの事例を明らかにしてきたほか、大雪山国立公園の「幌加・タウシュベツの皆伐」、十勝東部森林管理署管内のナキウサギ生息地破壊なども追及してきた。それでもなお、国立公園の山奥で林道ゲートに鍵をかけ、こんな大規模な違法伐採が行われているのが実態だ。

 この木にはクマの爪痕がつけられていた(左下の斜めに並んだ5本ほどの筋が爪痕)。ここに棲んでいるキムンカムイもこの酷い伐採を怒っているに違いない。




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Posted by 松田まゆみ at 15:03│Comments(4)森林問題
この記事へのコメント
原発も森林も、結局は「お金」がキーですね。

お金に惑わされる人の多さには驚きますね。

太い木を伐採してきたらお金になるけど
大きな森林を残すことはあまりすぐにお金にならないから
「間伐」の定義もおかしなことを言ったりするのでしょう。
「間伐」は健康な森を維持するための「作業」であり
「間伐材」を単なる排出物でなく、いかに有効に使い、お金に換えていくかが、人間の智恵というものです。

大きな木を伐採しなくても、間伐でちゃんとお金になるということを考え、教えてあげて、しくみを作らなければ
手っ取り早い思いつきで、目に入る木を全部持っていくのでしょう。

森林や国立公園などの「100ヵ年計画」のようなものは、ないのでしょうか?
それに沿っていけば、伐採は必要作業に入ってこないと思うのですが?
Posted by ウズラ at 2011年08月25日 08:31
ウズラ様

コメントありがとうございます。

違法伐採のあった石狩川源流部というのは、一部で植林も行われているのですが基本的には天然林が主体の森林です。林野庁は天然林では「老齢過熟木を抜き伐りすることで若木を育てる」と言う名目で、大径木をどんどん伐ってきました。いわゆる択伐です。

お金になる大きな木から伐ってきたために、今では太い木はあまり残っていません。そんな森林で最後に残された「建築材にも使える大きめの木」を「間伐」の名のもとに手当たり次第伐ってしまったのが今回の違法伐採といえます。

林野庁はこの伐採を「間伐」と言っているのですが、優良な木を育てるために不良木などを伐って間引くことが目的の間伐では全くありません。お金になりそうな木を大量に伐って細い木を残しているのです。そもそも間伐というのは人工林においての作業です。林野庁が天然林での択伐に間伐という用語を使うのは不適切だと思います。

日本森林生態系保護ネットワークでは、天然林での伐採をこれ以上しないように国に求めています。天然林は自然に任せておけばいずれかつてのような森林に戻るでしょう。数百年はかかるでしょうけれど・・・。

大雪山国立公園といえど、森林は過剰な伐採によってボロボロです。林野庁には後世のために天然林を保護するという考え方がないようです。国立公園の中で、こんな伐採をしている先進国はまずありません。恥ずかしい限りです。
Posted by 松田まゆみ at 2011年08月25日 14:30
お返事ありがとうございます。

そうですね。国立公園ですから天然林ですね。
天然林で間伐はありえませんね。

「整備」という名のもとに行っているとしても
その材をどこかへ売ってお金にした時点で違法にはならないのでしょうか?
またそれで得た収入は収支報告の中には含まれていないのでしょうか?
というか、だれが得をしているのでしょうか?
林野庁ではなく、個人でしょうか?

林野庁は外国の国立公園を見に行ったことがあるのでしょうか?


不勉強で変な質問してすみません。
Posted by ウズラ at 2011年08月25日 20:09
ウズラ様

この現場では、素材販売(製品販売)という販売方法がとられています。つまり、伐採するための集材路をブルトーザーでつくったり、販売木(林野庁の職員が調査してナンバーテープをつけてある)を伐採する作業を業者が請け負うのです。伐り出された木は土場と呼ばれる丸太の集積場に運ばれます。そこで針葉樹、広葉樹、径級になどによって分けて山積みされ、山ごとにが競売にかけられます。

土場に山積みされた木材の量は、収穫木の量(材積)と同じでなければ帳簿上辻褄があわなくなります。しかし、実際には収穫木の数倍の木が運びだされているので、ここで何らかの誤魔化しが行われているものと推測されます。おそらくこの過程で業者が甘い汁を吸えるような仕組みがあるのだと思うのですが、そのあたりのことが闇の中でよく分かりません。

また、市民が情報開示請求をしても木材がいくらで販売されたのかは黒塗りにされていて分かりません。

ですので、伐根の数から盗伐であると確信できても、過剰に伐られた木がどれくらいあり、それらがどこに行ってしまったのかが分かりません。

林野庁の職員も、おそらく外国の国立公園ではこんな酷い伐採は行われていないことを知っていると思いますよ。でも、古くからの業者との癒着は簡単には是正できないのだと思います。

上ノ国の違法伐採のときも刑事告発したのですが、信じがたいことに起訴猶予でした。違法伐採は連綿と行われてきているのでしょうけれど、捜査機関もきちんと罰する気がないとしか思えません。だから、いつまでたってもこんな違法伐採がなくならないのでしょう。
Posted by 松田まゆみ at 2011年08月26日 20:33
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