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鬼蜘蛛の網の片隅から › 地学 › 過去の巨大地震と津波に学び防災の準備を!

2012年01月17日

過去の巨大地震と津波に学び防災の準備を!

 テレビはほとんど見ないのだが、一昨日は地震に関する番組があるというので「ザ・スクープスペシャル 過去からの警告」を見た。おおよその内容は以下のようなものだ。

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 宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区は東日本大震災で壊滅的な被害を受け、およそ一割の方が犠牲になった。古文書(日本三大実録)に869年に起きた貞観地震の記録があり、およそ千人が亡くなったとされている。現在の人口比で考えると約2万人にあたり、東日本大震災に匹敵する規模だった。防災対策基準では、閖上地区は沿岸部のわずかな部分しか浸水しないと想定されていた。東京大学地震研究所の古村孝志教授は、貞観地震を知っていたが古文書の記述は信ぴょう性がないと思って無視してしまったという。

 産業技術総合研究所の宍倉正展氏によると、今回の地震の浸水域は貞観地震とほぼ同じだという。南相馬市や浪江長でも貞観地震の痕跡が見つかっており、浸水することが分かっていた。東京電力は福島第一原発では、1938年の塩屋崎地震が最大級だとして津波の想定を5.7メートルと過小評価していた。産業技術相貌研究所の岡村行信氏は経産省の審議会で貞観地震について指摘し警告したが、東電は津波の想定を見直さなかった。3.11の津波は想定外ではない。

 東北学院大の松本秀明教授が仙台市若林区で海岸から2.5キロメートルのところで津波の痕跡の調査をし、2千年前の弥生時代にも津波の痕跡があったことを突き止めた。

 東海・東南海・南海地震でも10メートル以上の津波の可能性がある。大阪は4メートル50センチの津波でほぼ水没する。大阪では1854年に安政南海地震で津波が押し寄せ、2千人の犠牲者が出た。浪速区に安政大津波の石碑がある。

 1361年の正平南海地震では、液状化の痕跡が遺跡から見つかっている。宝永地震のシミュレーションによると、地盤が弱い平野部では長周期振動によって高い建物に被害が生じると言われている。大阪歴史博物館の大澤研一学芸員によると、正平地震のとき津波が到達したと言われているところが安居神社だろうと考えている。当時は安居神社は海岸から約2キロメートルのところにあり、大阪のほとんどは湿地帯だったという。太平記によると、津波がくる前の引き波が1時間もあり、魚を拾い集めようと浜に出てきた人たちが犠牲になった。

 東京大学地震研究所の郡司嘉宣准教授は、南海地震がおきると大阪の環状線の海側半分が被害を受ける可能性があるという。南海トラフは90~150年間隔で大地震が起きている。

 北海道大学の平川一臣教授は気仙沼市大谷海岸の地層調査をし、マグニチュード9クラスの地震が6千年に6回起きた痕跡があることを見つけた。1611年(慶長三陸地震)、869年(貞観地震)のほか2200年前、2500年前、3500年前(特に巨大)、5400年前の6回。岩手県宮古市でも昭和三陸津波、明治三陸津波、1739年の寛政三陸津波、1611年の慶長三陸津波、11世紀から12世紀の津波、869年の貞観津波の痕跡を見つけた。東北では何度も巨大津波があった。

 明応地震(1498年)では東海道の橋本地区が壊滅したことが古文書から推測される。浜名湖は巨大津波に襲われていたと考えられている。

 古文書では鎌倉の大仏殿は津波で倒壊したと書かれている。しかし、鎌倉市のハザードマップでは避難場所になっており、見直しを迫られている。鎌倉には1万人が住んでおり、被害が懸念される。

 14基もの原発が林立する若狭湾では過去に津波による被害記録はないとされ、津波調査がなされず、津波の想定は2.5メートルになっている。しかし、古文書には天正地震(1586年)による津波の記録があった。震源地は養老山脈ではないかと言われている。三方五湖でボーリング調査を行い、電力会社は津波の痕跡は認められないとしたが、平川一臣教授は点状のボーリング調査では不十分であり津波が来なかった証明にはならないと言う。

 地震考古学者の寒川旭博士は、巨大地震が襲った平安時代とよく似ていると指摘し、東北日本と西南日本の巨大地震が同じころに起きるのが現在ではないかと言う。日本三大実録には878年の元慶関東地震と887年の仁和西日本地震が記録されている。貞観地震の前に関東直下型地震、東海・東南海・南海地震が起きていた。関東直下型地震と南海トラフ地震が起きると、関東から関西まで被災する可能性がある。

 富士山では地震活動が活発化している。3月15日の富士山直下の地震で火山活動が活発化した可能性がある。活火山である富士山は必ず噴火する。貞観地震の5年前にも貞観大噴火が起きた。このときの溶岩流で青木ヶ原ができた。地下150メートルまで溶岩で覆われており、このときに出たマグマは14億立方メートルという。江戸時代には宝永大噴火があり、大量の火山灰が降った。富士山の噴火で農業被害などが想定される。富士山が山体崩壊するような噴火まで想定されていない。

 今後、関東での直下型地震、東海から南海にかけての大地震、噴火などが懸念される。

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 日本列島は過去に大きな地震や津波に何度も襲われていながら、そのような巨大な地震や津波を想定した防災対策がほとんど取られていなかったということだ。とりわけ原発の建設に関していかに史実を無視した甘い想定がなされていたのかと思うと、今さらながら腹立たしい。「災害は忘れたころにやってくる」とは良く言ったもので、過去の大災害も体験した人が亡くなり何十年、何百年も経つと忘れ去られてしまうのだ。忘れられないようにと刻まれた石碑すら、ビルの谷間に埋もれて忘れ去られている。

 そして忘れ去られた状態で、都市が巨大化して高層ビルが立ち並び人口過密状態になってしまった。マグニチュード8とか9クラスの大地震や大津波が日本列島に次々と襲いかかり、富士山が噴火するようなことが自分の生きている時代に来るかもしれないとは、大方の人が思っていなかっただろう。考えただけでも恐ろしい。

 大地震、大津波、そして原発事故がいつおきてもおかしくないという苛酷な時代に突入したようだ。気を引き締めなければならない。地震や津波を避けることはできないので、あとは被害を少なくするための対策をたて、備えてしていくしかない。

 私は見なかったのだが、同じ日に地震予知に関する番組もあった。以下がその動画。国際地震予知研究会の宇田進一理事長が、3.11にも匹敵する地震の再来について話をしている。宇田氏はさざなみ状の雲である大気重力波に着目し、1年以内にマグニチュード9クラスのアウターライズ地震(海溝の外側で起きる地震)があると予測している。この場合、再び大きな津波が想定される。

スクランブル 謎の雲で地震予知
http://www.youtube.com/watch?nomobile=1&v=Nz860ORaJGQ

 こうした地震予知を民間に頼らなければならないとは、なんとも情けない国だ。「地震ムラ」があるのだろう。


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Posted by 松田まゆみ at 16:18│Comments(0)地学
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