騒ぎすぎのマイマイガ対策

松田まゆみ

2009年08月17日 06:26

 北海道では昨年マイマイガが大発生しましたが、今年も各地でひきつづき大発生しているようです。一週間ほど前に足寄町を通ったら、シラカンバやカラマツがかなり食害されていました。8月にはいって次々と成虫が羽化してきたため、街灯の下などにはマイマイガの死体が散乱しています。本別町では商店街の壁に止まるマイマイガを駆除するために消防車による放水が行われたそうですし、一部の街灯を消すなどの対策をとったところもあるようです。写真は街灯の下に集まるマイマイガです。




 気になるのは、このような状況になるとすぐに殺虫剤を使いたがる人がいるということです。たしかに商店街に蛾が集まるというのは、お店の人にとってもお客さんにとっても気分的にいいものではないかもしれませんが、マイマイガの大発生はそう長くつづくものではなく、数年で自然に終息していきます。一昨年より大発生している東北地方でも、今年は終息に向かっているそうです。

 自然は実にうまくできており、大発生する昆虫には必ず天敵が存在します。大発生すると、寄生蜂やウイルスなどの病気も増加するのです。わが家にあるダケカンバにも春先には多数のマイマイガの幼虫がついていましたが、次第に減っていき、大きな害にはなりませんでした。

 先日、私がクモ採集で使っている捕虫網にマイマイガの死んだ幼虫がついているのに気付きました。よく見るとコマユバチの繭がありますので、蜂に寄生されて死んだのです。写真で白く写っているのが、コマユバチの繭です。こんな風にして天敵も急激に増加するために、2、3年もしたら終息していきます。




 「虫の大発生をもたらすもの」にも書きましたが、カラマツなどの単一樹種による植林が、マイマイガの大発生を助長している側面もあります。自然のシステムを知って、殺虫剤などを安易に使用せず、冷静な対応をしてほしいと思います。

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