木の上に生えた木
先日とある林道に入ったところ、目を疑うような光景に出会いました。なんと見上げるようなカツラの木の横枝から、エゾマツが生えているのです。エゾマツの生えているところは、地上から10メートルほどはあるでしょうか。こんな不思議な光景ははじめてです。カツラの木は幹が根元で何本かに分かれているので、萌芽(ひこ生え)が育ったものでしょう。向かって右側は幹にはまだ葉が残っていましたから生きているのですが、エゾマツが乗っている方はすでに枯れているようでした。
倒木の上に落ちた樹木の種子が発芽して育っていくことを倒木上更新(倒木更新)といいますが、このエゾマツは倒木ではなく立っている枯木の枝上で発芽して育ったのです。それにしても、よくこんな高いところで生きつづけているものです。ここまで育つまでに、何度も大風を経験しているに違いありません。決して地面に根を下ろすことができない場所に芽生え、風雨に負けずに枝にしっかりとしがみついて生きているエゾマツの生命力に、自然の不可思議さを感じずにはいられません。
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