環境省の甲状腺検査での地域別の違いは無視できるのか
昨日、環境省の福島県外3県における甲状腺有所見率調査結果が公表された。
福島県外3件における甲状腺有所見率調査結果について(お知らせ)
これを受け、年齢別の分析結果から福島県の検査結果とほぼ同じという報道が一斉になされた。原発事故の影響はないと言いたいのだろう。思ったとおりの報道だ。
今回の環境省の調査に関しては「環境省による福島県外の甲状腺検査を考察する(追記あり)」でも触れたが、まず福島県の精度がかなりいい加減なので、福島県と他県の調査を比較するのは意味がない。福島県の場合は検査時間を短くして、意図的にのう胞やしこりの発見率を低くしている可能性があるからだ。
私は年齢別の結果以上に、地域別の違いに注目する必要があると思う。地域別では以下のような違いがある。
A1 弘前市41.1% 甲府市29.5% 長崎市56.9%
A2 弘前市57.6% 甲府市69.4% 長崎市42.5%
B 弘前市1.3% 甲府市1.1% 長崎市0.3%
福一から最も遠い長崎市はのう胞も結節も見られなかったA1判定が最も多く、5.1ミリ以上の結節や20.1ミリ以上ののう胞を認めたB判定は最も少ない。B判定は弘前や甲府の約半分だ。B判定では福島に近い弘前・甲府と比べると長崎は半分なのだから、福一から遠いところの方が影響は少なかったという可能性は否定できない。地域別の差を「誤差の範疇」として原発事故の影響がなかったと決めつけるのは早計だろう。
もちろん、各地域での精度がまったく同じであるかどうか分からないし、年齢構成も異なるのでそのまま比較することは不適切だが、弘前、甲府、長崎でのう胞やしこりの保有率がこれほど高いというのは、やはり非常に懸念される状況と言うべきではないか。
福島の甲状腺がんの発症について、山下俊一氏は米国での講演ですでに10人と言っている。
山下俊一 米国での講演で二枚舌発覚!! (とある原発の溶融貫通)
これが被ばくの影響ではないとするなら、なぜこれほどまで発症率が高いのか説明が必要だ。残念ながら、日本では今後かなりの甲状腺がんが発症する可能性があると考えるのが妥当ではなかろうか。
ちなみに、以下のような記事もある。
640キロ離れたポーランド甲状腺障害、消えない初期被曝! (原発はいますぐ廃止せよ)
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