食料を自給できない国の行方

松田まゆみ

2024年04月11日 16:20

【今日のXの投稿から】

人口減少が顕著になってきて、少子化対策が叫ばれている。以前、北欧に旅行した時に感じたことだけれど、フィンランドの首都であるヘルシンキはとてもコンパクトな街で、この位の都市や人口密度がとても暮らしやすいように思えた。それに比べ、日本の人口密度は異常に思えてくる。

では、その国の適正人口とはどの位なのだろうか? これは食料の供給量と大きく関係してくると思う。基本的に食料自給率100%を目指すというのが国の危機管理としてとても重要だが、日本は平野が限られているので農耕地も限られてしまう。では日本の耕地面積でいったい何人を養えるのか?

篠原信さんによれば、石油などの化石燃料が安く手に入れば9000万人くらいは可能かもしれないが、石油が高騰して手に入りにくくなれば3000万人も難しいかもしれない、という(「そのとき日本は何人養える?」による)。今後、石油などの化石燃料は間違いなく今までより手に入りにくくなる。

すると石油を動力とする農業機械に頼る農業を続けているとコメも野菜も高騰することになる。国が農家を援助しなければ、農家はやっていけなくなるだろう。今は安い輸入食料も、今後はどうなるか分からない。しかも、輸入食料に頼れば、何等かの事情で輸入がストップしたら途端に食料危機に陥る。

国の危機管理の面からも、食料自給率を極力100%にしておくことが大事だが、そのためには今の日本の人口はどう見ても多すぎる。なぜ、こんなことになってしまったのか? これには米国が大きく関わっている。というより、米国にそのようにさせられてきたと言っても過言ではない。

日本の食料自給率向上を「米国が絶対許さない」訳 米国にとって日本は「食料植民地」となっている

この記事に書かれているように、米国は日本の安価で性能の良い工業製品を輸入する見返りとして、安価な農作物を日本に買わせるようにしてきた。それによって戦後の高度経済成長が進み人口も増えた。人口増と米国への食糧依存によって、日本は米国の“食の傘”の下にある。

米国などへの食料依存を止めて食料自給率を高めようとしても、今の日本の耕地面積ではとても足りない。しかも、日本は自国の農業をないがしろにしてきたために、農家は高齢化が進んでいる。さらに石油が高騰したら、農家は持たないだろう。その結果さらに食料の海外依存が高まるという悪循環になる。

米国依存、米国支配から抜け出し、自国の農業を大事にしていかないと、日本は自滅の道を辿るのではないかと思う。ただし、米国依存から抜け出して食料自給率を上げるためには、今の人口では無理だ。しかし、今起きているような急激な少子高齢化が望ましくないことは言うまでもない。

今の日本は、にっちもさっちも行かない状況に置かれている。しかし、それを米国のせいだけにしてはならない。私たち国民も経済成長の上に胡坐をかいてきたのだから。今からでも米国追従を終わらせて主体性を持った国になるよう努力し、食料自給率を高めるように動かねばならないと思う。



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