石狩川源流部盗伐調査(その2)消えた「無印良品」
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石狩川源流部盗伐調査(その1)見つけた盗伐の証拠
19日は、北海道森林管理局が「2号物件」としている場所に入りました。森林管理局が作成した集材路の図はまるで網の目のようになっており、それだけでもかなり酷い伐採が行われたことが想像できます。
実際に入ってみると、案の定、大径木の伐根があちこちにあり、ひょろひょろの木しか残っていないスカスカの森林が広がっていました。ナンバーテープのない伐根に交じってナンバーテープのある伐根が点在しているというような状況です。一定の区画をとって伐根の数を数えてみると、なんとテープのない伐根はテープのある伐根の2倍以上もありました。「盗伐の森」といっても過言ではないでしょう。
調査に参加されていたKさんは伐根をみて、「こりゃ無印良品ばかりだ」となかなかうまいことを言います。なるほど、無印(ナンバーテープがない)の伐根は高く売れるような良質の木が多いのです。残しておかなければならない優良な種子をつくる母樹が伐りつくされてしまいました。かつてはここまで酷い伐り方はしていなかったはずです。大径木がごっそり伐られた森はすっかり明るくなってしまいました。やがて林床はササで覆われて、更新困難になってしまうでしょう。大変な自然破壊です。
昨日の「1号物件」と同じように集材路には伐根が埋められて土がかぶせられています。
そして、こんなふうに沢を埋めてしまったところもあります。脇にかろうじてミズバショウが残っていましたので、ここには小さな湿地があったのでしょう。それを集材路で埋めてしまったのです。土から伐根がはみ出ているのがわかりますから、下には多くの伐根が埋められているのではないでしょうか。
全部の伐根を埋められなかったとみえ、ころがっているものもあります。
この2号物件はあまりにも広いために、ごく一部しか見ることができませんでしたが、一部がこんな状態であれば、他のところも似たようなものでしょう。とんでもない数の「無印良品」が伐り出されているものと推測されます。はたして、伐られた「無印良品」はどこに行ったのでしょうか?
大雪山国立公園の中は、とんでもない無法地帯ということでしょう。森林管理署は業者の監督責任があるのですが、きちんと監督していないことは明らかです。業者と森林管理署の共犯といえます。
森林管理局の調査によると、この2号物件では、「土場作設の際、伐採を予定していなかった樹木25本を伐採」としているのですが、それ以外の違法な伐採は報告されていません。なぜナンバーテープのない伐根が多数あるのか、それらの木はどこに行ったのか、北海道森林管理局や森林管理署の職員に説明をしてもらわなければなりません。
やまりんの盗伐事件、えりもの道有林での違法伐採、上ノ国のブナ林での違法伐採、大雪山国立公園の幌加・タウシュベツでの皆伐、十勝東部森林管理署管内でのナキウサギ生息地の破壊・・・。いくつもの違法伐採や自然破壊が明らかになってきているのに、未だに国立公園の保安林でこんな酷い伐採が行われているのです。森林管理署は何も反省していないということでしょう。
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