黒薮哲哉氏が喜田村洋一弁護士に懲戒請求

松田まゆみ

2011年02月04日 11:07


 新聞の「押し紙」問題を追及しているジャーナリストの黒薮哲哉氏が、東京第2弁護士会に、辣腕弁護士として知られている喜田村洋一弁護士に対する懲戒請求を提出した。

 喜田村弁護士といえば、弘中惇一郎弁護士とともにロス疑惑の三浦和義氏を弁護したことで知られている。そして、強制起訴された小沢一郎氏の弁護人も弘中弁護士が主任弁護人であり、喜田村弁護士も弁護団のメンバーだ。お二人とも一般的には「人権派」と言われているようだ。喜田村弁護士も弘中弁護士も人権擁護を目的とした「自由人権協会」に所属している。

 黒薮氏は、「押し紙」報道で読売新聞から言論封じといえる裁判を起こされていたのだが、読売側の代理人が喜田村洋一弁護士だ。この裁判については、以下の記事を参照していただきたいが、言論封じを目的としたSLAPP(恫喝訴訟)といえる裁判だ。

読売新聞がジャーナリストを“言いがかり”で言論封殺

読売新聞による“言論弾圧”著作権裁判が始まる!

 今回の黒薮氏の懲戒請求は、読売から起こされた3件の裁判のうち、著作権裁判で争点となった文書が弁護士職務基本規程75条に該当することに基づいたものだ。75条は「弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない」となっている。しかし、黒薮氏によると喜田村弁護士は虚偽の事実をもとに裁判を起こしたという。

喜田村洋一弁護士に懲戒請求「虚偽の事実を根拠に裁判起こした」

 言論封じを目的にジャーナリストを訴えるという構図は、以下の記事に書いた武富士の代理人を務めた弘中惇一郎弁護士と同じパターンだ。

弘中惇一郎弁護士の不可解さ

 弁護士職務基本規程というのは日本弁護士連合会が弁護士の倫理や職務上の行動規範等を定めたものだ。この規程には以下のような条項もある。

1条 弁護士は、その使命が基本的人権の擁護と社会正義の実現にあることを自覚し、その使命の達成に努める。

14条 弁護士は、詐欺的取引、暴力その他違法若しくは不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない。

31条 弁護士は、依頼の目的又は事件処理の方法が明らかに不当な事件を受任してはならない。

 悪質商法や違法行為を行っている企業の代理人をしたり、言論封じを目的とした裁判の代理人を引き受けるなどというのは、弁護士職務基本規程に抵触するのではないだろうか。

 私は、不正を追及するジャーナリストなどに対して恫喝訴訟を起こすような弁護士は、真の人権派弁護士とは思わない。辣腕と評される著名弁護士であっても、それだけで高く評価すべきではないだろう。

    

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