グレート・リセットの失敗と資本主義の終焉に向けて(1)

松田まゆみ

2025年02月16日 11:02

USAID(国際開発庁)解体とグレート・リセット
 先日、米国のUSAID(国際開発庁)の解体が報じられた。USAIDは、国際支援が目的のアメリカの政府機関だ。ところがトランプ政権になり、イーロン・マスク氏がUSAIDの資金の流れを掴み、その大半が国際支援どころか悪の巣窟であることが判明したとして解体を進めている。マスク氏は、「虫の沸いたリンゴどころか虫そのものだった」という。国際支援などというのは名目だけで、やっていたことは海外での工作活動だったようだ。とすれば、マスク氏の言う通り、とんでもない機関ということになるだろう。

 米国ではこのUSAID問題でてんやわんや状態らしい。トランプ氏やマスク氏のいう通りの機関であるなら大スキャンダルであり、国民が騒ぎ出すのは当然のことだろう。日本や西欧諸国ではUSAIDの解体については報じられたが、マスク氏が暴いた肝心の資金の流れは報じられていない。なぜなら、マスコミやジャーナリストなどに「虚偽情報対策」との名目で巨額の費用を投じて言論統制をしたり、米国に有利な情報を流していたとされるのだ。

 例えばウクライナ戦争についても一方的にロシアを悪と報道し、コロナワクチンではワクチンが危険だとする情報を検閲していたとされる。資金の流れを報じないメディアは、直接的あるいは間接的にUSAIDからお金をもらっていたのだろう。もちろんNHKをはじめとした日本のメディアもそうだろう。だから、マスコミは海外支援に支障が出ると、閉鎖を打ち出したトランプ大統領やマスク氏を批判するような論調になっていて、マスコミ報道しか知らない人たちは今も騙されている。

 では、USAIDはいったいどんなところに資金を提供していたのか。Xなどで流れてくる情報では、マスコミやジャーナリストなどの他、世界経済フォーラムや新型コロナウイルスを作成したといわれている武漢研究所、mRNAワクチンを販売したファイザーにも資金提供していたという。また、パンデミックの研究に対しても資金提供をしていたらしい。要は、巷で言われているディープ・ステートの一員に他ならないし、資金の流れから考えれば、世界経済フォーラムの提唱するフレート・リセットを推進していたといえるだろう。結局、「陰謀論者の言っていたことが真実である」と証明されつつある。

 世界経済フォーラムが目指すグレート・リセットとは、世界統一政府をつくり、人々を支配・管理することが目的だと(陰謀論者といわれる人たちの間で)言われている。人工ウイルスによってパンデミックをつくりだしワクチンを打たせたのは、人々を病気にしたり不妊にすることで人口減少を目指したり、ワクチンに入れたナノチップなどで人々をコントロールするためではないかと。これについては中村篤史医師が指摘しており私もほぼその通りだろうと考えている。以下を参照していただきたい。

コロナ騒動とは何だったのか


既存の社会主義や共産主義だけが左派ではない
 グレート・リセットが目指す体制は中国共産党と変わらないから「中共=極左」なのだという人たちが一定程度いる。彼らは社会主義や共産主義は独裁であり悪であるという考えに固執しているかのようだ。そしてグレート・リセットを進めてきた米国の民主党も極左だという。

 私は、右派か左派かと問われたら左派だ。しかし、もちろん旧ソ連や中国のような社会などとんでもないと思っている。それは私だけではなく、左派、リベラルなどと言われる人たちの多くも同じだろう。ソ連の社会主義は失敗だったからこそ解体されたのであり、間違った改革だった。ソ連や中国などの社会主義国は平等でもなければ自由も制限されるし、何よりも労働者が搾取されるシステムだ。中国を見ればよく分かるが、その実態は「国家資本主義」だ。

 そもそも右派(右翼)とか左派(左翼)とは何を指すのか? 右派とは保守的な価値観や伝統を重視する立場であり、「保守」とも呼ばれる。政治的には自由市場経済を支持し、民営化や規制緩和を推進する立場だ。一方で、左派は改革を進める立場で、個人の自由や人権を尊重するリベラルも左派といえるだろう。政治的には平等や福祉を重視し、富の再分配を強化したり福祉の充実などを求める立場だ。

 米国では共和党が右派で、民主党が左派とされている。その民主党政権が推進してきたグレート・リセットは、一握りの権力者(富裕層やグローバリスト)がそれ以外の人たちを管理・支配・搾取する社会システムだと言われているが、富の公平な分配や平等を求める左派の思想とは正反対だ。しかし、ソ連や中国、北朝鮮などの社会主義国と同じだから米民主党は極左だと主張して非難する人たちが一定程度いて困惑している。現代において、左派を自称しながらソ連や中国などの社会主義国を目指す人たちなどほとんどいない。だから、米民主党がグレート・リセットを進めていたとしても、それを極左だと言って非難することに私はどうしても抵抗がある。私は民主党が極左というより、グレート・リセットを目指す官僚に民主党政権が取り込まれてしまったのではないか?と疑っている。

 資本主義を否定した共産党の一党独裁政治が左派(改革派)だったからといっても、それだけが左派ではない。資本主義はすでに限界であり、経済成長ではなく定常的経済の民主的な社会システムを目指すべきだという主張を支持する人たちは、少数とはいえ確実にいる。ソ連や中国のたどった道ではなく、資本主義と決別する別のシステムを求める思想こそ真の左派だと私は思っている。ただ、「左派=共産党が独裁する社会主義国」という考えに固執する人がいる以上、左派とか右派などという分け方は混乱を招くだけではないかとも思う。

グレート・リセットの失敗と資本主義の終焉に向けて(2)
グレート・リセットの失敗と資本主義の終焉に向けて(3)


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