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鬼蜘蛛の網の片隅から › 植物 › エゾエンゴサクの花の色

2007年05月26日

エゾエンゴサクの花の色

エゾエンゴサクの花の色
 早春の里山の林床は、フクジュソウやキバナノアマナの黄色、カタクリのピンク、アズマイチゲやニリンソウの白で彩られます。そして北国ではこれにエゾエンゴサクのさわやかなブルーが加わります。

 樹の葉がまだ開かない早春に花をつけ、夏には地上部が枯死してしまう春植物は、生育期間がとても短いためにスプリング・エフェメラル(春のはかない命)とも呼ばれています。

 エゾエンゴサクの花はたいてい青空のようなきれいなブルーをしていますが、よく見るとそのブルーに濃淡があったり、紫がかったりしている花もあります。ほとんど白に近い花もあります。先日は、写真のようなピンク色の花を見つけました。

 多くの野生植物は、種によって花の色が決まっています。エゾエンゴサクのように同じ種でありながらいろいろな色の花を咲かせる植物は少ないのではないでしょうか。そこで、この花の色の秘密について書かれていないかと思い「植物生活史図鑑」(北海道大学図書館刊行会)を開いてみました。

 残念ながら花の色のことについては書かれていませんでしたが、エゾエンゴサクは自家不和合性、つまりほかの株の花粉がつかなければ種子が実らない植物であること、そして主としてマルハナバチが花粉を媒介し、アリが種を運ぶことがわかりました。

 エゾエンゴサクの花の色が遺伝子によって決まっているとしたら、ピンクの株にできた種子から芽生えた子供は、ピンクの花を咲かせるとは限らないのですね。そう、あのメンデルの法則のように。でも、ブルーの中にぽつりと咲いているピンクのエゾエンゴサクの種子がどこかに運ばれ、その子供たちが、いつかまたピンクの花を咲かせることに、かすかな期待を抱いてしまうのです。


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Posted by 松田まゆみ at 16:51│Comments(4)植物
この記事へのコメント
 我が家のまわりには今年たくさんのエゾエンゴサクが咲き誇っています。花の色は明るいブルーですが花の先が濃い青です。数年前には1本もなかったのに、不思議でした。アリが種子を運ぶのですね。それなら思い当たる節があります。昨年の夏は家のまわりがアリだらけ。居間にも風呂場にも行列を作って侵入してきたほどです。彼らは数週間で家の中からは姿を消してくれましたが、エゾエンゴサクはそのお土産だったのか。
 マルハナバチは口吻が長くてエゾエンゴサクの密を吸うのに都合が良くできていますが、エゾエンゴサクにはほかの昆虫が訪花するのを余り見かけません。マルハナバチ専用なのでしょうか?
Posted by 鏡  坦 at 2007年06月07日 23:32
鏡 様

 エゾエンゴサクが種から芽生え、成熟して花を咲かせるようになるまでの年数はよくわかっていないそうですが、少なくとも数年はかかるそうです。ですから、鏡さんの家のまわりのエゾエンゴサクは、数年前は花をつけない小さな株だったのかも知れませんね。

 エゾエンゴサクを訪れる昆虫は、マルハナバチが最も多いようです。他にはタテハチョウやヒメギフチョウなどの蝶やビロードツリアブなど。それから、アリだけではなくにゴミムシやオサムシ、ハネカクシなど、さまざまな歩行性昆虫も種を運ぶそうです。

 エゾエンゴサクの群落が今までなかったところに出現したのなら、それにはマルハナバチやアリ、歩行性の昆虫などが関係していたということなのです。
Posted by 松田まゆみ at 2007年06月08日 09:16
エゾエンゴサクはマルハナバチの中でもコロニーを単独で創り出す創設雌、つまり女王蜂の早春の初期活動によって花粉媒介が行われる事に特徴があることがわかっています。まぁ、スプリングエフェメラルですから、マルハナバチは創設雌以外には存在しないんですよね。種子のエライオソームを摂食する昆虫はアリ以外に色々いますが、アリ以外の昆虫はその場ですぐ食べてしまう傾向があるので、あまり種子の移動には貢献していないはずです。
Posted by 村山茂樹 at 2013年03月13日 11:58
確かに、エゾエンゴサクの咲く時期はマルハナバチは女王だけしかいませんよね。

エライオソームを食べる昆虫はアリ以外にもいろいろいるのですか。まあ、アリが好むのですから、他の昆虫が好んでもおかしくありませんね。
Posted by 松田まゆみ at 2013年03月13日 21:40
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